訪問看護とは?看護師に頼めることと費用、医療保険との違い

介護の窓口 編集部公開 2026-08-21

退院の話が出たとき、家族が最初に不安になるのは「家で薬や傷の手当てをちゃんとできるだろうか」という点です。訪問看護は、その部分を看護師が引き受けてくれる仕組みです。

訪問看護とは

看護師(保健師・准看護師を含みます)が自宅を訪ね、主治医の指示にもとづいて健康状態を確かめ、必要な処置を行うサービスです。理学療法士や作業療法士が訪問して、リハビリを行う形もあります。

訪問介護との一番の違いは、医療にあたることができる点です。床ずれの手当て、たんの吸引、点滴の管理、カテーテルや胃ろうの世話は、訪問看護の役目になります。

全国では18,202件が指定を受けており、65歳以上1万人あたり5.1件になります。在宅で医療を受ける人が増えるのに合わせて広がってきたサービスで、多くの市区町村に複数の事業所があります。

頼めること

  • 体温・血圧・脈・呼吸の確認と、体調の変化の見きわめ
  • 床ずれの予防と手当て
  • 飲んでいる薬の整理、飲み忘れの確認、点滴や注射の管理
  • たんの吸引、在宅酸素や人工呼吸器の世話
  • 胃ろう、尿の管、人工肛門の世話
  • 入浴や清拭、排せつの介助(体調を見ながら行います)
  • リハビリ(歩く練習、飲み込みの練習など)
  • 看取りの時期の痛みの緩和と、家族への助言
  • 介護している家族への手技の指導と相談
「家族が処置をできるように教えてほしい」と頼めるのも訪問看護の特長です。おむつの当て方、体位の変え方、たんの取り方を、実際の場面で教えてもらえます。

介護保険と医療保険、どちらが使われるか

訪問看護は、同じ内容でも使う保険が変わります。要介護認定を受けている人は、原則として介護保険が優先されます。ただし次の場合は医療保険に切り替わります。

  • 厚生労働大臣が定める病気(末期のがん、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病関連疾患など)にあたる場合
  • 急に状態が悪くなり、主治医が「特別訪問看護指示書」を出した場合(原則14日間)
  • 要介護認定を受けていない場合

どちらになるかで自己負担の割合も、回数の数え方も変わります。判断は主治医とケアマネジャー、訪問看護ステーションが行うので、家族が選ぶものではありません。

費用の目安(介護保険・1割負担の場合)

訪問時間訪問看護ステーションから病院・診療所から
20分未満約310円約270円
30分未満約470円約400円
30分以上1時間未満約820円約570円
1時間以上1時間30分未満約1,120円約860円
1単位を10円として計算した目安です。お住まいの地域や事業所の体制によって同じ1割負担でも金額は変わり、初めて使う月は加算が付くこともあります。正確な金額は、担当のケアマネジャーか事業所にご確認ください。 夜間・早朝・深夜の訪問や、緊急時に来てもらえる契約には加算が付きます。

利用を始めるには、主治医の指示書が必要

  1. ケアマネジャーか、病院の相談窓口(地域連携室)に希望を伝える
  2. 訪問看護ステーションを選ぶ
  3. 主治医が「訪問看護指示書」を出す
  4. ステーションの看護師が自宅を訪ね、状態を見たうえで計画を作る
  5. 契約し、利用開始

退院を控えている場合は、入院中に病院の相談窓口へ伝えるのが早道です。退院の日から切れ目なく訪問が始まるよう、病院が調整してくれます。

訪問介護との違い

訪問看護訪問介護
来る人看護師、理学療法士などホームヘルパー
医療的な処置できるできない
家事原則としてしないできる(本人の分に限る)
始めるのに必要なもの主治医の指示書ケアプラン
使う保険介護保険または医療保険介護保険

どちらの保険で使うかが分かれる

同じ訪問看護でも、介護保険で使う場合と医療保険で使う場合があります。病名や状態によって決まり、自分では選べません。

医療保険で使う場合、介護保険の支給限度額を使いません。 他のサービスに回せる分が増えます。 どちらになるのかを、事業所とケアマネジャーに確かめてください。

医師の指示が要る

自分で申し込めば始まるものではありません。主治医が指示書を出して、初めて始まります。

かかりつけ医に「訪問看護を使いたい」と伝えてください。 ケアマネジャーから医師へ話を通してもらう形もあります。そこが動かないと、先に進みません。

家族への指導も、役目のうち

本人の体を見るだけではありません。家族がどう手当てするかを教える役割があります。

薬の飲ませ方、体位の変え方、皮膚の見方、痰の処理。 分からないことは、その場で聞いてください。一度教われば、来ない日の不安が減ります。

夜間や急変のときの窓口になる

容体が変わったときに、救急車を呼ぶべきか判断できない。家族だけでは決められません。

24時間の連絡に対応している事業所があります。 契約のときに確かめてください。この一本があるかどうかで、家で過ごせる期間が変わります。

夜中に具合が悪くなったとき、来てもらえますか。
「緊急時訪問看護加算」を付けた契約をしていれば、24時間つながる連絡先が渡され、必要と判断されれば夜間でも訪問してもらえます。離れて暮らしている場合、この契約があるかどうかは大きな差になります。
週に何回まで来てもらえますか。
介護保険では月の上限額の範囲で、医療保険では原則として週3回までです。末期のがんなど対象の病気にあたる場合は、この制限がなくなります。
訪問看護と訪問リハビリは同時に使えますか。
使えます。訪問看護ステーションから理学療法士が来る形も、訪問リハビリテーションとして別に頼む形もあります。組み合わせはケアマネジャーが調整します。

訪問看護の数は、都道府県で3.3倍ひらいている

全国の訪問看護は18,202件です。ただし件数をそのまま並べても、人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いのかどうかは分かりません。65歳以上の人数で割ると比べられるようになります。全国では65歳以上1万人あたり5.1件です。

いちばん多いのは大阪府(7.9件)、いちばん少ないのは新潟県(2.4件)で、同じ国の中で3.3倍のひらきがあります。住んでいる場所によって、選べる事業所の数がこれだけ変わるということです。

訪問看護が多い都道府県と少ない都道府県(65歳以上1万人あたり・全47都道府県中)
順位都道府県件数65歳以上1万人あたり
1位大阪府1,863件7.9件
2位福岡県1,117件7.8件
3位沖縄県282件7.8件
4位和歌山県233件7.7件
5位熊本県414件7.5件
47位新潟県172件2.4件
46位山形県93件2.6件
45位茨城県224件2.6件
44位栃木県168件2.9件
43位福島県176件3.0件

この上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入る都道府県はありません。高齢者が多い地域ほど訪問看護が多い、という関係にはなっていません。事業所の数は、高齢者の数だけで決まるものではないようです。

数が少ない地域が、そのまま「足りない」という意味になるとは限りません。1か所あたりの規模が大きい、近隣の市区町村から通っている、別の種類のサービスで代えている、といった事情は件数からは読み取れないためです。実際に使えるかどうかは、お住まいの市区町村の一覧で確かめてください。

件数は当サイトの掲載データ(厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータ、47都道府県に掲載あり)、人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」(2026年1月1日現在)によるものです。どちらも更新のたびにこの数字も変わります。

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