家の中で起きる事故。危ない場所は決まっている
危ない場所は、だいたい決まっています。一度、日が暮れてから家の中を歩いてみると分かります。
部屋ごとに見る
| 場所 | 起きること | 手当て |
|---|---|---|
| 浴室・脱衣所 | 転倒、溺水、温度差 | 手すり、滑り止め、暖房 |
| 階段 | 踏み外し、下りでの転落 | 両側の手すり、段鼻の目印、照明 |
| 玄関 | 上がりかまちでの転倒 | 手すり、踏み台、椅子 |
| 寝室からトイレ | 夜間の転倒 | 足元灯、コードの片づけ、ポータブルトイレ |
| 台所 | 火の消し忘れ、やけど | 自動消火の機器、電磁調理器への切り替え |
夜、電気を消して実際に歩いてみてください。 昼間には見えている段差もコードも、暗がりでは見えません。本人は毎晩そこを歩いています。
片づけは、安全のためにする
物が減れば通り道が広がり、つまずくものが減ります。ただし勝手に捨てないでください。 本人にとって意味のあるものを黙って処分すると、信用を失い、その後の話が通らなくなります。
通り道にある物から、本人と一緒に動かします。「捨てる」ではなく「置き場所を変える」という言い方のほうが、話が進みます。
火と電気
- ガスコンロを、消し忘れを検知する機種か電磁調理器に替える
- ストーブの周りに燃えるものを置かない。給油の作業を家族が引き受ける
- たこ足配線とほこりのたまったコンセントを点検する
- 住宅用火災警報器の電池と作動を確かめる
介護保険で直せる範囲
手すりの取り付け、段差の解消、滑りにくい床材への変更、扉の取り替え、洋式便器への取り替えは、住宅改修として原則20万円まで対象になります。着工前の申請が要るので、順番を間違えないでください。
工事をしないで直せることのほうが多い
手すりを付ける話になると、それだけで身構えてしまう人がいます。ところが、実際に効く手当ての多くは、工事の要らないものです。
置くだけの手すり、滑り止めのマット、足元灯、コードをまとめるカバー、玄関に置く椅子。どれも、その日のうちに変えられます。据え置き型の手すりや踏み台は、介護保険の福祉用具貸与や購入費の対象になるものがあります。 工事より先に、こちらを聞いてください。
家具の配置は、通り道から考える
転ぶ場所は、たいてい人がよく通るところです。寝床からトイレ、玄関から居間、台所から食卓。この線の上に何が置いてあるかを見ます。
つかまりやすい高さの家具が線の上にあるのは、実は助けになります。逆に、キャスターの付いた椅子や、体重をかけると動くワゴンは危険です。「つかまったときに動くもの」を、通り道から外してください。
本人の言い分を、先に聞く
家族が良かれと思って敷いたマットが、かえってつまずきのもとになることがあります。手すりも、本人の利き手と逆側に付いていると使われません。
福祉用具専門相談員や作業療法士は、その人の動きを見てから位置を決めます。カタログを見て家族が選ぶより、実際に動くところを見てもらったほうが確実です。 ケアマネジャーに頼めば、家まで来てもらえます。
一度直したら終わり、ではない
体の状態は変わります。半年前にちょうどよかった手すりの高さが合わなくなる、杖から歩行器に替わって通り道の幅が足りなくなる、ということが起きます。
入院やけがのあとは、必ず見直してください。 退院して家に戻る前に、理学療法士や作業療法士に家の様子を伝えておくと、戻った初日から安全に暮らせます。
本人の目線で歩いてみる
危ない場所は、住んでいる人には見えません。何十年も暮らした家だからこそ、当たり前になっています。
夜中にトイレへ行く道筋を、電気を消して歩いてみてください。 どこで手をつくか、どこが暗いかが分かります。 昼に見て回るだけでは出てきません。
手すりは、付ける場所で効き方が違う
とりあえず廊下に付ける、では効きません。立ち上がるところ、向きを変えるところ、またぐところ。ここに要ります。
玄関、トイレ、浴室、階段、ベッドのそば。 本人の動きを見てから決めてください。福祉用具専門相談員や、ケアマネジャーが一緒に見てくれます。
片づけが、いちばん安く効く
床に置いてある新聞、電気の配線、めくれたじゅうたん、玄関の靴。工事をしなくても、取り除けるものが多くあります。
ただし、勝手に捨てないでください。 本人にとって意味のあるものを黙って処分すると、信頼が切れます。一緒に決めながら片づけてください。
一度で完成させない
状態は変わります。いま要るものと、半年後に要るものは違います。
住宅改修の支給には上限があります。 一度で使い切ると、歩き方が変わったときに手が出せません。いちばん危ないところから、順に手を入れてください。
- 賃貸でも工事できますか。
- できますが、所有者の承諾が要ります。退去時の原状回復をどうするかも先に決めておきます。工事を伴わない突っ張り式の手すりなら、福祉用具のレンタルで済むこともあります。
- 何から手をつければいいですか。
- 夜間にトイレへ行く動線からです。転倒が起きやすく、しかも安く直せます。足元灯を置き、コードを片づけ、手すりを付ける。ここだけでも効果があります。
福祉用具貸与の数を、掲載データから確かめる
福祉用具貸与が全国にどれくらいあるかというと、当サイトの掲載で6,960件です。65歳以上1万人あたりにすると全国で1.9件です。運営しているのは4,932の法人です。
65歳以上の人数で割って多い順に並べると、上から島根県・大阪府・和歌山県。少ないほうは高知県・茨城県・佐賀県の順になります。件数そのものの順位とは、まるで違う顔ぶれになります。件数で並べると人口の多い都道府県が上に来るだけで、その地域が手厚いかどうかは分からないためです。
掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,210市区町村で、682の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。
この記事の出典
- 消費者庁住環境における高齢者の事故について(消費者白書コラム)2026-08-22 確認
- 消費者庁みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故2026-08-22 確認
- 国立長寿医療研究センター転びやすくなる原因は?2026-08-22 確認
- 厚生労働省福祉用具・住宅改修2026-08-22 確認
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