訪問看護とは?看護師に頼めることと費用、医療保険との違い
退院の話が出たとき、家族が最初に不安になるのは「家で薬や傷の手当てをちゃんとできるだろうか」という点です。訪問看護は、その部分を看護師が引き受けてくれる仕組みです。
訪問看護とは
看護師(保健師・准看護師を含みます)が自宅を訪ね、主治医の指示にもとづいて健康状態を確かめ、必要な処置を行うサービスです。理学療法士や作業療法士が訪問して、リハビリを行う形もあります。
訪問介護との一番の違いは、医療にあたることができる点です。床ずれの手当て、たんの吸引、点滴の管理、カテーテルや胃ろうの世話は、訪問看護の役目になります。
全国では18,202件が指定を受けており、65歳以上1万人あたり5.1件になります。在宅で医療を受ける人が増えるのに合わせて広がってきたサービスで、多くの市区町村に複数の事業所があります。
頼めること
- 体温・血圧・脈・呼吸の確認と、体調の変化の見きわめ
- 床ずれの予防と手当て
- 飲んでいる薬の整理、飲み忘れの確認、点滴や注射の管理
- たんの吸引、在宅酸素や人工呼吸器の世話
- 胃ろう、尿の管、人工肛門の世話
- 入浴や清拭、排せつの介助(体調を見ながら行います)
- リハビリ(歩く練習、飲み込みの練習など)
- 看取りの時期の痛みの緩和と、家族への助言
- 介護している家族への手技の指導と相談
介護保険と医療保険、どちらが使われるか
訪問看護は、同じ内容でも使う保険が変わります。要介護認定を受けている人は、原則として介護保険が優先されます。ただし次の場合は医療保険に切り替わります。
- 厚生労働大臣が定める病気(末期のがん、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病関連疾患など)にあたる場合
- 急に状態が悪くなり、主治医が「特別訪問看護指示書」を出した場合(原則14日間)
- 要介護認定を受けていない場合
どちらになるかで自己負担の割合も、回数の数え方も変わります。判断は主治医とケアマネジャー、訪問看護ステーションが行うので、家族が選ぶものではありません。
費用の目安(介護保険・1割負担の場合)
| 訪問時間 | 訪問看護ステーションから | 病院・診療所から |
|---|---|---|
| 20分未満 | 約310円 | 約270円 |
| 30分未満 | 約470円 | 約400円 |
| 30分以上1時間未満 | 約820円 | 約570円 |
| 1時間以上1時間30分未満 | 約1,120円 | 約860円 |
利用を始めるには、主治医の指示書が必要
- ケアマネジャーか、病院の相談窓口(地域連携室)に希望を伝える
- 訪問看護ステーションを選ぶ
- 主治医が「訪問看護指示書」を出す
- ステーションの看護師が自宅を訪ね、状態を見たうえで計画を作る
- 契約し、利用開始
退院を控えている場合は、入院中に病院の相談窓口へ伝えるのが早道です。退院の日から切れ目なく訪問が始まるよう、病院が調整してくれます。
訪問介護との違い
| 訪問看護 | 訪問介護 | |
|---|---|---|
| 来る人 | 看護師、理学療法士など | ホームヘルパー |
| 医療的な処置 | できる | できない |
| 家事 | 原則としてしない | できる(本人の分に限る) |
| 始めるのに必要なもの | 主治医の指示書 | ケアプラン |
| 使う保険 | 介護保険または医療保険 | 介護保険 |
どちらの保険で使うかが分かれる
同じ訪問看護でも、介護保険で使う場合と医療保険で使う場合があります。病名や状態によって決まり、自分では選べません。
医療保険で使う場合、介護保険の支給限度額を使いません。 他のサービスに回せる分が増えます。 どちらになるのかを、事業所とケアマネジャーに確かめてください。
医師の指示が要る
自分で申し込めば始まるものではありません。主治医が指示書を出して、初めて始まります。
かかりつけ医に「訪問看護を使いたい」と伝えてください。 ケアマネジャーから医師へ話を通してもらう形もあります。そこが動かないと、先に進みません。
家族への指導も、役目のうち
本人の体を見るだけではありません。家族がどう手当てするかを教える役割があります。
薬の飲ませ方、体位の変え方、皮膚の見方、痰の処理。 分からないことは、その場で聞いてください。一度教われば、来ない日の不安が減ります。
夜間や急変のときの窓口になる
容体が変わったときに、救急車を呼ぶべきか判断できない。家族だけでは決められません。
24時間の連絡に対応している事業所があります。 契約のときに確かめてください。この一本があるかどうかで、家で過ごせる期間が変わります。
- 夜中に具合が悪くなったとき、来てもらえますか。
- 「緊急時訪問看護加算」を付けた契約をしていれば、24時間つながる連絡先が渡され、必要と判断されれば夜間でも訪問してもらえます。離れて暮らしている場合、この契約があるかどうかは大きな差になります。
- 週に何回まで来てもらえますか。
- 介護保険では月の上限額の範囲で、医療保険では原則として週3回までです。末期のがんなど対象の病気にあたる場合は、この制限がなくなります。
- 訪問看護と訪問リハビリは同時に使えますか。
- 使えます。訪問看護ステーションから理学療法士が来る形も、訪問リハビリテーションとして別に頼む形もあります。組み合わせはケアマネジャーが調整します。
訪問看護の数は、都道府県で3.3倍ひらいている
全国の訪問看護は18,202件です。ただし件数をそのまま並べても、人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いのかどうかは分かりません。65歳以上の人数で割ると比べられるようになります。全国では65歳以上1万人あたり5.1件です。
いちばん多いのは大阪府(7.9件)、いちばん少ないのは新潟県(2.4件)で、同じ国の中で3.3倍のひらきがあります。住んでいる場所によって、選べる事業所の数がこれだけ変わるということです。
| 順位 | 都道府県 | 件数 | 65歳以上1万人あたり |
|---|---|---|---|
| 1位 | 大阪府 | 1,863件 | 7.9件 |
| 2位 | 福岡県 | 1,117件 | 7.8件 |
| 3位 | 沖縄県 | 282件 | 7.8件 |
| 4位 | 和歌山県 | 233件 | 7.7件 |
| 5位 | 熊本県 | 414件 | 7.5件 |
| 47位 | 新潟県 | 172件 | 2.4件 |
| 46位 | 山形県 | 93件 | 2.6件 |
| 45位 | 茨城県 | 224件 | 2.6件 |
| 44位 | 栃木県 | 168件 | 2.9件 |
| 43位 | 福島県 | 176件 | 3.0件 |
この上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入る都道府県はありません。高齢者が多い地域ほど訪問看護が多い、という関係にはなっていません。事業所の数は、高齢者の数だけで決まるものではないようです。
数が少ない地域が、そのまま「足りない」という意味になるとは限りません。1か所あたりの規模が大きい、近隣の市区町村から通っている、別の種類のサービスで代えている、といった事情は件数からは読み取れないためです。実際に使えるかどうかは、お住まいの市区町村の一覧で確かめてください。
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