福祉用具貸与とは?借りられる13品目・費用と申し込みの流れ
介護ベッドを買うと20万円を超えます。介護保険で借りれば、自己負担は月に1,000円前後です。合わなければ返して替えられます。これが福祉用具貸与という仕組みです。
福祉用具貸与とは
介護保険を使って、生活に必要な道具を月ぎめで借りる仕組みです。事業所の福祉用具専門相談員が、体の状態と家の造りを見たうえで、合う品を選びます。
借りものなので、状態が変わったら別の品に替えられます。定期的に点検と手入れがあり、壊れたら直してもらえます。
全国では6,960件が指定を受けています。65歳以上1万人あたり1.9件という数で、事業所は倉庫と手入れの設備を持ち、複数の市区町村へ届けているのがふつうです。住んでいる場所で選べる相手が極端に少なくなるサービスではありません。
借りられる13品目
| 品目 | 主な用途 |
|---|---|
| 手すり | 工事なしで置く。玄関、廊下、ベッドの脇、トイレ |
| スロープ | 工事なしで置く。段差、玄関、車への乗り降り |
| 歩行器 | 歩くのを支える。前腕で支える型もある |
| 歩行補助つえ | 松葉づえ、多点つえ、ロフストランドなど |
| 車いす | 自分でこぐ型と、介助者が押す型 |
| 車いす付属品 | クッション、電動の補助装置など |
| 特殊寝台(介護ベッド) | 背や高さが動くベッド |
| 特殊寝台付属品 | マットレス、サイドレール、テーブル、介助バー |
| 床ずれ防止用具 | エアマットレス、体圧を分散する敷物 |
| 体位変換器 | 向きを変えるのを助ける |
| 認知症老人徘徊感知機器 | 外に出たことを知らせる |
| 移動用リフト(つり具を除く) | 抱え上げずに移す。据置型、床走行型 |
| 自動排泄処理装置 | 尿や便を自動で吸引する |
要介護度による制限
要支援1・2と要介護1の人は、手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえの4品目が基本です。車いす、介護ベッド、床ずれ防止用具などは原則として借りられません。
費用の目安(1割負担・1か月)
| 品目 | 貸与料(全額) | 自己負担(1割) |
|---|---|---|
| 介護ベッド(付属品込み) | 約1万5,000円 | 約1,500円 |
| 車いす | 約5,000円 | 約500円 |
| 歩行器 | 約2,500円 | 約250円 |
| エアマットレス | 約9,000円 | 約900円 |
| 手すり(置き型)1台 | 約3,000円 | 約300円 |
貸与料は事業所ごとに違います(品目ごとの上限額は決まっています)。福祉用具の費用は、訪問介護やデイサービスと同じく区分支給限度基準額の枠の中に入ります。枠を使い切ると全額の負担になるので、ケアマネジャーに合計を確かめてください。
貸与と購入の使い分け
| 福祉用具貸与 | 特定福祉用具販売 | |
|---|---|---|
| 対象 | 介護ベッド、車いすなど13品目 | 入浴・排せつに使う6品目 |
| なぜ分かれるか | 使い回せるもの | 人に貸せない衛生用品 |
| 支払い | 毎月 | 買ったときに1回 |
| 上限 | 限度額の枠の中 | 年10万円まで |
| 状態が変わったら | 替えられる | 買い直しになる |
申し込みの流れ
- ケアマネジャーに「こういうことに困っている」と伝える
- 福祉用具の事業所を紹介してもらう
- 相談員が家に来て、体の状態と家の造りを見る
- 品を選び、実物を持ってきてもらって試す
- 契約して搬入。使い方を教わる
- ケアプランに入れてもらう
試してから決められます。「置いてみたら廊下を通れなかった」ということが実際に起きるので、必ず家で試してください。
借りる形だから、替えられる
体の状態は変わります。買ってしまうと、合わなくなっても使い続けることになります。
借りる形なら、合わなくなった時点で別のものに替えられます。 手入れや故障のときの対応も含まれます。 そこが借りることの値打ちです。
要介護度によって、借りられないものがある
軽い区分では、対象にならない用具があります。必要と感じても、そのままでは借りられません。
状態によっては、例外として認められる道があります。 判断するのは市区町村です。「認められますか」と確かめてください。 事業所の言葉だけで決まるものではありません。
合わない道具は、危ない
高さの合わない杖、大きすぎる車いす、位置のずれた手すり。かえって転ぶ原因になります。
専門の相談員が家を見て、合わせる形になっています。 使ってみて違和感があれば、必ず伝えてください。調整も交換も、契約の中に含まれています。
定期的に、見直す機会がある
借りたまま何年も使い続けている家庭があります。状態が変われば、合う道具も変わります。
定期的に様子を見に来る決まりになっています。 そのときに、使っていないものは返してください。使わない道具の分も、費用がかかり続けています。
- 合わなかったら返せますか。
- 返せます。月の途中で返した場合の扱い(日割りか、その月は全額か)は事業所によって違うので、契約前に聞いてください。
- 中古品が来るのですか。
- 使い回しが基本です。ただし洗浄・消毒が義務づけられており、マットレスのカバーなど直接触れる部分は新しいものになります。気になる点は相談員に伝えてください。
- 壊れたらどうなりますか。
- 事業所に連絡すれば直すか交換します。費用はかかりません。故意に壊した場合を除きます。
- 要支援ですが介護ベッドを借りたいです。
- 原則は対象外ですが、医師が必要と認めれば借りられる場合があります。ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談してください。
福祉用具貸与の数は、都道府県で2.8倍ひらいている
全国の福祉用具貸与は6,960件です。ただし件数をそのまま並べても、人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いのかどうかは分かりません。65歳以上の人数で割ると比べられるようになります。全国では65歳以上1万人あたり1.9件です。
いちばん多いのは島根県(3.4件)、いちばん少ないのは高知県(1.2件)で、同じ国の中で2.8倍のひらきがあります。住んでいる場所によって、選べる事業所の数がこれだけ変わるということです。
| 順位 | 都道府県 | 件数 | 65歳以上1万人あたり |
|---|---|---|---|
| 1位 | 島根県 | 75件 | 3.4件 |
| 2位 | 大阪府 | 777件 | 3.3件 |
| 3位 | 和歌山県 | 97件 | 3.2件 |
| 4位 | 奈良県 | 118件 | 2.8件 |
| 5位 | 徳島県 | 67件 | 2.8件 |
| 47位 | 高知県 | 29件 | 1.2件 |
| 46位 | 茨城県 | 111件 | 1.3件 |
| 45位 | 佐賀県 | 36件 | 1.4件 |
| 44位 | 神奈川県 | 331件 | 1.4件 |
| 43位 | 滋賀県 | 58件 | 1.5件 |
この上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入るのは2県です。高齢者が多い地域ほど福祉用具貸与が多い、という単純な関係にはなっていません。
数が少ない地域が、そのまま「足りない」という意味になるとは限りません。1か所あたりの規模が大きい、近隣の市区町村から通っている、別の種類のサービスで代えている、といった事情は件数からは読み取れないためです。実際に使えるかどうかは、お住まいの市区町村の一覧で確かめてください。
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