小規模多機能型居宅介護とは?通い・泊まり・訪問を1か所で

介護の窓口 編集部公開 2026-08-21

デイサービスの事業所、ショートステイの施設、訪問介護の会社。在宅の介護は、関わる人が増えるほど段取りも増えます。小規模多機能型居宅介護は、それを1か所にまとめる仕組みです。

小規模多機能型居宅介護とは

1つの事業所が「通い(デイサービス)」「泊まり(ショートステイ)」「訪問(ホームヘルプ)」の3つを引き受けます。同じ職員が3つとも担当するので、通いのときの様子を知っている人が、そのまま家に来て、泊まりの晩も付きます。

登録できるのは1事業所あたり29人まで。通いは1日15人ほど、泊まりは1晩9人ほどという小さな規模です。住んでいる市区町村にある事業所しか使えない「地域密着型」のサービスです。

全国での指定は5,352件、65歳以上1万人あたり1.5件です。一つの事業所が登録できる人数は29人までと決められているので、事業所があっても空きが無い、ということが起こります。気になったら、早めに登録の空きを確かめておいてください。

最大の特徴は「予定を決めなくていい」こと

普通のデイサービスは「毎週火曜と金曜」のように予定を組みます。小規模多機能は月ごとの定額なので、「今日は調子が悪いから泊まりたい」「明日は家族が出かけるから通いたい」という変更がその場でできます。

介護は予定どおりに進みません。急な発熱、家族の出張、本人の気分。こうした揺れを吸収できる点が、この仕組みのいちばんの価値です。

費用の目安(1割負担・1か月)

要介護度月あたりの目安
要介護1約1万700円
要介護2約1万5,700円
要介護3約2万2,800円
要介護4約2万5,200円
要介護5約2万7,800円

ここに食費(1食あたり数百円)、泊まったときの宿泊費(1泊2,000円から4,000円ほど)、おむつ代が加わります。通いを週5回・泊まりを月に何度も使う人ほど、割安になる仕組みです。

1単位を10円として計算した目安です。お住まいの地域と事業所の体制によって変わります。食費・宿泊費・おむつ代は介護保険の対象外で、この金額とは別にかかります。正確な金額は事業所にご確認ください。

使えなくなるサービスがある

ここが最も大事な注意点です。小規模多機能を使うと、次のサービスは原則として併用できなくなります。

併用できるのは、訪問看護・訪問リハビリ・福祉用具貸与・住宅改修などです。長く通ったデイサービスがあり、そこを離れたくない場合は、この点をよく考えてから決めてください。

似ているサービスとの違い

通い泊まり訪問費用
小規模多機能型居宅介護○○○月ごとの定額
通所介護+ショートステイ+訪問介護○○○使った回数ぶん
看護小規模多機能型居宅介護○○○(看護も)月ごとの定額
定期巡回・随時対応型××○(1日に何度も)月ごとの定額

医療的なケア(たんの吸引、点滴、床ずれの手当て)が必要なら、看護師のいる「看護小規模多機能型居宅介護」のほうが向いています。

向いている場面

  • 認知症があり、場所や人が替わると混乱する
  • 家族の仕事の都合で、必要な日が週ごとに変わる
  • 一人暮らしで、いざというときに泊まれる場所を確保しておきたい
  • 在宅を続けたいが、いつ何が起きるか読めない
  • あちこちの事業所と連絡を取るのが負担になっている

事業所を、ひとまとめにする形

通い、訪問、泊まりを、同じ事業所の同じ職員が担います。別々の事業所に頼む形とは、そこが根本的に違います。

顔ぶれが変わらないので、本人が覚えていられます。 認知症のある人ほど、この点が効きます。 家の勝手を毎回説明し直す必要もありません。

月ごとの定額になる

使った回数で数える形ではなく、月ごとに決まった額になります。

多く使う人ほど割安になり、あまり使わない人には割高になります。 いまの利用量で、どちらが得かを計算してもらってください。ケアマネジャーに、並べて出してもらう。

ケアマネジャーが、そこに替わる

この形を使うと、計画を作る担当者も、その事業所の職員に替わります。いまのケアマネジャーとは離れることになります。

長く付き合ってきた担当者を離れる決断が要ります。 そこを納得してから決めてください。戻すこともできますが、手続きが要ります。

住んでいる市区町村の中で使う

この形は、その市区町村の住民のためのものとして位置づけられています。他の市の事業所は、そのままでは使えません。

登録できる人数にも上限があります。 空きが無ければ待つことになります。このサイトの市区町村ページで、地域にあるかを確かめられます。

使わなかった月も定額を払うのですか。
そうです。月の途中から使い始めた場合は日割りになりますが、「今月はほとんど使わなかった」という月も基本の額はかかります。通いが週2回以下で泊まりも使わないなら、普通のデイサービスのほうが安く済みます。
ケアマネジャーが替わるのが不安です。
小規模多機能では、事業所に所属するケアマネジャーが担当します。これまでの担当者から引き継ぎをしてもらえるので、不安な点は事前に両方へ伝えておいてください。
空きがありません。
登録できる人数が29人までなので、待つことがよくあります。待っているあいだの組み立て(デイサービスとショートステイの併用など)をケアマネジャーと決めておいてください。

小規模多機能型居宅介護の数は、都道府県で5.1倍ひらいている

全国の小規模多機能型居宅介護は5,352件です。ただし件数をそのまま並べても、人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いのかどうかは分かりません。65歳以上の人数で割ると比べられるようになります。全国では65歳以上1万人あたり1.5件です。

いちばん多いのは福井県(3.6件)、いちばん少ないのは茨城県(0.7件)で、同じ国の中で5.1倍のひらきがあります。住んでいる場所によって、選べる事業所の数がこれだけ変わるということです。

小規模多機能型居宅介護が多い都道府県と少ない都道府県(65歳以上1万人あたり・全47都道府県中)
順位都道府県件数65歳以上1万人あたり
1位福井県83件3.6件
2位鳥取県60件3.4件
3位岡山県185件3.3件
4位島根県74件3.3件
5位山形県109件3.1件
47位茨城県62件0.7件
46位埼玉県134件0.7件
45位東京都230件0.7件
44位千葉県142件0.8件
43位大阪府191件0.8件

この上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入るのは2県です。高齢者が多い地域ほど小規模多機能型居宅介護が多い、という単純な関係にはなっていません。

数が少ない地域が、そのまま「足りない」という意味になるとは限りません。1か所あたりの規模が大きい、近隣の市区町村から通っている、別の種類のサービスで代えている、といった事情は件数からは読み取れないためです。実際に使えるかどうかは、お住まいの市区町村の一覧で確かめてください。

件数は当サイトの掲載データ(厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータ、47都道府県に掲載あり)、人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」(2026年1月1日現在)によるものです。どちらも更新のたびにこの数字も変わります。

食事のことをもっと詳しく

高齢者の食事だけを扱う姉妹サイト「配食のふれ愛 太子店」の記事です。 どちらも株式会社京谷商会が運営しています。

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