老健とは?在宅復帰を目指す施設の役割・入所期間と費用
病院は退院と言うが、家に戻るのはまだ不安がある。そのあいだを埋めるための施設が、介護老人保健施設です。医師と看護師がいて、リハビリの専門職がいます。
介護老人保健施設とは
「老健(ろうけん)」と略されます。入院していた人が自宅へ戻れるように、リハビリと医療の管理を行いながら生活を立て直す施設です。
医師が常勤し、看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が配置されています。特別養護老人ホームより医療の体制が厚いのが特徴です。
全国での指定は4,075件、65歳以上1万人あたり1.1件です。特別養護老人ホームの半分ほどの数にあたります。家へ帰るための施設という位置づけなので、入れ替わりは特養より早く、空きが出る間隔も短めです。
入所の条件
- 要介護1から5の認定を受けている
- 病状が安定していて、入院の必要がない
- リハビリを受けて在宅へ戻ることを目指している
入所期間は3か月ごとに判定される
老健の目的は在宅復帰なので、おおむね3か月ごとに「自宅へ戻れるか」を判定します。実際には半年から1年、あるいはそれ以上いる人もいますが、「ずっといられる施設ではない」というのが基本の考え方です。
費用の目安(1割負担・1か月・要介護3)
| 部屋の種類 | 食費・部屋代を含めた合計 |
|---|---|
| 従来型の相部屋 | おおむね9万円から12万円 |
| 従来型の個室 | おおむね11万円から14万円 |
| ユニット型の個室 | おおむね13万円から16万円 |
入居一時金はありません。所得が低い場合の軽減(負担限度額認定)も使えます。特別養護老人ホームよりやや高くなるのは、医療とリハビリの体制のためです。
特別養護老人ホームとの違い
| 介護老人保健施設 | 特別養護老人ホーム | |
|---|---|---|
| 目的 | 在宅へ戻るためのリハビリ | 生活の場。最期まで |
| 入所の条件 | 要介護1以上 | 原則要介護3以上 |
| 期間 | 3か月ごとに判定 | 期限なし |
| 医師 | 常勤 | 非常勤が多い |
| リハビリ | 専門職が付く | 機能訓練が中心 |
| 待ち | 中くらい | 長い |
特別養護老人ホームの順番を待つあいだに老健を使う人がいます。本来の使い方ではありませんが、現実にはよくある選択です。施設によって受け止め方が違うので、正直に伝えて相談してください。
薬と医療の扱いに注意
老健では、入所中の医療費と薬代が施設の負担になります。そのため、高額な薬を使っている人は入所を断られることがあります。
- がんの治療薬、認知症の薬、抗凝固薬など高額な薬
- 人工透析
- 在宅酸素
- インスリン注射(施設によります)
家に帰ることが前提の施設
ここは、家へ戻るための訓練をする場として位置づけられています。ずっと住み続ける場所ではありません。
定期的に、家へ戻れるかどうかを判断する機会があります。 入所を続けるつもりで入ると、話が食い違います。 目的を最初に確かめてください。
リハビリの専門職がいる
理学療法士や作業療法士が配置されており、医師も常勤しています。 医療の手当てが要る人でも受け入れやすい形です。
退院した後、いきなり家へ戻るのが不安なときの受け皿になります。 病院の相談員に相談してください。入院中から段取りを始めるのが早いです。
薬や医療の費用が、施設に含まれる
ここでは、医療にかかる費用の多くが施設の側で見る形になります。そのため、対応できる医療の範囲に制限が出ることがあります。
高額な薬を使っている人は、受け入れを断られることがあります。 いま使っている薬を伝えて、対応できるかを先に確かめてください。ここでつまずく例が多くあります。
次の行き先を、入る前に考える
期間が区切られるので、出た後にどこへ行くのかを、入所中に決めることになります。
家に戻る、他の施設へ移る、特別養護老人ホームの空きを待つ。 入所している間に動いてください。相談員が付いているので、一緒に探せます。
- 退所を求められたらどうすればいいですか。
- ケアマネジャーに早めに相談してください。在宅へ戻る準備(福祉用具、住宅改修、訪問サービス)を進めるか、次の施設を探すことになります。「3か月後にどうなりそうか」を入所した時点で聞いておくと慌てません。
- ショートステイでも老健を使えますか。
- 使えます。「短期入所療養介護」という形になります。入所を考えている施設のショートステイを先に使うと、様子が分かります。
- 看取りはしてもらえますか。
- 行っている施設もありますが、在宅復帰が目的の施設なので、最期までを前提にするなら特別養護老人ホームや介護医療院を考えてください。
介護老人保健施設の数は、都道府県で4.7倍ひらいている
全国の介護老人保健施設は4,075件です。ただし件数をそのまま並べても、人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いのかどうかは分かりません。65歳以上の人数で割ると比べられるようになります。全国では65歳以上1万人あたり1.1件です。
いちばん多いのは鳥取県(2.8件)、いちばん少ないのは東京都(0.6件)で、同じ国の中で4.7倍のひらきがあります。住んでいる場所によって、選べる事業所の数がこれだけ変わるということです。
| 順位 | 都道府県 | 件数 | 65歳以上1万人あたり |
|---|---|---|---|
| 1位 | 鳥取県 | 50件 | 2.8件 |
| 2位 | 徳島県 | 53件 | 2.2件 |
| 3位 | 大分県 | 70件 | 1.9件 |
| 4位 | 熊本県 | 93件 | 1.7件 |
| 5位 | 鹿児島県 | 87件 | 1.7件 |
| 47位 | 東京都 | 192件 | 0.6件 |
| 46位 | 滋賀県 | 32件 | 0.8件 |
| 45位 | 埼玉県 | 153件 | 0.8件 |
| 44位 | 神奈川県 | 193件 | 0.8件 |
| 43位 | 京都府 | 69件 | 0.9件 |
この上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入るのは1県です。高齢者が多い地域ほど介護老人保健施設が多い、という単純な関係にはなっていません。
数が少ない地域が、そのまま「足りない」という意味になるとは限りません。1か所あたりの規模が大きい、近隣の市区町村から通っている、別の種類のサービスで代えている、といった事情は件数からは読み取れないためです。実際に使えるかどうかは、お住まいの市区町村の一覧で確かめてください。
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