看護小規模多機能型居宅介護とは?医療も含めて1か所で支える

介護の窓口 編集部公開 2026-08-21

退院はできそうだが、家で処置を続けられるだろうか。看護小規模多機能型居宅介護は、その不安をまるごと引き受けるために作られた仕組みです。

看護小規模多機能型居宅介護とは

「看多機(かんたき)」と略されます。小規模多機能型居宅介護(通い・泊まり・訪問介護)に、訪問看護を足した形です。同じ事業所に看護師がいるので、医療と介護の連絡が事業所の中で完結します。

住んでいる市区町村にある事業所しか使えない「地域密着型」のサービスです。登録できるのは29人まで。全国的にまだ数が多くありません。

全国での指定は1,122件、65歳以上31,996人に1件です。看護師を抱えたうえで通い・泊まり・訪問を回す形なので、事業所の数はまだ少なく、一つも無い市区町村のほうが多いのが実情です。

小規模多機能との違い

看護小規模多機能小規模多機能
訪問看護ある(同じ事業所の看護師)ない(外部の訪問看護と併用)
医療的なケアたんの吸引、点滴、床ずれの手当てなどできない
主治医との連絡事業所の看護師が担う家族またはケアマネジャーが担う
費用高いやや安い
向いている時期退院直後、状態が不安定な時期、看取り状態が落ち着いている時期

費用の目安(1割負担・1か月)

要介護度月あたりの目安
要介護1約1万2,700円
要介護2約1万7,800円
要介護3約2万5,000円
要介護4約2万8,300円
要介護5約3万2,000円

食費・宿泊費・おむつ代はこれとは別にかかります。訪問看護を何度使っても定額に含まれるため、医療的なケアが多い人ほど割安になります。

1単位を10円として計算した目安です。お住まいの地域と事業所の体制によって変わります。食費・宿泊費・おむつ代は介護保険の対象外で、この金額とは別にかかります。正確な金額は事業所にご確認ください。

よく使われる場面

  • 退院直後。家での暮らしに戻る数か月を支える
  • 胃ろう・在宅酸素・たんの吸引が必要になった
  • がんの療養で、体調の波が大きい
  • 看取りの時期を家で過ごしたい
  • 介護している家族が疲れきっていて、泊まりも訪問も要る
医療が必要な時期を看多機で乗り切り、状態が落ち着いたら小規模多機能や在宅サービスの組み合わせへ戻す、という使い方もできます。ずっと同じ形でいる必要はありません。

使えなくなるサービス

小規模多機能と同じく、訪問介護・通所介護・通所リハビリ・ショートステイは原則として併用できません。訪問看護も、この事業所からのものになります。ケアマネジャーも事業所の職員へ替わります。

看護が加わる形

通い、訪問、泊まりに加えて、看護職による訪問が同じ事業所から出ます。

医療の手当てが要る人が、在宅を続けるための形です。 介護と看護が同じ事業所の中にあるので、情報が切れません。 そこが最も大きな利点です。

医師の指示のもとで動く

看護の部分は、主治医の指示によって行われます。自分で頼めば始まるものではありません。

かかりつけ医に相談してください。 事業所と医師の間でやり取りができる形になっているかも、確かめる価値があります。そこが動かないと、先に進みません。

看取りまで、視野に入る

医療の手当てが増えても、同じ事業所で対応できる場合があります。最期まで家で過ごす選択肢が残ります。

どこまで対応できるかは事業所によって違います。 これまで何人を看取ってきたかを聞いてください。「対応します」の中身を、実績で確かめる。

数が少ない

全国的に数が限られており、近くに無い地域があります。

このサイトの市区町村ページで、地域にあるかを確かめられます。 無ければ、小規模多機能に訪問看護を組み合わせる形で代えられないかを、ケアマネジャーと考えてください。組み方は複数あります。

主治医はそのままでいいですか。
そのままで構いません。事業所の看護師が主治医から指示を受けて動きます。かかりつけ医が遠い場合は、往診してくれる医師を紹介してもらえることもあります。
医療保険の訪問看護は使えますか。
末期のがんなど厚生労働大臣が定める病気にあたる場合は、医療保険での訪問看護を併せて使えることがあります。判断は主治医と事業所が行います。
近くに事業所がありません。
全国的に数が少ないサービスです。無い場合は、小規模多機能+外部の訪問看護、または定期巡回・随時対応型+訪問看護という組み合わせで近い形が作れます。ケアマネジャーに相談してください。

看護小規模多機能型居宅介護の数は、都道府県で9倍ひらいている

全国の看護小規模多機能型居宅介護は1,122件です。ただし件数をそのまま並べても、人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いのかどうかは分かりません。65歳以上の人数で割ると比べられるようになります。全国では65歳以上1万人あたり0.3件です。

いちばん多いのは福井県(0.9件)、いちばん少ないのは栃木県(0.1件)で、同じ国の中で9倍のひらきがあります。住んでいる場所によって、選べる事業所の数がこれだけ変わるということです。

看護小規模多機能型居宅介護が多い都道府県と少ない都道府県(65歳以上1万人あたり・全47都道府県中)
順位都道府県件数65歳以上1万人あたり
1位福井県22件0.9件
2位北海道77件0.5件
3位広島県39件0.5件
4位宮城県31件0.5件
5位鹿児島県28件0.5件
47位栃木県6件0.1件
46位徳島県5件0.2件
45位山形県6件0.2件
44位青森県9件0.2件
43位長崎県10件0.2件

この上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入る都道府県はありません。高齢者が多い地域ほど看護小規模多機能型居宅介護が多い、という関係にはなっていません。事業所の数は、高齢者の数だけで決まるものではないようです。

数が少ない地域が、そのまま「足りない」という意味になるとは限りません。1か所あたりの規模が大きい、近隣の市区町村から通っている、別の種類のサービスで代えている、といった事情は件数からは読み取れないためです。実際に使えるかどうかは、お住まいの市区町村の一覧で確かめてください。

件数は当サイトの掲載データ(厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータ、47都道府県に掲載あり)、人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」(2026年1月1日現在)によるものです。どちらも更新のたびにこの数字も変わります。

食事のことをもっと詳しく

高齢者の食事だけを扱う姉妹サイト「配食のふれ愛 太子店」の記事です。 どちらも株式会社京谷商会が運営しています。

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