特別養護老人ホームとは?入所の条件・費用と待機期間の実際
費用が抑えられ、最期まで暮らせる。だから希望する人が多く、待つことになる。特別養護老人ホームをめぐる話は、ほとんどがこの一言に集約されます。
特別養護老人ホームとは
正式には「介護老人福祉施設」といいます。「特養(とくよう)」と略されます。社会福祉法人や自治体が運営する公的な性格の施設で、食事・入浴・排せつの介助を受けながら暮らします。
老健と違い、在宅に戻ることを前提としていません。入所したら、多くの人はそこで最期まで過ごします。看取りを行う施設が大半です。
全国では8,516件が指定を受けています。65歳以上約3590万人に対して1万人あたり2.4件という数で、定員29人以下の地域密着型特別養護老人ホームはこれとは別に数えられています。施設の数に対して申し込む人が多く、待つことが前提のサービスです。
入所できる人
要介護1・2でも、認知症で日常生活に支障がある、家族から虐待を受けている、同居する家族がいないなど、やむを得ない事情が認められれば入れることがあります(特例入所)。あきらめる前に市区町村へ相談してください。
費用の目安(1割負担・1か月)
| 部屋の種類 | 介護費(要介護3) | 食費・部屋代を含めた合計 |
|---|---|---|
| 従来型の相部屋 | 約2万2,000円 | おおむね9万円から11万円 |
| 従来型の個室 | 約2万2,000円 | おおむね11万円から13万円 |
| ユニット型の個室 | 約2万5,000円 | おおむね13万円から15万円 |
入居一時金はありません。所得が低い場合は食費と部屋代が軽くなり、合計で月5万円ほどに収まることもあります。この軽減(負担限度額認定)を知らずにいる人が多くいます。
待機期間と、順番の決まり方
申し込んだ順ではありません。各施設が点数をつけて、必要度の高い人から入所を決めます。見られるのは、おおむね次のような点です。
- 要介護度(重いほど優先される)
- 認知症の程度、介護の手間
- 介護している家族の状況(一人暮らし、家族が高齢・病気、仕事との両立)
- 住まいの状況
- 待っている期間
ほかの施設との違い
| 目的 | 入所の条件 | 費用(月) | 入れるまで | |
|---|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 生活の場。最期まで | 原則要介護3以上 | 9万から15万円 | 長い |
| 介護老人保健施設 | 在宅復帰のためのリハビリ | 要介護1以上 | 9万から17万円 | 中くらい |
| 介護医療院 | 医療と介護を長期に | 要介護1以上・医療が必要 | 10万から20万円 | 中くらい |
| 介護付き有料老人ホーム | 生活の場 | 施設による | 15万から35万円 | 短い |
申し込みの流れ
- 要介護3以上の認定を受ける(要介護1・2は特例入所の相談を)
- 希望する施設の申込書をもらう(施設か市区町村の窓口で)
- 主治医の意見書など、必要な書類をそろえる
- 複数の施設に申し込む
- 施設の判定会議を経て、順番が来たら連絡が来る
- 面談・見学のうえで入所を決める
申し込んだあとも、状況が変わったら施設へ伝えてください。介護している家族が入院した、本人の状態が重くなった、といった変化は順番に影響します。半年に一度は連絡を入れて、状況を伝え直してください。
申し込んだ順ではない
早く出したから早く入れる、というものではありません。必要度の高さで順位が決まります。
状況が変われば、順位も変わります。 家族が働き始めた、一人になった、介護の手が減った。 変わったことは施設へ伝えてください。伝えなければ、書類上は前のままです。
待っている間の暮らしを、組み直す
申し込んで待つと決めた時点で、その間をどう支えるかが課題になります。 待つことは、何もしない期間ではありません。
泊まりを定期的に挟む、通所を増やす、夜間の訪問を入れる。 ケアマネジャーと組み直してください。支える側が先に倒れると、待つこと自体ができなくなります。
複数に申し込んでよい
一か所に絞ると、そこが埋まっている限り動きません。同時に出して構いません。
申し込んだ先と日付を、書き出しておいてください。 連絡が来たときに、どこの話か分からなくなります。このサイトの市区町村ページで、近隣の施設を確かめられます。
入ってからも、家族の役目は残る
受診の付き添い、日用品の補充、契約と支払い、体調が変わったときの連絡。これらは残ります。
減るのは、日々の身体介護と夜間の負担です。 そこが減るだけでも大きい。「何もしなくてよくなる」ではないことを、家族の間で共有しておいてください。
- 何年くらい待ちますか。
- 地域と施設によって大きく違います。数か月で入れる地域もあれば、数年待つ地域もあります。市区町村の担当課で、地域の状況を聞いてみてください。
- 待っているあいだはどうすればいいですか。
- ショートステイを組み合わせて在宅で過ごす、老健に入所する、有料老人ホームで過ごすといった方法があります。ケアマネジャーと組み立ててください。
- 入所すると医療はどうなりますか。
- 施設に配置された医師(非常勤のことが多い)と、協力医療機関が診ます。手術など大きな医療が必要になれば病院へ移ります。入院が長引くと退所になる規定があるので、確かめておいてください。
- 面会や外泊はできますか。
- できます。正月に自宅へ帰る人もいます。施設に相談してください。
介護老人福祉施設の数は、都道府県で2.5倍ひらいている
全国の介護老人福祉施設は8,516件です。ただし件数をそのまま並べても、人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いのかどうかは分かりません。65歳以上の人数で割ると比べられるようになります。全国では65歳以上1万人あたり2.4件です。
いちばん多いのは島根県(4.0件)、いちばん少ないのは愛知県(1.6件)で、同じ国の中で2.5倍のひらきがあります。住んでいる場所によって、選べる事業所の数がこれだけ変わるということです。
| 順位 | 都道府県 | 件数 | 65歳以上1万人あたり |
|---|---|---|---|
| 1位 | 島根県 | 90件 | 4.0件 |
| 2位 | 秋田県 | 117件 | 3.3件 |
| 3位 | 茨城県 | 278件 | 3.2件 |
| 4位 | 群馬県 | 185件 | 3.2件 |
| 5位 | 鹿児島県 | 168件 | 3.2件 |
| 47位 | 愛知県 | 303件 | 1.6件 |
| 46位 | 沖縄県 | 62件 | 1.7件 |
| 45位 | 大阪府 | 427件 | 1.8件 |
| 44位 | 神奈川県 | 449件 | 1.9件 |
| 43位 | 東京都 | 586件 | 1.9件 |
この上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入るのは2県です。高齢者が多い地域ほど介護老人福祉施設が多い、という単純な関係にはなっていません。
数が少ない地域が、そのまま「足りない」という意味になるとは限りません。1か所あたりの規模が大きい、近隣の市区町村から通っている、別の種類のサービスで代えている、といった事情は件数からは読み取れないためです。実際に使えるかどうかは、お住まいの市区町村の一覧で確かめてください。
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