介護保険の上限額とは?超えた分はどうなるのか
介護保険は使い放題ではありません。1か月にどれだけ使えるかの枠が決まっていて、その枠の広さは要介護度で変わります。ケアプランは、この枠の中を組み立てる作業でもあります。
上限は「円」ではなく「単位」で決まっている
介護保険の上限額は、円ではなく単位という数え方で決められています。1単位の値段は10円が基本ですが、地域とサービスの種類によって10円より高くなります。人件費の水準が地域で違うためで、都市部ほど高くなります。
このため、同じ要介護3でも、実際に使える金額は住んでいる地域で少し変わります。ケアプランに書かれた単位数を見て、金額が気になるときはケアマネジャーに聞けば、その地域の換算で教えてもらえます。
上限を超えたらどうなるか
上限までは1割から3割の負担で使えます。超えた分は全額が自己負担になります。 1割負担の人であれば、超えた部分だけ負担が10倍になる計算です。
ただし、超えること自体が悪いわけではありません。介護をする家族が倒れそうなときに、上限を超えてでもショートステイを足すという判断はあり得ます。大切なのは、超えることを知らないまま請求書で気づく事態を避けることです。
上限の外にあるもの
- 福祉用具の購入費(年10万円の別枠)
- 住宅改修費(原則20万円の別枠)
- 特定施設入居者生活介護や施設サービス(1か月の費用が定額で決まる形)
- 居宅療養管理指導など、上限の対象外とされているサービス
負担が重くなったときのしくみ
1か月の自己負担が一定の額を超えたときは、超えた分が後から戻る高額介護サービス費があります。上限を超えて全額負担した分は対象になりませんが、通常の1割から3割の負担が積み上がった場合には効きます。
上限は暦の月で区切られる
枠は毎月1日にいっぱいまで戻り、月末で締められます。使い切れなかった分を翌月へ持ち越すことはできません。逆に言えば、来月まで待てるものを月をまたいで置けば、超えずに済むことがあります。
引っかかりやすいのがショートステイです。 月末から月初にかけて連続で泊まると、1回の利用が2か月に分かれて数えられます。片方の月だけが上限を超えてしまうことがあるので、日程を決める前にケアマネジャーに単位数の見込みを聞いてください。
超えそうなときに、まず見るところ
同じ目的でも、組み方によって単位数は変わります。訪問介護は身体介護と生活援助で単価が違い、通所介護は預かる時間の長さで区分が分かれています。「回数を減らす」より先に、「同じ回数のまま組み替えられないか」を検討する余地があります。
また、上限の枠に入らないサービスへ置き換えられる部分もあります。住宅改修で手すりを付けたことで見守りの訪問を減らせた、という形です。福祉用具の購入費と住宅改修費は別枠なので、枠の圧迫にはなりません。
それでも毎月のように超えるようになったら、在宅で組み続けること自体が限界に来ている合図かもしれません。施設サービスや特定施設は1か月の費用が定額で決まる形なので、比べてみる価値があります。
使った量は毎月、紙で確かめられる
ケアマネジャーは毎月、その月に使う予定を書いたサービス提供票を作り、本人に渡します。ここに、サービスごとの単位数と合計、そして区分支給限度基準額に対してどれだけ使うかが並んでいます。
見方が分からなくても、合計の欄と限度額の欄だけ見比べれば、余裕があるのかぎりぎりなのかは分かります。分からない行があれば、その場で聞いて構いません。この紙を毎月見る習慣があるだけで、請求書で驚くことはほぼ無くなります。
上限に入らないものがある
すべてのサービスがこの枠で数えられるわけではありません。施設に入って受ける介護や、居宅療養管理指導のように、枠の外で扱われるものがあります。
住宅改修と福祉用具の購入は、別に上限が決められています。 どれがどの枠に入るかは、種類ごとに違います。 いま使っているものがどう数えられているかは、毎月の明細とケアマネジャーの説明で確かめてください。
限度額と、自己負担の上限は別
限度額は「保険で使える量」の話です。そこに収まっていても、自己負担そのものが重くなることはあります。
払った額が一定を超えたときに戻ってくるしくみが別にあります。 医療費と合わせて考えるしくみもあります。枠の話と負担の話を混ぜないほうが、どちらも分かりやすくなります。
使い切らなくてよい
限度額いっぱいまで使うことが正しいわけではありません。必要な量を組んだ結果、余ることは何の問題もありません。
余っているからと予定を足すと、本人の負担も費用も増えます。 通う日を増やしたことで疲れてしまう人がいます。枠は目標ではなく、天井です。
超えそうなときに、先に分かる
ケアプランを作る段階で、月にどれだけ使うかは決まっています。超えるかどうかは、使ってから分かるものではありません。
「いま限度額のどのあたりですか」と、ケアマネジャーに聞いてください。 超える見込みなら、区分変更を出すか、保険外の組み合わせに替えるかを先に選べます。請求書で気づくのが、いちばん高くつきます。
- 上限が余ったら、翌月に繰り越せますか。
- できません。上限は1か月ごとに区切られていて、使わなかった分は消えます。
- 上限を超えそうなとき、事前に分かりますか。
- ケアプランを作る段階で単位数の合計が分かります。ケアマネジャーは超える見込みがあれば説明する立場にあります。心配なときは「今月は上限に対してどれくらいですか」と直接聞いてかまいません。
居宅介護支援が1件も無い市区町村が37ある
数のうえでは、居宅介護支援は全国に35,879件です。65歳以上1万人あたりにすると全国で10.0件です。定員が分かっている11,014件では、まんなかの定員が64人でした。運営しているのは27,536の法人です。
65歳以上1万人あたりで多い順に並べると、上位は和歌山県・沖縄県・大阪府です。この上位5県には、高齢化率で全国10位以内に入る都道府県が1つもありません。高齢者が多い地域ほど居宅介護支援が多い、という関係にはなっていません。少ないほうは鳥取県・新潟県・茨城県の順です。
掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,855市区町村で、37の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。
この記事の出典
- 厚生労働省サービスにかかる利用料2026-08-22 確認
- デジタル庁 e-Gov法令検索介護保険法(平成九年法律第百二十三号)2026-08-22 確認
- 福祉医療機構 WAM NET介護保険制度解説2026-08-22 確認
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