転倒が寝たきりの入口になる。防ぎ方は家の中にある
転ぶのは足腰のせいだけではありません。家の作り、履き物、飲んでいる薬、見えにくさが重なって起きます。
転ぶ場所は家の中
高齢者の転倒は、外より家の中で多く起きています。 慣れた場所だから油断するのではなく、慣れた場所だから足元を見ないのです。危ないのは決まった場所です。
- 敷居や上がりかまちのわずかな段差
- めくれたカーペット、滑るマット、新聞や電源コード
- 夜間のトイレまでの薄暗い廊下
- 浴室と脱衣所の濡れた床
- 階段の下り。手すりが片側にしか無い階段
体の側の理由
足腰の筋力とバランスが落ちれば転びやすくなりますが、それだけではありません。見えにくさ、聞こえにくさ、めまい、立ちくらみ、飲んでいる薬も関わります。
睡眠薬や精神安定剤、血圧の薬は、ふらつきの原因になることがあります。 転ぶことが増えたら、お薬手帳を持って医師か薬剤師に相談してください。減らせる薬が見つかることがあります。
骨折が暮らしを変える
| 部位 | 起きやすい場面 | その後 |
|---|---|---|
| 大腿骨の付け根 | 横向きに倒れる | 手術と入院。歩く力が戻らないことがある |
| 背骨(圧迫骨折) | 尻もち、重い物を持つ | 痛みで動けず、背が丸くなる |
| 手首 | 手をついてかばう | 固定の間、家事や介護の手が使えない |
打てる手
住宅改修(手すり、段差の解消、滑りにくい床)と福祉用具(歩行器、杖、ベッド柵)は介護保険の対象です。工事は着工前の申請が要るので、思い立ったらまずケアマネジャーに相談します。
履き物も見落とされます。かかとを踏んだサンダル、脱げやすいスリッパは転倒の元です。足に合った、かかとの覆われた靴に替えるだけで変わります。
夜中のトイレが、いちばんの山場
転倒が起きる時間帯として多いのが、夜中から明け方です。寝起きで足元がおぼつかず、部屋は暗く、急いでいる。条件がそろっています。
足元灯を廊下とトイレまでの道すじに置くだけで、ずいぶん違います。人が通ると点くものなら、スイッチを探す必要もありません。それでも間に合わないなら、寝室にポータブルトイレを置くという手があります。尊厳の問題として嫌がられることがありますが、骨折して寝たきりになるより、はるかによい選択です。 言い方はケアマネジャーに相談してください。
転んだことを記録する
一度転んだ人は、また転びます。だからこそ、転んだ日と、そのときの場所・時間・状況をメモしておいてください。「先週トイレの前で」「今朝ベッドから起きるときに」という具体が、次の手を決めます。
この記録は、要介護認定の認定調査でもそのまま使えます。調査員に「何回くらい転びますか」と聞かれて答えられないと、その事実は記録に残りません。 家族が数えていた事実は、判定を動かす材料になります。
倒れたまま動けなくなったときのために
一人暮らしで転ぶと、けがそのものより、誰にも気づかれない時間のほうが危険です。夏なら脱水、冬なら低体温につながります。
多くの市区町村が、緊急通報装置を貸し出しています。ボタンひとつで通報できるもの、部屋の動きが一定時間ないと知らせるものなど、形はさまざまです。介護保険とは別のしくみなので、市区町村の高齢福祉の窓口に聞いてください。 民間の見守りサービスや、電気の使用量から異変を知らせるものもあります。
骨のほうを強くする
同じように転んでも、折れる人と折れない人がいます。骨密度が下がっていると、わずかな衝撃で折れます。女性は閉経後に急に下がるため、検査を受けたことがないなら一度受けておく価値があります。
骨粗しょう症と診断されれば、薬で進行を抑えられます。あわせて、カルシウムとたんぱく質を切らさないこと、日光を浴びること、そして体を動かすこと。転ばない工夫と、折れにくくする手当ては、両方やってはじめて効きます。
転んだ場所は、家の中がいちばん多い
外で転ぶと思われがちですが、多くは家の中で起きています。 段差の少ない場所でも起きます。
敷居、じゅうたんの縁、電気の配線、暗い廊下。 本人が「ここは大丈夫」と思っている場所ほど危ないです。 夜中にトイレへ行く道筋を、実際に歩いて確かめてください。
一度転ぶと、動かなくなる
転んだあと、けがをしていなくても外へ出なくなることがあります。また転ぶのが怖いからです。
動かなければ筋力が落ち、さらに転びやすくなります。 ここが最も悪い循環です。転んだあとこそ、動く機会を減らさない工夫が要ります。 怖さを責めずに、支える道具を足してください。
薬が原因のことがある
ふらつきや眠気は、飲んでいる薬の影響で起きることがあります。睡眠薬や、血圧の薬が関わることがあります。
自己判断でやめないでください。 急にやめると危険な薬があります。転ぶようになった時期と、薬が変わった時期が重なっていないかを、医師と薬剤師に伝えてください。
倒れたあとに、起き上がれない
一人暮らしでは、転んだあと何時間も動けないことがあります。けがより、そこで長く冷えることのほうが危ないことがあります。
電話を身につけておく、押すと知らせが飛ぶ機器を置く。 市区町村が緊急通報の機器を貸しているところがあります。担当課か地域包括支援センターに聞いてください。
- 転んでも痛がりません。様子を見てよいですか。
- 頭を打った可能性があるとき、血液をさらさらにする薬を飲んでいるとき、立てない・体重をかけられないときは受診してください。時間が経ってから症状が出ることがあります。
- 転ぶのが怖くて動かなくなりました。
- よくあることで、動かないことでさらに筋力が落ちる悪循環になります。理学療法士のいる通所リハビリや訪問リハビリで、安全な動き方から立て直せます。ケアマネジャーに相談してください。
この記事の出典
- 国立長寿医療研究センター転びやすくなる原因は?2026-08-22 確認
- 国立長寿医療研究センターいつの間にか骨折、その原因は?2026-08-22 確認
- 厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクトロコモをご存知ですか?2026-08-22 確認
- 厚生労働省 e-ヘルスネット健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 推奨シート:高齢者版2026-08-22 確認
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