健康寿命とは?平均寿命との差が意味するもの
健康寿命は、日常生活に制限のない期間の平均のことです。平均寿命と並べると、人生の終わりのほうに何年か、誰かの手を借りて暮らす期間があることが見えてきます。介護の準備をいつから考えればよいかを決めるとき、この差が手がかりになります。
日常生活に制限のない期間の平均
健康寿命は、健康上の問題で日常生活に制限のない期間の平均です。国が3年ごとの国民生活基礎調査で「健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」と尋ね、「ない」と答えた人を健康、「ある」と答えた人を不健康として計算しています。
病気を持っているかどうかで分けているわけではありません。持病があっても、日常生活に困っていなければ「健康」に数えられます。逆に、病名が付いていなくても外出や身の回りのことに支障が出ていれば「不健康」の側に入ります。介護の必要と近いところを見ている数字です。
計算にはサリバン法という方法を使います。年齢ごとの死亡率と、年齢ごとの「制限がある人の割合」を組み合わせて、制限のない状態で過ごす期間の平均を出すやり方です。ある人が何歳まで元気でいられるかを言い当てるものではなく、その年の日本全体の姿を1つの数字にしたものと考えてください。
平均寿命との差は、男性で約8年、女性で約12年
令和4年の健康寿命は男性72.57年、女性75.45年でした。同じ年の平均寿命は男性81.05年、女性87.09年なので、差は男性で8.48年、女性で11.64年になります。女性のほうが長生きで、手助けの要る期間も長いという形です。
| 健康寿命 | 平均寿命 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 男性 | 72.57年 | 81.05年 | 8.48年 |
| 女性 | 75.45年 | 87.09年 | 11.64年 |
この差は、寝たきりで過ごす年数という意味ではありません。買い物に付き添ってもらう、掃除を手伝ってもらう、といった軽い手助けから、常時の介護までが同じ枠に入っています。差が10年あるからといって、10年ぶんの介護費用を見込む必要があるわけではありません。
平成13年からの移り変わりを見ると、健康寿命も平均寿命も延びてきました。差は大きくは動いていません。寿命が延びたぶんだけ、手助けの要る期間も後ろにずれているというのが、この20年ほどの姿です。
国内の数字と、世界の比較に使う数字は別物
WHOも国ごとの健康寿命を出していますが、測り方が違います。国内の健康寿命が「制限があるかどうか」の自己申告を均したものであるのに対し、WHOのものは病気やけがの重さに応じて年数を割り引いて計算したものです。2021年の日本の値は73.4年で、183か国のうち2番目の長さでした(1番はシンガポールの73.65年)。
同じ「日本の健康寿命」でも、72.57年と73.4年という違う数字が並ぶのはこのためです。どちらかが間違っているのではありません。引用するときは、値だけでなく「どの調査の、いつの値か」まで一緒に書いておくと、あとで見比べたときに食い違いの理由が分かります。
差を縮めるためにできること
国は健康日本21(第三次)で、平均寿命の延びを上回って健康寿命を延ばすことを目標にしています。個人の側でできることに引き寄せると、要介護の入口になりやすいところを潰していく話になります。
入口はだいたい決まっています。転んで骨を折る、食べる量が減って痩せる、飲み込みが悪くなる、外へ出なくなって人と話さなくなる。どれも一足飛びに要介護になるのではなく、弱ってきた段階(フレイル)を通ります。この段階なら手を打てば戻る余地があります。
市区町村の介護予防の取り組みは、要介護認定を受けていなくても使えるものが多くあります。「まだ介護は関係ない」と思っている時期こそ、いちばん効く時期です。どこで何をやっているかは、市区町村の担当課か地域包括支援センターで分かります。
- 健康寿命は何歳までという意味ですか
- ある人が何歳まで元気でいられるかを示すものではありません。その年の日本全体で、日常生活に制限のない期間がならすと何年になるかを表した数字です。個人の見込みとしては使えません。
- 健康寿命と平均寿命の差の期間は、ずっと介護が必要なのですか
- 差の中身は、軽い手助けから常時の介護まで幅があります。日常生活に何か影響があると答えた人をまとめて数えているので、この年数がそのまま要介護の期間になるわけではありません。
- 都道府県ごとの健康寿命はありますか
- 国が3年ごとに都道府県別の値も公表しています。ただし調査の標本数の関係で、市区町村ごとの値は公表されていません。地域ごとの高齢化の状況は、当サイトの都道府県・市区町村のページで65歳以上の割合として見られます。
- 健康寿命を延ばすには何から始めればよいですか
- 体を動かすこと、食べる量とたんぱく質を落とさないこと、歯と口の手入れ、人と関わることの4つが柱です。市区町村の通いの場や介護予防の教室は、要介護認定を受けていなくても使えます。
この記事の出典
- 内閣府令和7年版高齢社会白書 第1章第2節2 健康・福祉2026-08-25 確認
- 厚生労働省令和4年簡易生命表の概況2026-08-25 確認
- 厚生労働省健康日本21(第三次)2026-08-25 確認
- 世界保健機関(WHO)Healthy life expectancy (HALE) at birth2026-08-25 確認