認定結果に納得できないとき。区分変更と審査請求の使い分け
思ったより軽い区分が出たとき、ほとんどの家族は納得できないまま受け取ります。制度には言い直す道が二つ用意されていて、それぞれ向いている場面が違います。
二つの道は、目的が違う
| 区分変更申請 | 審査請求 | |
|---|---|---|
| 出す先 | 市区町村 | 都道府県の介護保険審査会 |
| 向いている場面 | 実際の状態と結果が合っていない | 判定の手続きや扱いに不服がある |
| やり直すこと | 認定調査からもう一度 | 処分が正しかったかの審理 |
| かかる時間 | 通常の認定と同じく原則30日以内 | 数か月かかることがある |
| 期限 | いつでも出せる | 結果を知った日の翌日から3か月以内 |
実務では、まず区分変更申請
納得できないと感じたときに、多くの現場が先に選ぶのは区分変更申請です。 調査からやり直せるうえ、審査請求より早く結論が出るからです。前の調査のときに伝えきれなかった困りごとを、今度はもれなく伝えられます。
ただし、区分変更申請は「状態が変わったから」出すものです。まったく同じ状態のまま出しても、同じ結果が返ってくる可能性は高いと考えたほうが現実的です。前回の調査で言えなかった事実、その後に増えた困りごとを整理してから出します。
何が伝わっていなかったのかを探る
市区町村に情報公開を請求すると、認定調査票と主治医意見書の写しを受け取れます。読むと、家族の見ている姿と記録の食い違いが具体的に分かります。たとえば夜間の見守りが記録に残っていない、物忘れの頻度が実際より少なく書かれている、といったことです。
審査請求が向く場面
調査が行われないまま結果が出た、明らかに別人の記録が使われている、といった手続きそのものへの不服なら審査請求です。結果を知った日の翌日から3か月以内という期限があるので、迷っているうちに過ぎないよう注意します。
思ったより軽く出るときの、よくある理由
不正が行われたのではなく、伝わっていなかっただけ、という場合がほとんどです。調査の日にたまたま調子がよかった、本人が他人の前で「できます」と答えた、家族が立ち会えなかった、主治医がふだんの生活を知らなかった。この四つで大半が説明できます。
とくに認知症は、短い会話では見えにくいものです。その場では受け答えができるのに、5分後には同じことを聞くという状態は、家族が言わなければ記録に残りません。もの忘れの回数、火の消し忘れ、夜間に外へ出ようとしたこと。こうした事実が抜けていたのなら、次の調査で入れれば結果は変わり得ます。
出す前に、有効期間を確かめる
はじめての認定は原則6か月です。結果に納得できないと感じた時点で、更新までもう数か月しか残っていないことがあります。残りが短いなら、区分変更を出すより、更新の申請にそなえて記録を整えるほうが実りがあります。 どちらも調査からやり直す点は同じだからです。
記録は難しく考える必要はありません。カレンダーの余白に、転んだ日、夜に起きた回数、手を貸した場面を書いておくだけで十分です。調査の日に、その紙を調査員に見せられます。
重くなれば得、とも限らない
要介護度が上がると使える枠は広がりますが、通所介護や施設サービスのように、要介護度が高いほど1回あたりの費用も上がるサービスがあります。同じ使い方をしていても、自己負担が増えることがあるということです。
それでも、実態に合った区分を取ることには意味があります。使いたいサービスの入口が開き、家族が無理を重ねずに済むからです。費用が心配なときは、高額介護サービス費や施設での負担軽減のしくみもあわせてケアマネジャーに聞いてください。
出す前に、材料をそろえる
納得がいかないという気持ちだけでは、判断は変わりません。何がどう実態と違うのかを、具体的に示す必要があります。
認定調査票と主治医意見書の写しを、市区町村に求めてください。 どの項目がどう記録されたかが分かります。そこと家の様子との食い違いが、そのまま材料になります。
期限がある
不服申立てには、結果を知った日から数えた期限があります。迷っているうちに過ぎてしまうことがあります。
期限は市区町村の窓口で確かめてください。 出すかどうかを決めきれていなくても、期限だけは先に押さえておいてください。過ぎてしまえば、その道は閉じます。
同じことを繰り返さないために
調査のときに伝わらなかったことが原因なら、次も同じ結果になります。次の申請までに、記録を残す形を作ってください。
日付と回数を書いたものが最も強い材料になります。 転んだ日、夜起きた回数、失敗の頻度。ヘルパーやデイサービスの記録も、ケアマネジャーを通じて集められます。
結論が出るまでの間も、暮らしは続く
申立てをしても、その間の区分は変わりません。いま足りないものは、いまの枠で組み直すしかありません。
保険外のサービスや、市区町村の独自の助成で埋められることがあります。 ケアマネジャーに、いまの区分でできる組み替えを出してもらってください。待つことと、手を打つことは同時にできます。
- 区分変更申請を出すと、いまのサービスは止まりますか。
- 止まりません。いまの認定は有効なままで、新しい結果が出た時点で切り替わります。ただし新しい結果が前より軽くなる可能性もあるため、ケアマネジャーとよく相談してから出します。
- 何度でも出せますか。
- 回数の制限はありません。ただし短い間隔で繰り返しても状態は変わらないため、次の更新の時期や、状態が動いた時期を選ぶほうが実りがあります。
通所介護が1件も無い市区町村が182ある
数のうえでは、通所介護は全国に24,473件です。65歳以上1万人あたりにすると全国で6.8件です。定員が分かっている10,706件では、まんなかの定員が30人でした。運営しているのは14,326の法人です。
65歳以上の人数で割って多い順に並べると、上から沖縄県・群馬県・宮崎県。少ないほうは北海道・神奈川県・秋田県の順になります。件数そのものの順位とは、まるで違う顔ぶれになります。件数で並べると人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いかどうかは分からないためです。
掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,710市区町村で、182の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。
この記事の出典
- 厚生労働省要介護認定に係る法令2026-08-22 確認
- デジタル庁 e-Gov法令検索介護保険法(平成九年法律第百二十三号)2026-08-22 確認
- 福祉医療機構 WAM NET介護保険制度解説2026-08-22 確認