要介護5とは?いちばん重い区分で使えるものと、選ぶ場所

介護の窓口 編集部公開 2026-08-23

介護保険の枠はいちばん広く使えます。それでも、どこで過ごすかを決めるのは枠の広さではなく、支える人がいるかどうかです。

どういう状態か

寝ている時間がほとんどで、寝返り・食事・排せつのすべてに介助が要る状態です。意思の伝達が難しくなり、表情やわずかな声で読み取ることが増えます。

  • 自分で寝返りが打てず、床ずれの危険がある
  • 食事は介助で、飲み込みにくい形への調整が必要になる
  • たんの吸引や経管栄養が必要になる場合がある
  • 発熱や肺炎で入院を繰り返すことがある

1か月に使える上限

区分1か月の上限額単位1割負担のときの上限
要介護4309,380円30,938単位およそ30,938円
要介護5362,170円36,217単位およそ36,217円
上限額は1単位を10円として計算したものです。1単位の値段は地域とサービスの種類によって10円より高くなるため、実際に使える金額は住んでいる場所で少し変わります。自己負担は1割として書いています(所得により2割・3割)。

在宅で支える形

何をどう入れるか
体を動かす・排せつ定期巡回・随時対応型訪問介護看護(1日に4回から6回)
医療訪問診療(月2回)+訪問看護(週3回から毎日)
入浴訪問入浴介護(週2回)
口の中訪問歯科(月1回から2回)
家族の休息短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
道具特殊寝台床ずれ防止用具移動用リフト体位変換器
これは組み立て方の一例です。同じ区分でも、家族が同居しているか、認知症があるか、住まいに段差があるかで組み方はまるで変わります。実際のプランはケアマネジャーと相談して決めます。

要介護5の在宅は、家族が介護を担う形ではなく、職員が入れ替わり立ち替わり来る形にして初めて続きます。「家族が主で、サービスが補助」という組み方では持ちません。

施設を選ぶとき

住まい向いている場面
特別養護老人ホーム医療的な処置が落ち着いていて、生活の場として長く暮らす
介護老人保健施設リハビリと医療の管理が続いていて、在宅復帰の見込みを探る
介護医療院たんの吸引・経管栄養など、医療的な管理が日常的に要る
介護付き有料老人ホーム待たずに入りたい、個室で過ごしたい
「看取りまで居られるか」を必ず先に聞いてください。状態が変わるたびに移ることになると、本人にとっても家族にとっても負担が大きくなります。重要事項説明書看取りの体制が書かれているかを確かめます。

話し合いを先に始める

要介護5になってから急変が起きると、家族はその場で「どこまで治療するか」を決めなければならなくなります。

本人の意思がまだ確かめられるうちに、どこで過ごしたいか、何を望まないかを家族とかかりつけ医で話しておく取り組みが人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)と呼ばれています。一度決めたら変えられないものではなく、何度でも話し直せます。

1か月にいくらかかるか

上限まで使って1割負担ならおよそ36,200円です。在宅で支えるか施設で暮らすかで、費用の中身がまるごと入れ替わります。

どこで月額の目安(1割負担)内訳
在宅(上限まで使う)およそ6万円から9万円介護の自己負担、医療費、おむつ、栄養剤、食費
特別養護老人ホーム(多床室)およそ10万円から12万円介護の自己負担、食費、部屋代、日用品
特別養護老人ホーム(ユニット型個室)およそ13万円から15万円同じ内訳で、部屋代が高い
介護医療院およそ12万円から17万円医療的な管理が加わる
介護付き有料老人ホームおよそ20万円から30万円家賃・管理費・食費が別建て

金額だけを見ると在宅が安く見えますが、支える人の時間は勘定に入っていません。在宅を選ぶかどうかは、人手が続くかどうかで決めてください。

上限を超えたらどうなるか

区分支給限度基準額を超えて使った分は、全額が自己負担になります。1割ではなく10割です。1万円分を超過して使えば、そのまま1万円を払います。

ただし、上限に数えないものがあります。居宅療養管理指導特定施設入居者生活介護、医療保険から出る訪問看護住宅改修(上限20万円の別枠)と特定福祉用具販売(年10万円の別枠)です。組み替えれば、超えずに済むことがあります。

超えること自体が間違いなのではありません。家族が倒れそうなときにショートステイを足す判断は、超えてでも取る値打ちがあります。避けたいのは、超えたことを知らないまま請求書で気づくことです。ケアプランを受け取るときに、単位の合計を必ず確かめてください。

入院したとき、認定と契約はどうなるか

要介護5では入院を繰り返すことがあります。入院しているあいだ、介護保険のサービスは使えません(医療保険の側で看護が行われるためです)。認定そのものは続きます。取り消されることはありません。

何がどうなるか
認定有効期間は続く。入院中でも更新の申請ができる
ケアマネジャーとの契約続く。退院に向けた相談は入院中から始める
福祉用具の貸与入院中は保険の対象外。長引くなら一度返す判断もある
特別養護老人ホームの入所入院が長く続くと退所になることがある。契約書で日数を確かめる
施設の申し込み入院中でも列に並んだままにできる。施設に状況を伝える

退院が決まったら、病院の地域連携室とケアマネジャーを引き合わせてください。退院してから組み直すと、空白の数日が生まれます。入院中にサービス担当者会議を開き、帰る日にはプランが動いている形にするのが理想です。

1日の流れの例

時間本人誰が来るか
早朝おむつ交換、体位変換定期巡回訪問介護
着替え、口の中の手入れ、朝食(介助または経管)訪問介護員
午前訪問看護(褥瘡の処置、たんの吸引)看護師
食事の介助、体位変換訪問介護員、または家族
午後訪問入浴介護(週2回)看護師1名と介護職員2名
夕方おむつ交換、水分の補給定期巡回の訪問介護員
夜間2時間から3時間ごとの体位変換家族、または夜間対応型訪問介護

この形を家族だけで担うことはできません。職員が入れ替わり来る前提で組み、家族は決めることと見届けることに回る。それが要介護5の在宅の形です。

先に手を打っておくこと

要介護5では、決めておく作業そのものが介護の一部になります。本人が言葉で伝えられなくなったあと、家族が迷わずに済むかどうかは、いま何を決めておくかで変わります。

胃ろうや点滴をどうするか、肺炎になったときに入院するか、最後をどこで迎えるか。かかりつけ医と訪問看護師を交えて話し、話した内容を記録に残してもらってください。一度決めたことは、何度でも変えられます。

在宅で看取ることを選ぶ場合は、24時間対応の訪問看護ステーションと、往診してくれる医師の2つがそろっているかを確かめます。どちらかが欠けると、夜中の急変で結局は救急車を呼ぶことになります。

施設を選ぶ場合は、重要事項説明書で看取りの体制を確かめてください。「看取りまで居られる」と口で言われても、実際に去年何人を看取ったかを聞くと、体制の厚さが分かります。

意思を、どう受け取るか

この段階では、本人が言葉で伝えることが難しくなっていることがあります。表情、体の緊張、声の調子。

伝えられないことと、感じていないことは違います。 痛みも不快も、そこにあります。 変化に気づいたら、看護職に伝えてください。

最期をどこで迎えるか

この区分では、その話が現実の課題になります。決めていないと、そのときに家族が背負います。

家で看取るのか、施設か、病院か。 対応できるかは、事業所や施設によって違います。先に確かめて、体制を組んでおいてください。

介護する側を、休ませる

この区分での在宅は、24時間の対応になります。気力で乗り切る話ではありません。

泊まりのサービスを定期的に入れて、離れる日を先に予定として置いてください。 「余裕ができたら」では、その日は来ません。支える側が続くことが、本人の暮らしを続けることです。

要介護5で1か月にいくらかかりますか。
在宅で上限まで使い1割負担ならおよそ3万6,000円です。これに医療費、おむつ代、食費が加わります。特別養護老人ホームの場合は月に10万円から14万円が目安です。
上限を超えてでも使ったほうがよい場面はありますか。
あります。家族が倒れそうなときにショートステイを足す判断は、超えてでも取る値打ちがあります。大切なのは、超えることを知らないまま請求書で気づく事態を避けることです。
区分がこれ以上上がらないので、状態が悪くなっても何も変わりませんか。
区分は変わりませんが、医療保険の訪問看護に切り替わる、介護医療院に移るなど、使えるしくみは変わります。ケアマネジャーと主治医の両方に状態を伝えてください。

訪問介護が1件も無い市区町村が115ある

数のうえでは、訪問介護は全国に35,077件です。65歳以上1万人あたりにすると全国で9.8件です。定員が分かっている8,174件では、まんなかの定員が30人でした。運営しているのは24,886の法人です。

65歳以上1万人あたりで見ると、いちばん多いのは大阪府(21.6件)、いちばん少ないのは新潟県(5.1件)です。同じ国の中で4.2倍のひらきがあります。全国の平均は9.8件なので、大阪府は平均の2.2倍にあたります。

掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,777市区町村で、115の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。

この節の数字は、当サイトが掲載している訪問介護を数えたものです。もとになっているのは厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータと、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」の年齢階級別人口です。どちらも更新のたびに、この数字も変わります。

この記事の出典

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