地域密着型特養とは?定員29人以下の小さな特別養護老人ホーム

介護の窓口 編集部公開 2026-08-21

特別養護老人ホームというと、100人規模の大きな建物を思い浮かべます。ただ、定員29人以下の小さな特養もあります。住み慣れた地域にとどまりたい人のための形です。

地域密着型特養とは

定員29人以下の特別養護老人ホームです。正式には「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」といいます。受けられる介護の中身は通常の特別養護老人ホームと同じで、規模と、入れる人の範囲が違います。

全国での指定は2,552件、65歳以上1万人あたり0.7件です。通常の特別養護老人ホームの3分の1ほどの数ですが、定員が29人以下と小さいため、受け入れられる人数の差はさらに開きます。住んでいる市区町村の施設しか使えません。

通常の特養との違い

地域密着型特養特別養護老人ホーム(通常)
定員29人以下30人以上
入所できる人その市区町村に住民票がある人原則制限なし
指定するところ市区町村都道府県
雰囲気小さく、顔ぶれが決まっている規模が大きい
入所の条件原則要介護3以上原則要介護3以上
費用ほぼ同じほぼ同じ

ほとんどがユニット型(10人前後のまとまりで暮らす形)で、個室が基本です。本体の特養に併設された「サテライト型」もあります。

費用の目安(1割負担・1か月・要介護3)

部屋の種類食費・部屋代を含めた合計
ユニット型の個室おおむね13万円から15万円
従来型の相部屋(ある場合)おおむね9万円から11万円
介護保険の自己負担が1割の場合の目安です。これとは別に、食費・部屋代・日用品費がかかります。所得が低い場合は食費と部屋代が軽くなる仕組み(負担限度額認定)があり、市区町村の介護保険担当課で申請できます。正確な金額は施設にご確認ください。

小さいことの意味

  • 職員が全員の名前と癖を覚えている
  • 同じ職員が続けて関わる
  • 家族が通いやすい距離にあることが多い
  • 地域の人が出入りしやすい(行事、ボランティア)
  • 家庭に近い暮らし方ができる
反対に、設備は大きな施設に劣ります。職員の人数も少ないため、休みが出たときの影響は大きくなります。

申し込み方

  1. 要介護3以上の認定を受ける(要介護1・2は特例入所の相談を)
  2. 住民票のある市区町村の施設を確かめる
  3. 施設から申込書をもらう
  4. 主治医の意見書など必要な書類をそろえて申し込む
  5. 判定を経て、順番が来たら連絡が来る

住民票のある市区町村の施設にしか申し込めません。呼び寄せを考えている場合は、先に住民票を移す必要があります。手順は市区町村の担当課へ確かめてください。

住んでいる市区町村の中で使う

この形は、その市区町村の住民のためのものとして位置づけられています。他の市の人は、原則として申し込めません。

逆に言えば、地元の人だけで順番を待つことになります。 広域の施設より、入りやすい場合があります。 市区町村の担当課で、地域にあるかを確かめてください。

小さいことの、効き方

定員が小さく、少人数の単位で暮らす形が取られます。顔ぶれが変わらないので、本人が覚えていられます。

大きな施設で落ち着かなかった人が、ここでは過ごせることがあります。 認知症のある人には、この規模が向くことがあります。逆に、賑やかさを好む人には静かすぎることもあります。

地域とのつながりが、しくみに入っている

地域の人が参加する会議が定期的に開かれる形になっています。外の目が入るしくみです。

家族はここで意見を言えます。 記録を見せてもらえるかを聞いてください。開いている施設ほど、風通しがよいです。

医療の対応は、確かめておく

規模が小さいぶん、配置できる職員の数にも限りがあります。

看護職がいる時間帯、協力する医療機関、看取りへの対応。 入る前に聞いてください。状態が進んだときに移ることになるのかどうかが、ここで決まります。

通常の特養と待つ長さは違いますか。
定員が少ないので、空きが出る回数自体が少なくなります。ただし申し込む人の範囲もその市区町村に限られるため、地域によっては通常の特養より早いこともあります。両方に申し込んでください。
費用は高いのですか。
ほぼ同じです。ただしユニット型の個室が中心なので、従来型の相部屋を選べる通常の特養より高くなることがあります。
看取りはしてもらえますか。
行っている施設が多くあります。規模が小さいぶん、家族が付き添いやすい環境になることもあります。方針は施設ごとに違うので確かめてください。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の数は、都道府県で20倍ひらいている

全国の地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は2,552件です。ただし件数をそのまま並べても、人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いのかどうかは分かりません。65歳以上の人数で割ると比べられるようになります。全国では65歳以上1万人あたり0.7件です。

いちばん多いのは山梨県(2.0件)、いちばん少ないのは神奈川県(0.1件)で、同じ国の中で20倍のひらきがあります。住んでいる場所によって、選べる事業所の数がこれだけ変わるということです。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護が多い都道府県と少ない都道府県(65歳以上1万人あたり・全47都道府県中)
順位都道府県件数65歳以上1万人あたり
1位山梨県50件2.0件
2位福井県42件1.8件
3位熊本県95件1.7件
4位山形県60件1.7件
5位新潟県113件1.6件
47位神奈川県34件0.1件
46位東京都37件0.1件
45位奈良県9件0.2件
44位佐賀県7件0.3件
43位高知県7件0.3件

この上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入るのは2県です。高齢者が多い地域ほど地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護が多い、という単純な関係にはなっていません。

数が少ない地域が、そのまま「足りない」という意味になるとは限りません。1か所あたりの規模が大きい、近隣の市区町村から通っている、別の種類のサービスで代えている、といった事情は件数からは読み取れないためです。実際に使えるかどうかは、お住まいの市区町村の一覧で確かめてください。

件数は当サイトの掲載データ(厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータ、47都道府県に掲載あり)、人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」(2026年1月1日現在)によるものです。どちらも更新のたびにこの数字も変わります。

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