手すりや段差の工事に出る20万円。使う前に必ずすること
この制度でいちばん多い失敗は、良かれと思って先に工事をしてしまうことです。順番を守るだけで、20万円の枠が生きます。
工事の前に申請する。これが絶対
着工前に市区町村へ申請し、承認を受けてから工事をします。 先に工事を済ませてから申請しても、原則として支給されません。急いでいるときほど、この順番が飛ばされます。
申請にはケアマネジャーなどが作る理由書が要ります。手続きはケアマネジャーが慣れているので、まず相談してください。 ケアマネジャーがいない要支援の人は、地域包括支援センターが窓口です。
対象になる工事
- 手すりの取り付け
- 段差の解消(敷居を低くする、スロープを設けるなど)
- 滑りにくい床材への変更、移動しやすい床材への変更
- 開き戸から引き戸などへの扉の取り替え
- 和式便器から洋式便器への取り替え
- 上の工事に付帯して必要になる工事
20万円は生涯の枠。ただし例外がある
対象になる工事費の上限は原則20万円で、その1割から3割が自己負担です。この枠は原則として一人1回ですが、要介護度が3段階以上上がったときと、引っ越して住まいが変わったときは、改めて20万円の枠が使えます。
また、20万円を一度に使い切る必要はありません。今回は手すりだけ、次は段差の解消、と分けて使えます。
賃貸住宅のとき
借家でも使えますが、所有者の承諾が要ります。 退去のときの原状回復をどうするかも、工事の前に決めておきます。承諾を書面でもらっておくと、後の話し合いが楽になります。
どこから手をつけるか
まず、実際に転んでいる場所、ひやりとした場所を思い出してください。工事すべき場所は、家の図面ではなく、その人の1日の動きの中にあります。夜中にトイレへ行く道すじ、浴室の出入り、玄関の上がりかまち。この三つが挙がることが多いところです。
ケアマネジャーや、福祉用具専門相談員、作業療法士が家を見て提案してくれます。本人が実際に歩くところを見てもらうのがいちばんです。 図面と写真だけでは、手すりを付ける高さも向きも決まりません。
見積もりの取り方
見積もりは、保険の対象になる部分と、対象にならない部分を分けて書いてもらいます。ついでに他の場所も直そうという話になりやすく、まとめて書かれると申請のときに切り分けられません。
複数の業者から取っても構いません。工事の内容が同じでも、金額に差が出ることはあります。ただし、介護保険の書類に慣れていない業者だと、着工前の申請でつまずくことがあります。ケアマネジャーに、その地域で慣れている業者を聞いてください。
市区町村独自の助成が乗ることがある
介護保険の20万円とは別に、市区町村が独自に住宅改修の助成を行っていることがあります。浴室の改修や、介護保険では対象にならない工事に出るものもあります。
こちらも、たいてい着工前の申請が要ります。 介護保険の分と合わせて使えるかどうかも含めて、工事を決める前に市区町村の高齢福祉の窓口で確かめてください。当サイトの市区町村ページには、その地域の窓口の情報も載せています。
工事のあとに出すもの
工事が終わったら、領収書、工事費の内訳書、そして改修前と改修後の写真を市区町村へ出します。写真は日付が分かる形で撮っておきます。業者が撮ってくれることが多いのですが、確かめておいてください。
なお、手すりを取り付ける工事をせずに済ませられる場面もあります。床と天井で突っ張るタイプの手すりや、置くだけのスロープは、福祉用具のレンタルや購入で対応できます。工事は元に戻せませんが、用具なら合わなければ替えられます。 どちらがよいかは、ケアマネジャーと相談してください。
工事を始める前に申請する
この費用は、工事の前に申請して、市区町村の承認を受けてからでないと出ません。
先に工事をしてしまうと、対象になっていても支給されません。 業者が「あとで申請できます」と言っても、市区町村に確かめてください。 ここを間違える例が実際にあります。
ケアマネジャーが書く書類が要る
なぜその工事が必要かを説明する書類を、ケアマネジャーなどが作ります。本人と業者だけでは手続きが進みません。
工事を思いついた段階で、ケアマネジャーに伝えてください。 見積もりを取る前に相談したほうが、無駄がありません。必要のない工事を勧められることも防げます。
借家では、大家の承諾が要る
持ち家でなければ、勝手に手を入れられません。所有者の承諾書が必要になります。
断られることもあります。 その場合は、工事をせずに置く形の手すりや、段差を解消する道具で代えられることがあります。福祉用具の貸与で済むなら、そのほうが早く入ります。
一度で使い切らない
支給には上限があります。一度の工事で全部使ってしまうと、状態が変わったときに手が出せません。
いま本当に要るところから順に手を入れてください。 玄関、トイレ、浴室。歩き方が変わってから必要になる場所もあります。 ケアマネジャーと順番を決めてから始めるのが確実です。
- 支払いは一度全額を立て替えるのですか。
- 市区町村によって扱いが違います。いったん全額を払って後から9割前後が戻る償還払いのほか、自己負担分だけを払えばよい受領委任払いを取り入れている市区町村もあります。事前に確かめてください。
- 業者は自由に選べますか。
- 住宅改修は事業所の指定制ではないため、原則として自由に選べます。ただし介護保険の書類に慣れている業者のほうが手続きが滑らかです。ケアマネジャーに紹介を頼めます。
福祉用具貸与は全国に6,960件ある
この記事で触れている福祉用具貸与は、当サイトに6,960件掲載しています。65歳以上1万人あたりにすると全国で1.9件です。運営しているのは4,932の法人です。
65歳以上1万人あたりで見ると、いちばん多いのは島根県(3.4件)、いちばん少ないのは高知県(1.2件)です。同じ国の中で2.8倍のひらきがあります。全国の平均は1.9件なので、島根県は平均の1.8倍にあたります。
掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,210市区町村で、682の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。
この記事の出典
- 厚生労働省福祉用具・住宅改修2026-08-22 確認
- 厚生労働省サービスにかかる利用料2026-08-22 確認
- 福祉医療機構 WAM NET介護保険サービス一覧2026-08-22 確認
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