介護保険で頼めないこと。保険外サービスの使いどころ

介護の窓口 編集部公開 2026-08-22最終更新 2026-08-25

「それは介護保険ではできません」と言われて戸惑うことがあります。断られたのはヘルパーの都合ではなく、制度の線引きによるものです。

介護保険で頼めないことがある

訪問介護で頼めるのは、本人の暮らしのために必要なことに限られます。同じ家の中の作業でも、本人以外のためのものは対象外です。

線引きの例
頼めること頼めないこと
本人の食事の用意同居している家族の分の食事の用意
本人が使う部屋の掃除家族の部屋、来客用の部屋の掃除
本人の日用品の買い物家族の分の買い物、嗜好品の買い物
本人の洗濯庭の草むしり、ペットの世話
安否の確認金銭の管理、契約行為の代行

断られたときの補い方

介護保険で頼めないことは、次の三つのどれかで補うのが一般的です。どれが向いているかは、頼みたいことの性質と頻度で変わります。

  • 同じ事業所の自費サービス … いま来ているヘルパーに、保険外の時間として頼む
  • 家事代行やシルバー人材センター … 掃除、庭仕事、片づけなど
  • 市区町村の総合事業や独自事業 … 配食、見守り、ごみ出し支援など

同じ日に組み合わせるときの決まり

介護保険のサービスと保険外のサービスを続けて受けることはできます。ただし、どこまでが保険でどこからが自費かを、はっきり分けて説明することが求められています。

請求書で分かれているか、ケアプランに位置づけられているかを確かめてください。 曖昧なまま続けると、あとで思わぬ額になっていることがあります。

自費サービスの料金は事業者が決めるため、事業者ごとに差があります。1時間あたりの額、交通費、最低利用時間の有無を、頼む前に書面で確かめてください。

市区町村の独自事業を見落とさない

介護保険とは別に、市区町村が独自に行っている高齢者向けの事業があります。おむつの支給、緊急通報装置の貸与、寝具の丸洗い、外出のための移送など、名前も中身も市区町村ごとに違います。地域包括支援センターで一覧をもらえます。

「同居家族がいると使えない」は言い過ぎ

家族と同居していると生活援助は使えない、と言われることがあります。これは正確ではありません。同居している家族がいることだけを理由に、一律に使えないと決めるものではないと国も示しています。

見られるのは、その家族が実際にできる状態にあるかどうかです。家族が働きに出ていて日中いない、家族自身が高齢で家事ができない、障害がある。こうした事情があれば、認められることがあります。断られたときは、なぜ使えないのかをケアマネジャーに説明してもらってください。 事情を伝えないまま「同居だから」で終わっている例があります。

保険外を頼むときに確かめること

料金は事業者が決めるため、比べる目安がありません。頼む前に、1時間あたりの額、最低で何時間から頼めるか、交通費が別にかかるか、キャンセルはいつまで無料かを、書面で確かめてください。

もうひとつ大事なのが、家の中に入る人がどういう立場の人かです。事業者として損害保険に入っているか、来る人が誰なのかが事前に分かるか。 高齢者の家に他人が上がるということですから、ここは遠慮せず聞いてよいところです。

保険外が向いている場面

通院の付き添いは、その代表です。介護保険の訪問介護でも通院の乗り降りの介助はできますが、待ち時間や院内での付き添いまでとなると難しくなります。ここを保険外で埋める使い方は多くあります。

ほかに、家じゅうの大掃除、庭の手入れ、施設への引っ越しの片づけ、旅行や墓参りの同行、単に話し相手になってもらう時間。どれも介護保険の目的からは外れますが、暮らしの質にはまっすぐ効きます。当サイトでは、家事代行や配食のサービスも市区町村ごとに載せています。

限度額と関係なく使える

保険外のサービスは全額自己負担ですが、区分支給限度基準額の枠には入りません。

限度額を超えそうなときの逃げ道になります。 超えた分は全額自己負担なので、はじめから保険外で頼むのと払う額は変わりません。どちらで組むかを、ケアマネジャーと計算してください。

同じ事業所が引き受けていることがある

いま来ている訪問介護の事業所が、保険で頼めない部分を自費で引き受けている場合があります。新しい人を家に入れずに済みます。

まず、いまの事業所に聞いてください。 引き受けていないなら、ケアマネジャーが別の先を知っています。このサイトでは、家事代行や配食を市区町村ごとに載せています。

保険と保険外を、混ぜない決まりがある

同じ訪問の中で、保険の分と自費の分を続けて行うときには決まりがあります。時間と中身を分けて記録することが求められます。

あいまいなまま頼むと、後で費用の食い違いが出ます。 どこまでが保険で、どこからが自費かを、契約のときに書面で確かめてください。

続けられる額かどうかを先に見る

自費のサービスは、使えば使うほど積み上がります。月にいくらまでと決めずに始めると、思っていた額を超えます。

先に上限を決めて、その中で組んでください。 足りない分を全部お金で埋めようとすると続きません。保険の組み替えや、市区町村の助成で代えられないかを先に確かめてください。

自費なら何でも頼めますか。
事業者が引き受ける範囲であれば頼めます。ただし医療行為に当たることや、資格が要ることは頼めません。金銭の管理のように、頼む側にも守るしくみが要ることは、日常生活自立支援事業や成年後見制度のほうが向きます。
費用は医療費控除の対象になりますか。
なりません。保険外サービスは介護保険のサービスではないため、医療費控除の対象外です。

訪問介護が1件も無い市区町村が116ある

数のうえでは、訪問介護は全国に34,852件です。65歳以上1万人あたりにすると全国で9.7件です。定員が分かっている8,124件では、まんなかの定員が30人でした。運営しているのは24,743の法人です。

65歳以上の人数で割って多い順に並べると、上から大阪府・和歌山県・徳島県。少ないほうは新潟県・山形県・茨城県の順になります。件数そのものの順位とは、まるで違う顔ぶれになります。件数で並べると人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いかどうかは分からないためです。

掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,776市区町村で、116の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。

この節の数字は、当サイトが掲載している訪問介護を数えたものです。もとになっているのは厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータと、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」の年齢階級別人口です。どちらも更新のたびに、この数字も変わります。

この記事の出典

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