年金から引かれるもの、残るもの。介護がはじまる前に見ておく
年金の額と、そこから引かれるものを並べてみると、毎月介護に使える金額が見えてきます。介護がはじまってからでは、落ち着いて計算する時間がありません。
年金から先に引かれているもの
65歳以上の人の年金からは、介護保険料と、後期高齢者医療または国民健康保険の保険料が天引きされます。所得によっては所得税と住民税も引かれます。振込通知書に内訳が書かれています。
通知書を実際に見たことがない家族は多くいます。 介護の話を始めるとき、本人と一緒に一度見ておくと、その後の判断がずいぶん具体的になります。
介護がはじまると加わるもの
| 在宅 | 施設 | |
|---|---|---|
| 介護サービスの自己負担 | 使った量に応じて | 要介護度に応じてほぼ定額 |
| 食費 | これまでどおり | 施設に払う |
| 部屋代 | これまでどおり(家賃・住宅費) | 施設に払う |
| おむつ代・日用品 | 実費 | 実費 |
| 医療費 | 通院・薬 | 通院・往診・薬 |
見ておくべき三つの数字
- 年金の手取り額(天引き後に実際に振り込まれる額)
- 貯蓄と、それを何年で使う見通しか
- 毎月の固定の出費(住まい、医療、通信、保険料)
この三つが分かれば、月にいくらまで介護に使えるかが出ます。ケアマネジャーに伝えれば、その範囲で組み立ててもらえます。金額を伝えるのは失礼なことではなく、現実的な計画のために必要な情報です。
本人のお金を家族が扱えなくなる前に
判断能力が落ちると、本人名義の口座からお金を動かせなくなります。定期預金の解約、施設の費用の支払い、家の売却などが止まります。元気なうちに、代理人を届け出る、任意後見を考えるといった手当てをしておくと、後の負担が変わります。
年金は2か月に一度しか入らない
年金が振り込まれるのは、偶数月の15日です。1回の振り込みで2か月分が入ります。ここを月割りで考えていないと、振り込みのない月に資金が足りなくなります。
一方、介護サービスの利用料や施設の費用は毎月請求されます。入ってくるのは2か月に一度、出ていくのは毎月という食い違いが、家計を分かりにくくしています。口座に何か月分を置いておくかを決めておくと、見通しが立ちます。
配偶者が亡くなると、収入は下がる
夫婦二人の年金で暮らしていた世帯は、どちらかが亡くなると受け取る額が減ります。遺族年金に切り替わっても、二人分がそのまま残るわけではありません。
残されたほうが介護を受ける立場になったとき、この差が効いてきます。 生活費は一人分になっても、住まいの費用や固定の出費はそれほど減りません。介護の計画を立てるときは、いまの世帯収入ではなく、片方だけになったときの額でも一度考えておいてください。
天引きが重くなりすぎるとき
年金からは、介護保険料と医療保険の保険料、場合によっては住民税と所得税が引かれます。天引きの合計が年金額に対して大きくなると、天引きの対象から外れて納付書での納付に切り替わることがあります。
手取りが想定と違うときは、振込通知書の内訳を見てください。引かれているものの一つひとつに、軽減や減免のしくみがあります。保険料が重いと感じたら、市区町村の窓口で「うちの段階は何段階ですか」と聞くところから始まります。
家族が知っておくべきこと
年金がどの口座に入っているか、通知書をどこにしまっているか、この二つを家族が知らないまま本人が入院することがあります。そうなると、施設の費用の支払いも、制度の申請も止まります。
本人が元気なうちに、通帳の保管場所と年金の受取口座だけは共有しておいてください。金額まで聞き出す必要はありません。どこに何があるかが分かっていれば、いざというときに動けます。
年金の中身を、家族が知らない
月にいくら入っているのか、いつ入るのか。本人しか知らないまま介護が始まることがよくあります。
本人が答えられなくなってからでは、調べるのに手間がかかります。 元気なうちに、通帳と年金の通知を一緒に見ておいてください。 「いくらあるか」ではなく「毎月いくら入るか」が要ります。
施設に入ると、収支の形が変わる
在宅では、家の維持費と介護の費用が両方かかります。施設に入ると、そこが入れ替わります。
家を空けたままにするなら、その費用も続きます。 固定資産税、光熱費、火災保険。施設の費用だけを見て決めると、思っていた額と合わなくなります。
年金だけで足りないときの順番
まず、使える制度を当たります。負担を軽くするしくみが複数あり、どれも申請が要ります。
次に、本人の預金をどこまで使うかを決めます。 何年続くか分からないので、月にいくらまでという形で考えてください。足りない分を家族が出す話は、その後です。
亡くなったあとに、止める手続きがある
年金は、亡くなったことを届け出るまで止まりません。受け取りすぎた分は返すことになります。
未支給の年金を受け取れる場合もあります。 どちらも手続きが要ります。年金事務所か、市区町村の窓口で確かめてください。 亡くなった直後は手続きが重なるので、一覧にして順に片づけてください。
- 年金だけで施設に入れますか。
- 施設の種類と年金額によります。特別養護老人ホームは費用が抑えられていて、所得が低い場合は負担限度額認定も使えます。有料老人ホームは幅が大きく、入居一時金が要ることもあります。地域包括支援センターで、その地域の実際の水準を聞いてください。
- 本人の年金額が分かりません。
- 毎年届く年金額改定通知書か、年金振込通知書で分かります。見当たらないときは、日本年金機構のねんきんネットや年金事務所で確かめられます。本人以外が手続きするには委任状が要ります。
この記事の出典
- 日本年金機構各通知書の見方2026-08-22 確認
- 日本年金機構年金額改定通知書・年金振込通知書2026-08-22 確認
- 厚生労働省介護保険制度について(40歳になられた方へ)2026-08-22 確認
- 厚生労働省サービスにかかる利用料2026-08-22 確認
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