話しておかないと、家族が代わりに決めることになる

介護の窓口 編集部公開 2026-08-22

縁起でもない話に見えますが、これをしていなかったために、家族が一生悩み続けることがあります。

決めるのは、いつか誰かがする

意識が無い、判断ができない状態になったとき、医療の方針は誰かが決めなければなりません。本人の考えが分からなければ、家族が推し量って決めることになります。

「あのとき自分が決めたことでよかったのか」と何年も悩む家族がいます。 人生会議は、本人のためであると同時に、残される人のためのものでもあります。

一度で決めきらない

一回話して書面にして終わり、ではありません。気持ちは変わります。 病気が分かったとき、入院したとき、家族の状況が変わったとき。そのたびに話し直してよい、というのがこの取り組みの前提です。

書面に残っていても、それだけで実行されるわけではありません。 家族と医療の担当者が内容を知っていて、いざというときに取り出せる状態になっていて初めて働きます。かかりつけ医とケアマネジャーに共有してください。

話す中身

  • 大事にしていること、してほしくないこと
  • どこで過ごしたいか(家、施設、病院)
  • 食べられなくなったときにどうしたいか
  • 救急車を呼ぶか、心肺蘇生を望むか
  • 自分で決められなくなったとき、誰に判断してほしいか

切り出し方

正面から「死んだらどうする」と聞くと、たいてい話が止まります。他の人の話、テレビで見た話、入院したときの経験から入ると続くことがあります。「私はこうしてほしいと思っている」と自分の話から始める方法もあります。

答えを引き出すことが目的ではありません。 一度で決まらなくても、話題にできた事実が残ります。次に話しやすくなります。

決める人を、先に決めておく

話し合いの中身より先に、はっきりさせておいたほうがよいことがあります。本人が答えられなくなったとき、誰に聞いてほしいかです。

子が何人もいると、その場に居合わせた人が答えることになり、後から別のきょうだいが納得しないことが起きます。決める人が一人に決まっていれば、その人を家族全員で支える形になります。 選ばれた人にその場で一人で背負わせないための取り決めでもあります。

介護の担当者も、その場にいてよい

人生会議は医師と家族だけのものではありません。ケアマネジャー、訪問看護師、施設の職員も加われます。

ふだんの暮らしを見ているのは介護の側です。 何を楽しみにしているか、どこまで自分でやりたい人か。診察室では出てこない話が、そこにあります。担当者会議の場を使って話を始めることもできます。

書いたものを、どこに置くか

引き出しの奥にしまってあると、いざというときに間に合いません。救急車が来るのは数分後で、書類を探している時間はありません。

冷蔵庫や玄関など、場所を家族と担当者の全員が知っている状態にしてください。 市区町村によっては、救急のときに見せる情報を入れておく容器を配っています。入れてあることを、同居していない家族にも伝えておいてください。

決めていないことがあってよい

すべての場面を先に決めきることはできません。実際に起きることは、話し合ったときに想像していたものと違う形で来ます。

それでも「何を大事にしたい人か」が伝わっていれば、そこから考えられます。 手当ての一つひとつに丸を付けることより、そちらのほうが後で効きます。分からないところは分からないままにして、話を止めないでください。

一度で決めるものではない

書いて終わりではありません。体調が変われば、考えも変わります。

変わってよいものです。 節目ごとに、また話す。 入院したとき、施設に移るとき、誕生日。きっかけを決めておくと、続きます。

本人が言い出しにくい話

家族に気を使って、本音を言わないことがあります。逆に、家族が縁起でもないと遮ることもあります。

医師や看護師が間に入ると、話しやすくなります。 診察のときに、その旨を伝えてください。第三者がいる場のほうが、率直な言葉が出ます。

決められないことも、記録になる

「まだ決められない」「そのときの状況で判断してほしい」。それも立派な意思表示です。

誰に判断を委ねたいかだけでも、決めておいてください。 そこが決まっているだけで、家族の間の争いが減ります。中身より、任せる人を先に決める。

書いたものを、届く場所に置く

引き出しの奥にしまっておくと、必要なときに出てきません。間に合いません。

かかりつけ医、施設、ケアマネジャー、離れて住む家族。 同じ内容を持っておいてもらってください。救急のときに、その紙が本人の代わりに話します。

本人が話したがりません。
無理に進めないでください。嫌がっているのに繰り返すと、追い詰めることになります。医師や看護師から自然な形で切り出してもらえることがあります。
書式はありますか。
市区町村や医療機関が、話し合いの手引きや記入用紙を用意していることがあります。決まった様式でなければならないものではありません。地域包括支援組織やかかりつけ医に聞いてください。

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