認定結果に納得できないとき。区分変更と審査請求の使い分け

介護の窓口 編集部公開 2026-08-22

思ったより軽い区分が出たとき、ほとんどの家族は納得できないまま受け取ります。制度には言い直す道が二つ用意されていて、それぞれ向いている場面が違います。

二つの道は、目的が違う

区分変更申請と審査請求
区分変更申請審査請求
出す先市区町村都道府県の介護保険審査会
向いている場面実際の状態と結果が合っていない判定の手続きや扱いに不服がある
やり直すこと認定調査からもう一度処分が正しかったかの審理
かかる時間通常の認定と同じく原則30日以内数か月かかることがある
期限いつでも出せる結果を知った日の翌日から3か月以内

実務では、まず区分変更申請

納得できないと感じたときに、多くの現場が先に選ぶのは区分変更申請です。 調査からやり直せるうえ、審査請求より早く結論が出るからです。前の調査のときに伝えきれなかった困りごとを、今度はもれなく伝えられます。

ただし、区分変更申請は「状態が変わったから」出すものです。まったく同じ状態のまま出しても、同じ結果が返ってくる可能性は高いと考えたほうが現実的です。前回の調査で言えなかった事実、その後に増えた困りごとを整理してから出します。

何が伝わっていなかったのかを探る

市区町村に情報公開を請求すると、認定調査票と主治医意見書の写しを受け取れます。読むと、家族の見ている姿と記録の食い違いが具体的に分かります。たとえば夜間の見守りが記録に残っていない、物忘れの頻度が実際より少なく書かれている、といったことです。

一人で抱えず、地域包括支援センターかケアマネジャーに相談してください。どこが判定に効いたのかを読み解くのは慣れが要る作業で、専門職は日常的にこれを見ています。

審査請求が向く場面

調査が行われないまま結果が出た、明らかに別人の記録が使われている、といった手続きそのものへの不服なら審査請求です。結果を知った日の翌日から3か月以内という期限があるので、迷っているうちに過ぎないよう注意します。

思ったより軽く出るときの、よくある理由

不正が行われたのではなく、伝わっていなかっただけ、という場合がほとんどです。調査の日にたまたま調子がよかった、本人が他人の前で「できます」と答えた、家族が立ち会えなかった、主治医がふだんの生活を知らなかった。この四つで大半が説明できます。

とくに認知症は、短い会話では見えにくいものです。その場では受け答えができるのに、5分後には同じことを聞くという状態は、家族が言わなければ記録に残りません。もの忘れの回数、火の消し忘れ、夜間に外へ出ようとしたこと。こうした事実が抜けていたのなら、次の調査で入れれば結果は変わり得ます。

出す前に、有効期間を確かめる

はじめての認定は原則6か月です。結果に納得できないと感じた時点で、更新までもう数か月しか残っていないことがあります。残りが短いなら、区分変更を出すより、更新の申請にそなえて記録を整えるほうが実りがあります。 どちらも調査からやり直す点は同じだからです。

記録は難しく考える必要はありません。カレンダーの余白に、転んだ日、夜に起きた回数、手を貸した場面を書いておくだけで十分です。調査の日に、その紙を調査員に見せられます。

重くなれば得、とも限らない

要介護度が上がると使える枠は広がりますが、通所介護や施設サービスのように、要介護度が高いほど1回あたりの費用も上がるサービスがあります。同じ使い方をしていても、自己負担が増えることがあるということです。

それでも、実態に合った区分を取ることには意味があります。使いたいサービスの入口が開き、家族が無理を重ねずに済むからです。費用が心配なときは、高額介護サービス費や施設での負担軽減のしくみもあわせてケアマネジャーに聞いてください。

出す前に、材料をそろえる

納得がいかないという気持ちだけでは、判断は変わりません。何がどう実態と違うのかを、具体的に示す必要があります。

認定調査票と主治医意見書の写しを、市区町村に求めてください。 どの項目がどう記録されたかが分かります。そこと家の様子との食い違いが、そのまま材料になります。

期限がある

不服申立てには、結果を知った日から数えた期限があります。迷っているうちに過ぎてしまうことがあります。

期限は市区町村の窓口で確かめてください。 出すかどうかを決めきれていなくても、期限だけは先に押さえておいてください。過ぎてしまえば、その道は閉じます。

同じことを繰り返さないために

調査のときに伝わらなかったことが原因なら、次も同じ結果になります。次の申請までに、記録を残す形を作ってください。

日付と回数を書いたものが最も強い材料になります。 転んだ日、夜起きた回数、失敗の頻度。ヘルパーやデイサービスの記録も、ケアマネジャーを通じて集められます。

結論が出るまでの間も、暮らしは続く

申立てをしても、その間の区分は変わりません。いま足りないものは、いまの枠で組み直すしかありません。

保険外のサービスや、市区町村の独自の助成で埋められることがあります。 ケアマネジャーに、いまの区分でできる組み替えを出してもらってください。待つことと、手を打つことは同時にできます。

区分変更申請を出すと、いまのサービスは止まりますか。
止まりません。いまの認定は有効なままで、新しい結果が出た時点で切り替わります。ただし新しい結果が前より軽くなる可能性もあるため、ケアマネジャーとよく相談してから出します。
何度でも出せますか。
回数の制限はありません。ただし短い間隔で繰り返しても状態は変わらないため、次の更新の時期や、状態が動いた時期を選ぶほうが実りがあります。

通所介護が1件も無い市区町村が182ある

数のうえでは、通所介護は全国に24,473件です。65歳以上1万人あたりにすると全国で6.8件です。定員が分かっている10,706件では、まんなかの定員が30人でした。運営しているのは14,326の法人です。

65歳以上の人数で割って多い順に並べると、上から沖縄県・群馬県・宮崎県。少ないほうは北海道・神奈川県・秋田県の順になります。件数そのものの順位とは、まるで違う顔ぶれになります。件数で並べると人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いかどうかは分からないためです。

掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,710市区町村で、182の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。

この節の数字は、当サイトが掲載している通所介護を数えたものです。もとになっているのは厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータと、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」の年齢階級別人口です。どちらも更新のたびに、この数字も変わります。

この記事の出典

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