小規模多機能型居宅介護とは?通い・泊まり・訪問を1か所で
デイサービスの事業所、ショートステイの施設、訪問介護の会社。在宅の介護は、関わる人が増えるほど段取りも増えます。小規模多機能型居宅介護は、それを1か所にまとめる仕組みです。
小規模多機能型居宅介護とは
1つの事業所が「通い(デイサービス)」「泊まり(ショートステイ)」「訪問(ホームヘルプ)」の3つを引き受けます。同じ職員が3つとも担当するので、通いのときの様子を知っている人が、そのまま家に来て、泊まりの晩も付きます。
登録できるのは1事業所あたり29人まで。通いは1日15人ほど、泊まりは1晩9人ほどという小さな規模です。住んでいる市区町村にある事業所しか使えない「地域密着型」のサービスです。
全国での指定は5,352件、65歳以上1万人あたり1.5件です。一つの事業所が登録できる人数は29人までと決められているので、事業所があっても空きが無い、ということが起こります。気になったら、早めに登録の空きを確かめておいてください。
最大の特徴は「予定を決めなくていい」こと
普通のデイサービスは「毎週火曜と金曜」のように予定を組みます。小規模多機能は月ごとの定額なので、「今日は調子が悪いから泊まりたい」「明日は家族が出かけるから通いたい」という変更がその場でできます。
費用の目安(1割負担・1か月)
ここに食費(1食あたり数百円)、泊まったときの宿泊費(1泊2,000円から4,000円ほど)、おむつ代が加わります。通いを週5回・泊まりを月に何度も使う人ほど、割安になる仕組みです。
使えなくなるサービスがある
ここが最も大事な注意点です。小規模多機能を使うと、次のサービスは原則として併用できなくなります。
併用できるのは、訪問看護・訪問リハビリ・福祉用具貸与・住宅改修などです。長く通ったデイサービスがあり、そこを離れたくない場合は、この点をよく考えてから決めてください。
似ているサービスとの違い
| 通い | 泊まり | 訪問 | 費用 | |
|---|---|---|---|---|
| 小規模多機能型居宅介護 | ○ | ○ | ○ | 月ごとの定額 |
| 通所介護+ショートステイ+訪問介護 | ○ | ○ | ○ | 使った回数ぶん |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | ○ | ○ | ○(看護も) | 月ごとの定額 |
| 定期巡回・随時対応型 | × | × | ○(1日に何度も) | 月ごとの定額 |
医療的なケア(たんの吸引、点滴、床ずれの手当て)が必要なら、看護師のいる「看護小規模多機能型居宅介護」のほうが向いています。
向いている場面
- 認知症があり、場所や人が替わると混乱する
- 家族の仕事の都合で、必要な日が週ごとに変わる
- 一人暮らしで、いざというときに泊まれる場所を確保しておきたい
- 在宅を続けたいが、いつ何が起きるか読めない
- あちこちの事業所と連絡を取るのが負担になっている
事業所を、ひとまとめにする形
通い、訪問、泊まりを、同じ事業所の同じ職員が担います。別々の事業所に頼む形とは、そこが根本的に違います。
顔ぶれが変わらないので、本人が覚えていられます。 認知症のある人ほど、この点が効きます。 家の勝手を毎回説明し直す必要もありません。
月ごとの定額になる
使った回数で数える形ではなく、月ごとに決まった額になります。
多く使う人ほど割安になり、あまり使わない人には割高になります。 いまの利用量で、どちらが得かを計算してもらってください。ケアマネジャーに、並べて出してもらう。
ケアマネジャーが、そこに替わる
この形を使うと、計画を作る担当者も、その事業所の職員に替わります。いまのケアマネジャーとは離れることになります。
長く付き合ってきた担当者を離れる決断が要ります。 そこを納得してから決めてください。戻すこともできますが、手続きが要ります。
住んでいる市区町村の中で使う
この形は、その市区町村の住民のためのものとして位置づけられています。他の市の事業所は、そのままでは使えません。
登録できる人数にも上限があります。 空きが無ければ待つことになります。このサイトの市区町村ページで、地域にあるかを確かめられます。
- 使わなかった月も定額を払うのですか。
- そうです。月の途中から使い始めた場合は日割りになりますが、「今月はほとんど使わなかった」という月も基本の額はかかります。通いが週2回以下で泊まりも使わないなら、普通のデイサービスのほうが安く済みます。
- ケアマネジャーが替わるのが不安です。
- 小規模多機能では、事業所に所属するケアマネジャーが担当します。これまでの担当者から引き継ぎをしてもらえるので、不安な点は事前に両方へ伝えておいてください。
- 空きがありません。
- 登録できる人数が29人までなので、待つことがよくあります。待っているあいだの組み立て(デイサービスとショートステイの併用など)をケアマネジャーと決めておいてください。
小規模多機能型居宅介護の数は、都道府県で5.1倍ひらいている
全国の小規模多機能型居宅介護は5,352件です。ただし件数をそのまま並べても、人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いのかどうかは分かりません。65歳以上の人数で割ると比べられるようになります。全国では65歳以上1万人あたり1.5件です。
いちばん多いのは福井県(3.6件)、いちばん少ないのは茨城県(0.7件)で、同じ国の中で5.1倍のひらきがあります。住んでいる場所によって、選べる事業所の数がこれだけ変わるということです。
| 順位 | 都道府県 | 件数 | 65歳以上1万人あたり |
|---|---|---|---|
| 1位 | 福井県 | 83件 | 3.6件 |
| 2位 | 鳥取県 | 60件 | 3.4件 |
| 3位 | 岡山県 | 185件 | 3.3件 |
| 4位 | 島根県 | 74件 | 3.3件 |
| 5位 | 山形県 | 109件 | 3.1件 |
| 47位 | 茨城県 | 62件 | 0.7件 |
| 46位 | 埼玉県 | 134件 | 0.7件 |
| 45位 | 東京都 | 230件 | 0.7件 |
| 44位 | 千葉県 | 142件 | 0.8件 |
| 43位 | 大阪府 | 191件 | 0.8件 |
この上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入るのは2県です。高齢者が多い地域ほど小規模多機能型居宅介護が多い、という単純な関係にはなっていません。
数が少ない地域が、そのまま「足りない」という意味になるとは限りません。1か所あたりの規模が大きい、近隣の市区町村から通っている、別の種類のサービスで代えている、といった事情は件数からは読み取れないためです。実際に使えるかどうかは、お住まいの市区町村の一覧で確かめてください。
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