老健とは?在宅復帰を目指す施設の役割・入所期間と費用
病院は退院と言うが、家に戻るのはまだ不安がある。そのあいだを埋めるための施設が、介護老人保健施設です。医師と看護師がいて、リハビリの専門職がいます。
介護老人保健施設とは
「老健(ろうけん)」と略されます。入院していた人が自宅へ戻れるように、リハビリと医療の管理を行いながら生活を立て直す施設です。
医師が常勤し、看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が配置されています。特別養護老人ホームより医療の体制が厚いのが特徴です。
入所の条件
- 要介護1から5の認定を受けている
- 病状が安定していて、入院の必要がない
- リハビリを受けて在宅へ戻ることを目指している
入所期間は3か月ごとに判定される
老健の目的は在宅復帰なので、おおむね3か月ごとに「自宅へ戻れるか」を判定します。実際には半年から1年、あるいはそれ以上いる人もいますが、「ずっといられる施設ではない」というのが基本の考え方です。
在宅復帰の実績が高い施設ほど、介護報酬の区分が上がり、退所を促す力も強くなります。「どれくらいの方がどれくらいの期間いらっしゃいますか」と入所前に聞いておくと、見通しが立ちます。
費用の目安(1割負担・1か月・要介護3)
| 部屋の種類 | 食費・部屋代を含めた合計 |
|---|---|
| 従来型の相部屋 | おおむね9万円から12万円 |
| 従来型の個室 | おおむね11万円から14万円 |
| ユニット型の個室 | おおむね13万円から16万円 |
入居一時金はありません。所得が低い場合の軽減(負担限度額認定)も使えます。特別養護老人ホームよりやや高くなるのは、医療とリハビリの体制のためです。
介護保険の自己負担が1割の場合の目安です。これとは別に、食費・部屋代・日用品費がかかります。所得が低い場合は食費と部屋代が軽くなる仕組み(負担限度額認定)があり、市区町村の介護保険担当課で申請できます。正確な金額は施設にご確認ください。
特別養護老人ホームとの違い
| 介護老人保健施設 | 特別養護老人ホーム | |
|---|---|---|
| 目的 | 在宅へ戻るためのリハビリ | 生活の場。最期まで |
| 入所の条件 | 要介護1以上 | 原則要介護3以上 |
| 期間 | 3か月ごとに判定 | 期限なし |
| 医師 | 常勤 | 非常勤が多い |
| リハビリ | 専門職が付く | 機能訓練が中心 |
| 待ち | 中くらい | 長い |
特別養護老人ホームの順番を待つあいだに老健を使う人がいます。本来の使い方ではありませんが、現実にはよくある選択です。施設によって受け止め方が違うので、正直に伝えて相談してください。
薬と医療の扱いに注意
老健では、入所中の医療費と薬代が施設の負担になります。そのため、高額な薬を使っている人は入所を断られることがあります。
- がんの治療薬、認知症の薬、抗凝固薬など高額な薬
- 人工透析
- 在宅酸素
- インスリン注射(施設によります)
断られたら、介護医療院や医療の体制が厚い特別養護老人ホームへ相談先を切り替えてください。本人のせいでも家族のせいでもなく、仕組みの問題です。
- 退所を求められたらどうすればいいですか。
- ケアマネジャーに早めに相談してください。在宅へ戻る準備(福祉用具、住宅改修、訪問サービス)を進めるか、次の施設を探すことになります。「3か月後にどうなりそうか」を入所した時点で聞いておくと慌てません。
- ショートステイでも老健を使えますか。
- 使えます。「短期入所療養介護」という形になります。入所を考えている施設のショートステイを先に使うと、様子が分かります。
- 看取りはしてもらえますか。
- 行っている施設もありますが、在宅復帰が目的の施設なので、最期までを前提にするなら特別養護老人ホームや介護医療院を考えてください。