介護にかかるお金の全体像。何が保険で、何が実費か
請求書を見て驚くのは、たいてい保険が効かない部分が積み上がったときです。どこまでが保険で、どこからが実費なのかを先に押さえると、見通しが立ちます。
お金は三つの層に分かれている
| 層 | 中身 | 負担 |
|---|---|---|
| 介護保険が効く部分 | 訪問介護、デイサービス、施設の介護部分など | 1割から3割 |
| 介護保険の対象外 | 食費、部屋代、日用品、理美容、レクリエーション実費 | 全額 |
| 上限を超えた部分 | 区分支給限度基準額を超えて使ったサービス | 全額 |
請求額が想像より大きいときは、たいてい真ん中の層が膨らんでいます。 特に施設では、介護保険が効く部分より食費と部屋代のほうが大きくなることも珍しくありません。
在宅と施設で、増え方が違う
自宅で暮らす場合、費用は使ったサービスの量に応じて増えます。デイサービスを週2回から週4回に増やせば、その分だけ増えます。一方、施設に入ると、介護の部分は要介護度に応じた定額に近くなり、そこに食費と部屋代が固定で乗ります。
このため、在宅では「使う量を調整することで費用も調整できる」のに対して、施設では「入った時点で毎月の額がおおよそ決まる」という違いがあります。
負担が重いときに効くしくみ
- 高額介護サービス費 … 1か月の介護の自己負担が上限を超えたら、超えた分が戻る
- 負担限度額認定 … 所得が低い人の、施設の食費と部屋代が軽くなる
- 高額医療・高額介護合算療養費 … 1年分の医療費と介護費を合わせて重いとき
- 医療費控除 … 介護サービスの一部が確定申告で所得から引ける
- 障害者控除対象者認定 … 要介護の状態によって、税の障害者控除が受けられることがある
本人のお金で払うのが原則
介護の費用は、本人の年金や貯蓄から払うのが原則です。家族が立て替え続けると、あとで相続の場面で説明がつかなくなることがあります。立て替えたときは、日付と金額と用途を残しておくと、後の説明が楽になります。
毎月のものと、はじめだけのものを分ける
介護のお金を考えるとき、毎月続けてかかるものと、はじめの時期にまとまってかかるものを分けておくと見通しが立ちます。この二つを一緒にすると、最初の月の請求を見て「これが毎月続くのか」と身構えることになります。
はじめの時期にかかるのは、手すりの取り付けや段差の解消といった住宅改修、腰かけ便座や入浴用のいすといった福祉用具の購入、施設や住まいに入るときの一時金です。住宅改修と福祉用具の購入には、毎月の上限とは別の枠が用意されていますので、使えるものは使ってしまうほうが得です。
毎月かかるのは、サービスの利用料と、施設なら食費と部屋代です。ここが家計に収まるかどうかが、続けられるかどうかを決めます。
在宅で費用が膨らむのは、家族が限界に来たとき
自宅で暮らしているうちは、費用は使った量に比例します。落ち着いているあいだは、それほど大きくなりません。増えるのは、介護している家族が持ちこたえられなくなったときです。
ショートステイを増やす、夜間に対応するサービスを足す、遠方の家族が帰る回数が増える。このときに増えるのは介護保険の費用だけではありません。 交通費、仕事を休むことによる収入の減り、家事の外注。数字に表れにくい部分こそ、あとから効いてきます。早めに使う量を増やしておくほうが、結果として安く済むことがあります。
施設の見積もりで見るところ
施設や住まいの費用は、必ず月額の内訳を書面でもらってください。介護保険が効く部分、食費、部屋代、そしてその他の費用。この四つに分かれているかを確かめます。
見落としやすいのが四つめです。日用品費、おむつ代、レクリエーションの実費、理美容代、通院の付き添い代などが、施設によって名前を変えて並びます。「上記のほかに実費」とだけ書かれているときは、実際にいくらになるかを口頭で確かめ、その場でメモしてください。 医療費は別にかかることも、あわせて頭に入れておきます。
払う人と、管理する人
本人の口座から払うのが原則ですが、本人が銀行へ行けなくなると、そこで止まります。判断が難しくなる前に、代理人カードを作る、家族が口座の状況を把握しておくといった備えをしておくと、あわてずに済みます。
判断が難しくなってからは、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業や、成年後見のしくみを使うことになります。どちらも時間がかかる手続きなので、心配が出てきた時点で地域包括支援センターに相談しておいてください。
保険が効かない部分が、月ごとの差になる
介護の費用でつまずくのは、保険の対象になる部分ではありません。食費、居住費、おむつ代、日用品費、送迎の実費。この積み重ねが差になります。
同じサービスを同じだけ使っても、事業所によってここが違います。 契約の前に、保険外の費用を一覧で出してもらってください。 出せない事業所は、その粗さ自体が判断の材料になります。
在宅と施設では、財布の形が違う
在宅では、使ったサービスの分だけ払います。使わなかった月は安く済み、増やせばその分だけ増えます。
施設では、住むこと自体に毎月同じだけかかります。使う量で上下しない代わりに、下限がありません。 どちらが向くかは、必要な介護の量と、いくらまでなら続けられるかで決まります。
年金の範囲で収まるかを、先に見る
費用の話は、いくらかかるかよりいくらまでなら続けられるかから入ったほうが早く決まります。介護は何年続くか分かりません。
本人の年金と、預金と、月々の支出を並べてください。 足りない分を誰がどこまで出すのかを、家族の間で先に決めておくと、後の争いが減ります。この試算は、ケアマネジャーも一緒に考えてくれます。
払えないと分かったときに、道がある
負担が重くなったときに戻ってくるしくみ、施設の食費と居住費を軽くするしくみ、社会福祉法人が行う減免。それぞれ別の制度で、別に申請します。
どれも、申請しなければ動きません。 使えるかどうかは所得や世帯の状況で決まります。市区町村の担当課とケアマネジャーに、いまの状況を正直に伝えてください。 黙って自費で埋めるのがいちばん損をします。
- 介護保険が使えるサービスの費用は、どこの事業所でも同じですか。
- 介護保険が効く部分の単価は国が決めているため、地域による差はあっても事業所ごとの差は基本的にありません。差が出るのは、食事代やおむつ代など、保険の外の部分です。
- 見積もりはもらえますか。
- ケアプランを作るときに、1か月の利用料の見込みが示されます。施設に入る前にも、入居後の1か月にかかる額を書面で示してもらえます。口頭の説明だけで決めないでください。
通所介護は全国に24,473件ある
この記事で触れている通所介護は、当サイトに24,473件掲載しています。65歳以上1万人あたりにすると全国で6.8件です。定員が分かっている10,706件では、まんなかの定員が30人でした。運営しているのは14,326の法人です。
65歳以上の人数で割って多い順に並べると、上から沖縄県・群馬県・宮崎県。少ないほうは北海道・神奈川県・秋田県の順になります。件数そのものの順位とは、まるで違う顔ぶれになります。件数で並べると人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いかどうかは分からないためです。
掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,710市区町村で、182の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。
この記事の出典
- 厚生労働省サービスにかかる利用料2026-08-22 確認
- 福祉医療機構 WAM NET介護保険制度解説2026-08-22 確認
- デジタル庁 e-Gov法令検索介護保険法(平成九年法律第百二十三号)2026-08-22 確認
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