老健とは?在宅復帰を目指す施設の役割・入所期間と費用

介護の窓口 編集部公開 2026-08-21

病院は退院と言うが、家に戻るのはまだ不安がある。そのあいだを埋めるための施設が、介護老人保健施設です。医師と看護師がいて、リハビリの専門職がいます。

介護老人保健施設とは

「老健(ろうけん)」と略されます。入院していた人が自宅へ戻れるように、リハビリと医療の管理を行いながら生活を立て直す施設です。

医師が常勤し、看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が配置されています。特別養護老人ホームより医療の体制が厚いのが特徴です。

全国での指定は4,075件、65歳以上1万人あたり1.1件です。特別養護老人ホームの半分ほどの数にあたります。家へ帰るための施設という位置づけなので、入れ替わりは特養より早く、空きが出る間隔も短めです。

入所の条件

  • 要介護1から5の認定を受けている
  • 病状が安定していて、入院の必要がない
  • リハビリを受けて在宅へ戻ることを目指している

入所期間は3か月ごとに判定される

老健の目的は在宅復帰なので、おおむね3か月ごとに「自宅へ戻れるか」を判定します。実際には半年から1年、あるいはそれ以上いる人もいますが、「ずっといられる施設ではない」というのが基本の考え方です。

在宅復帰の実績が高い施設ほど、介護報酬の区分が上がり、退所を促す力も強くなります。「どれくらいの方がどれくらいの期間いらっしゃいますか」と入所前に聞いておくと、見通しが立ちます。

費用の目安(1割負担・1か月・要介護3)

部屋の種類食費・部屋代を含めた合計
従来型の相部屋おおむね9万円から12万円
従来型の個室おおむね11万円から14万円
ユニット型の個室おおむね13万円から16万円

入居一時金はありません。所得が低い場合の軽減(負担限度額認定)も使えます。特別養護老人ホームよりやや高くなるのは、医療とリハビリの体制のためです。

介護保険の自己負担が1割の場合の目安です。これとは別に、食費・部屋代・日用品費がかかります。所得が低い場合は食費と部屋代が軽くなる仕組み(負担限度額認定)があり、市区町村の介護保険担当課で申請できます。正確な金額は施設にご確認ください。

特別養護老人ホームとの違い

介護老人保健施設特別養護老人ホーム
目的在宅へ戻るためのリハビリ生活の場。最期まで
入所の条件要介護1以上原則要介護3以上
期間3か月ごとに判定期限なし
医師常勤非常勤が多い
リハビリ専門職が付く機能訓練が中心
待ち中くらい長い

特別養護老人ホームの順番を待つあいだに老健を使う人がいます。本来の使い方ではありませんが、現実にはよくある選択です。施設によって受け止め方が違うので、正直に伝えて相談してください。

薬と医療の扱いに注意

老健では、入所中の医療費と薬代が施設の負担になります。そのため、高額な薬を使っている人は入所を断られることがあります。

  • がんの治療薬、認知症の薬、抗凝固薬など高額な薬
  • 人工透析
  • 在宅酸素
  • インスリン注射(施設によります)
断られたら、介護医療院や医療の体制が厚い特別養護老人ホームへ相談先を切り替えてください。本人のせいでも家族のせいでもなく、仕組みの問題です。

家に帰ることが前提の施設

ここは、家へ戻るための訓練をする場として位置づけられています。ずっと住み続ける場所ではありません。

定期的に、家へ戻れるかどうかを判断する機会があります。 入所を続けるつもりで入ると、話が食い違います。 目的を最初に確かめてください。

リハビリの専門職がいる

理学療法士や作業療法士が配置されており、医師も常勤しています。 医療の手当てが要る人でも受け入れやすい形です。

退院した後、いきなり家へ戻るのが不安なときの受け皿になります。 病院の相談員に相談してください。入院中から段取りを始めるのが早いです。

薬や医療の費用が、施設に含まれる

ここでは、医療にかかる費用の多くが施設の側で見る形になります。そのため、対応できる医療の範囲に制限が出ることがあります。

高額な薬を使っている人は、受け入れを断られることがあります。 いま使っている薬を伝えて、対応できるかを先に確かめてください。ここでつまずく例が多くあります。

次の行き先を、入る前に考える

期間が区切られるので、出た後にどこへ行くのかを、入所中に決めることになります。

家に戻る、他の施設へ移る、特別養護老人ホームの空きを待つ。 入所している間に動いてください。相談員が付いているので、一緒に探せます。

退所を求められたらどうすればいいですか。
ケアマネジャーに早めに相談してください。在宅へ戻る準備(福祉用具、住宅改修、訪問サービス)を進めるか、次の施設を探すことになります。「3か月後にどうなりそうか」を入所した時点で聞いておくと慌てません。
ショートステイでも老健を使えますか。
使えます。「短期入所療養介護」という形になります。入所を考えている施設のショートステイを先に使うと、様子が分かります。
看取りはしてもらえますか。
行っている施設もありますが、在宅復帰が目的の施設なので、最期までを前提にするなら特別養護老人ホームや介護医療院を考えてください。

介護老人保健施設の数は、都道府県で4.7倍ひらいている

全国の介護老人保健施設は4,075件です。ただし件数をそのまま並べても、人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いのかどうかは分かりません。65歳以上の人数で割ると比べられるようになります。全国では65歳以上1万人あたり1.1件です。

いちばん多いのは鳥取県(2.8件)、いちばん少ないのは東京都(0.6件)で、同じ国の中で4.7倍のひらきがあります。住んでいる場所によって、選べる事業所の数がこれだけ変わるということです。

介護老人保健施設が多い都道府県と少ない都道府県(65歳以上1万人あたり・全47都道府県中)
順位都道府県件数65歳以上1万人あたり
1位鳥取県50件2.8件
2位徳島県53件2.2件
3位大分県70件1.9件
4位熊本県93件1.7件
5位鹿児島県87件1.7件
47位東京都192件0.6件
46位滋賀県32件0.8件
45位埼玉県153件0.8件
44位神奈川県193件0.8件
43位京都府69件0.9件

この上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入るのは1県です。高齢者が多い地域ほど介護老人保健施設が多い、という単純な関係にはなっていません。

数が少ない地域が、そのまま「足りない」という意味になるとは限りません。1か所あたりの規模が大きい、近隣の市区町村から通っている、別の種類のサービスで代えている、といった事情は件数からは読み取れないためです。実際に使えるかどうかは、お住まいの市区町村の一覧で確かめてください。

件数は当サイトの掲載データ(厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータ、47都道府県に掲載あり)、人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」(2026年1月1日現在)によるものです。どちらも更新のたびにこの数字も変わります。

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