高額介護サービス費とは?払いすぎた分が戻るしくみ

介護の窓口 編集部公開 2026-08-22

介護保険には、月ごとの自己負担に天井があります。知らずに払い続けている人が少なくない一方で、一度手続きすれば以後は勝手に戻ってくるしくみです。

月ごとに、世帯で合計して見る

1か月に払った介護サービスの自己負担を世帯で合計し、所得に応じて決まっている上限を超えた分が戻ります。夫婦とも介護保険を使っている場合は、二人分を合わせて計算します。

上限の額は所得の段階ごとに決まっていて、生活保護を受けている人がいちばん低く、現役並みの所得がある人がいちばん高くなります。額は改正で変わるため、今の額はお住まいの市区町村の案内で確かめてください。

対象になるもの、ならないもの

計算に入るかどうか
費目対象
訪問介護・通所介護などの自己負担入る
施設サービスの介護部分の自己負担入る
施設の食費・部屋代入らない
福祉用具の購入費、住宅改修費入らない
上限(区分支給限度基準額)を超えて全額払った分入らない
おむつ代、日用品費、理美容代入らない

手続きは、はじめの一度だけ

はじめて上限を超えた月があると、市区町村から支給の案内と申請書が届きます。口座を届け出て一度申請すれば、以後は該当した月の分が自動で振り込まれます。 毎月申請する必要はありません。

案内が届くのは、サービスを使った月から数か月あとです。事業所からの請求が市区町村に届いてから計算するためで、遅れているわけではありません。

2年で時効になる

この給付を受ける権利には時効があり、サービスを使った月の翌月の初日から2年で消えます。案内が届いていたのに申請しないまま置いていると、受け取れなくなります。心当たりのある郵便は開けてください。

同じ量を使っても、分け方で戻る額が変わる

上限は月ごとに区切られています。ということは、同じ量を使っても、1か月に集中させたほうが上限を超えやすく、2か月に分けると超えないことがあります。

これは節約の技ではなく、しくみの理解として知っておく話です。必要なときに必要なだけ使うのが本筋で、月をまたがせるために我慢するのは本末転倒です。ただ、ショートステイのように日程を選べるものについては、ケアマネジャーが月をまたぐ組み方を提案してくることがあります。その意味が分かっていれば、話が早く進みます。

世帯とは、住民票の世帯のこと

ここでいう世帯は、住民票の上での世帯です。同じ家に住んでいても世帯を分けていれば別に数え、離れて暮らしていても同じ世帯なら合算します。

世帯を分けると上限が下がることはありますが、いいことばかりではありません。 国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料、施設の食費や部屋代の軽減、税の扶養の扱いにも同時に響きます。手続き自体は市区町村の窓口でできてしまうので、動かす前に、影響の全体を窓口で確かめてください。

施設に入っている人ほど、毎月効いてくる

在宅で使っている量では、上限に届かないこともあります。一方、施設に入ると介護の部分だけで毎月まとまった額になるため、所得の段階によっては毎月のように該当します。

ただし、施設の請求の大部分を占める食費と部屋代は、この制度の対象外です。そちらを軽くするのは負担限度額認定という別の制度で、こちらは毎年の申請が要ります。 二つは名前も窓口も似ていますが、別々に手続きするものだと覚えておいてください。

振り込まれたことに気づかない人がいる

戻ってくるお金は、届け出た口座に振り込まれます。通帳には市区町村の名前で記帳されるため、年金や他の給付と見分けがつきにくく、気づかないまま過ぎることがあります。

何か月分がいつ振り込まれたかは、市区町村の介護保険担当に聞けば教えてもらえます。医療費控除の申告で介護の自己負担を計上するときには、この戻った分を差し引く必要があるので、年に一度は確かめておくとよいでしょう。

一度申請すれば、次からは自動

最初に申請して口座を届け出ておけば、その後は該当した月に自動で振り込まれます。 毎月出し直す必要はありません。

逆に、最初の申請をしていないと、いくら超えても戻ってきません。 市区町村から案内が届くことがありますが、届かないこともあります。 心当たりがあるなら、こちらから担当課に聞いてください。

数えるのは世帯の合計

本人ひとりの支払いだけを見るのではありません。同じ世帯に介護保険を使っている人が複数いれば、合わせて数えます。

夫婦でどちらも使っている場合は、ここが効きます。 別々に見ていると、超えていることに気づきません。世帯の構成が変わったときも、扱いが変わることがあります。

数えないものがある

払ったものが全部この対象になるわけではありません。福祉用具の購入費、住宅改修費、施設の食費と居住費、保険外のサービスは、ここでは数えません。

「たくさん払ったのに戻ってこない」の理由は、たいていここです。 対象になるのは、介護保険のサービスを使ったときの自己負担分です。明細のどこが対象かは、ケアマネジャーに聞けば分かります。

遡って請求できる期間がある

過去に該当していたのに申請していなかった分を、後から請求できる場合があります。ただし、遡れる期間には限りがあります。

心当たりがあるなら、早く市区町村へ相談してください。 施設に入っていた期間や、サービスを多く使っていた時期は該当していることがあります。過ぎた分は戻りません。

施設に入っていますが、思ったより戻りません。
施設の費用のうち、食費と部屋代はこの制度の対象外です。介護の部分だけが計算に入るため、請求額の全体と比べると戻る額は小さく見えます。食費と部屋代については、負担限度額認定という別のしくみを確かめてください。
世帯を分けると得になりますか。
上限は世帯の所得区分で決まるため、世帯を分けると区分が変わることはあります。ただし住民票の世帯分離は、税や医療保険の扱いにも影響します。目先の一点だけで判断せず、市区町村の窓口で全体を確かめてください。

特定福祉用具販売が1件も無い市区町村が725ある

数のうえでは、特定福祉用具販売は全国に5,839件です。65歳以上1万人あたりにすると全国で1.6件です。運営しているのは3,938の法人です。

65歳以上1万人あたりで多い順に並べると、上位は和歌山県・島根県・奈良県です。上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入るのは1県です。高齢者の多さだけで事業所の数が決まるわけではない、ということになります。少ないほうは宮崎県・石川県・青森県の順です。

掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,167市区町村で、725の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。

この節の数字は、当サイトが掲載している特定福祉用具販売を数えたものです。もとになっているのは厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータと、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」の年齢階級別人口です。どちらも更新のたびに、この数字も変わります。

この記事の出典

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