訪問入浴介護とは?浴槽を運ぶ入浴サービスの内容と費用
寝たきりに近くなっても、湯船につかることはあきらめなくて済みます。訪問入浴介護は、組み立て式の浴槽を家の中に運び込み、3人ほどのチームで入浴を介助するサービスです。
訪問入浴介護とは
専用の浴槽を積んだ車で自宅を訪ね、部屋の中に浴槽を組み立てて入浴を介助します。来るのは、ふつう介護職員2人と看護職員1人の3人です。寝返りが打てない状態でも、体を支えながら湯につかることができます。
全国での指定は1,527件、65歳以上1万人あたり0.4件です。訪問介護と比べるとはるかに少ないサービスで、専用の車と三人一組の体制が要るためです。市区町村によっては、来られる事業所が一つしかないこともあります。
当日の流れ
- 到着後、看護職員が体温・血圧・脈を測り、その日入浴できる状態かを確かめる
- 部屋に防水シートを敷き、浴槽を組み立てる(畳1枚ほどの場所があれば入ります)
- 衣類を脱ぐ介助を受け、担架のような専用の板で浴槽へ移る
- 洗髪・洗身・入浴(湯につかっている時間はおよそ5分から10分)
- 体を拭き、着替え、髪を乾かす
- 浴槽を片づけ、体調をもう一度確かめて終了
出入りから片づけまで、全体でおよそ45分から1時間です。お湯は事業所が持参する場合と、自宅の給湯を使う場合があります。自宅の水道と電気を使うため、そのぶんの実費を求められることがあります。
体調が悪い日は、部分浴や清拭に切り替えられる
当日の測定で熱があるなど全身の入浴が難しいときは、足だけの部分浴や、蒸しタオルで体を拭く清拭に切り替えます。この場合は費用が少し安くなります。無理に入れず、その日の状態で決められるのが、看護職員が同行する強みです。
費用の目安(1割負担の場合)
| 内容 | 目安(1割負担・1回) |
|---|---|
| 全身浴(3人で対応) | 約1,270円 |
| 部分浴・清拭に変更した場合 | 約1,140円 |
| 介護職員のみ2人で対応した場合 | 約1,210円 |
似ているサービスとの違い
| 場所 | 向いている状態 | |
|---|---|---|
| 訪問入浴介護 | 自宅(浴槽を持ち込む) | 寝返りや起き上がりが難しく、浴室まで移れない |
| 訪問介護の入浴介助 | 自宅の浴室 | 支えがあれば浴室まで行き、浴槽をまたげる |
| デイサービスの入浴 | 通う施設の浴室 | 外出ができ、通うこと自体が気分転換になる |
| 訪問看護での清拭 | 自宅(ベッド上) | 入浴が体に負担で、体を拭くだけにとどめたい |
費用だけを見ると訪問入浴介護は高く感じますが、浴室の改修や、家族が二人がかりで支える負担と比べて考えてみてください。週1回でも湯につかれると、睡眠や食欲が変わることがあります。
準備しておくこと
- 浴槽を置く場所(畳1枚ほど。家具を少し寄せれば足ります)
- 玄関から部屋までの通り道(機材を運び込みます)
- バスタオル、着替え、使っているシャンプーや石けん
- 駐車できる場所(近くにない場合は事前に相談してください)
家の風呂に入れなくなったとき
浴槽をまたげない、床で滑る、体を支えられない。この段階で入浴を諦めてしまう家庭があります。
入らない期間が続くと、皮膚のトラブルや、においによる本人の引け目につながります。 家の風呂が使えないことと、入浴を諦めることは別です。 手段はあります。
来る人数と、家の中の場所
浴槽を運び込み、湯を入れ、入浴を介助し、片付ける。複数の職員が来て、居間などに一時的に場所を取ります。
どれくらいの広さが要るか、車をどこに停めるかを、契約の前に確かめてください。 集合住宅や、道が狭い地域では、ここが問題になります。下見に来てもらえます。
体調によっては、その日は入れない
来てから熱を測り、血圧を測って、入れるかどうかを判断します。基準に届かなければ、体を拭くだけに変わります。
断られたと感じる家族がいますが、これは安全のためです。 どういう場合に中止になるのかを、先に聞いておいてください。納得の度合いが変わります。
他の入浴の手段と、比べる
デイサービスで入る、訪問介護に介助してもらう、家を直して自分で入る。選択肢は複数あります。
本人の状態と、家族が求めるものによって、向くものが変わります。 費用も違います。ケアマネジャーに、この4つを並べて比べてもらってください。
- マンションの上階でも頼めますか。
- 頼めます。浴槽は分解して運び込めます。エレベーターの大きさや、玄関までの通路の幅は事前に確認されます。
- 家の中が水浸しになりませんか。
- 防水シートを敷いたうえで作業します。排水はホースで浴室や洗面所へ流すため、部屋が濡れることはほとんどありません。
- 医療的なケアを受けていても入れますか。
- 胃ろうやカテーテルがあっても、看護職員が保護したうえで入浴できることが多くあります。主治医の意見をもとに判断されるので、まずは相談してください。
訪問入浴介護の数は、都道府県で8倍ひらいている
全国の訪問入浴介護は1,527件です。ただし件数をそのまま並べても、人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いのかどうかは分かりません。65歳以上の人数で割ると比べられるようになります。全国では65歳以上1万人あたり0.4件です。
いちばん多いのは長野県(0.8件)、いちばん少ないのは高知県(0.1件)で、同じ国の中で8倍のひらきがあります。住んでいる場所によって、選べる事業所の数がこれだけ変わるということです。
| 順位 | 都道府県 | 件数 | 65歳以上1万人あたり |
|---|---|---|---|
| 1位 | 長野県 | 49件 | 0.8件 |
| 2位 | 岩手県 | 31件 | 0.8件 |
| 3位 | 宮城県 | 45件 | 0.7件 |
| 4位 | 福島県 | 40件 | 0.7件 |
| 5位 | 千葉県 | 103件 | 0.6件 |
| 47位 | 高知県 | 2件 | 0.1件 |
| 46位 | 長崎県 | 9件 | 0.2件 |
| 45位 | 鳥取県 | 5件 | 0.3件 |
| 44位 | 佐賀県 | 7件 | 0.3件 |
| 43位 | 島根県 | 7件 | 0.3件 |
この上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入るのは1県です。高齢者が多い地域ほど訪問入浴介護が多い、という単純な関係にはなっていません。
数が少ない地域が、そのまま「足りない」という意味になるとは限りません。1か所あたりの規模が大きい、近隣の市区町村から通っている、別の種類のサービスで代えている、といった事情は件数からは読み取れないためです。実際に使えるかどうかは、お住まいの市区町村の一覧で確かめてください。
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