口の衰えは全身に先立つ。むせ、滑舌、かめないものの増加

介護の窓口 編集部公開 2026-08-22

口の変化は、本人にも家族にも「年のせい」で片づけられがちです。しかし全身の衰えより先に現れることが分かってきています。

始まりは小さい

  • 食事中にむせることが増えた
  • かたいものを避けるようになった。食べられるものが減った
  • 滑舌が悪くなった。聞き返されることが増えた
  • 口が渇く。薬の影響で唾液が減っていることがある
  • 食べこぼしが増えた。口の端に食べ物が残る

どれも「年のせい」で説明がついてしまうところが厄介です。 ただし、かめないものが増えると食事が偏り、たんぱく質が減り、筋力が落ちるという道すじがあります。

入れ歯を放置しない

合わない入れ歯を我慢して使っている人が多くいます。 痛いから使わない、外したまま食べる、といったことが続くと、かむ力はさらに落ちます。作り直しや調整で変わります。

通院が難しければ訪問歯科があります。歯科医師や歯科衛生士が家や施設に来て、治療、入れ歯の調整、口の清掃をします。ケアマネジャーか、かかりつけ歯科に相談してください。

口の清掃は肺炎の予防でもある

口の中の細菌が唾液とともに気管に入ると、肺炎の原因になります。歯みがきは、歯を守るためだけの手入れではありません。 歯が無い人でも、入れ歯と歯ぐき、舌の清掃が要ります。

寝たきりの人ほど口の中は汚れやすく、しかも気づかれにくくなります。訪問診療や訪問看護が入っているなら、口の中も見てもらってください。

鍛える方法がある

かむ、飲み込む、話すための筋肉は鍛えられます。市区町村の通いの場では、口の体操を取り入れているところがあります。人と話す機会そのものが訓練になるので、外出の回数も効いてきます。

口が渇くのは、薬のせいかもしれない

唾液が減ると、食べ物がまとまらず飲み込みにくくなり、口の中も汚れやすくなります。年齢のせいだと思われがちですが、飲んでいる薬の影響で唾液が減っていることが少なくありません。

血圧の薬、アレルギーの薬、精神安定剤、頻尿の薬など、口の渇きが出やすいものはいくつもあります。心当たりがあるときは、お薬手帳を持って医師か薬剤師に相談してください。飲む量を変えられることも、口を潤す方法を教えてもらえることもあります。

入れ歯の手入れ

入れ歯は、外して毎日洗います。歯みがき粉で磨くと表面に細かい傷がつき、そこに細菌がたまるため、専用のブラシと洗浄剤を使うのが基本です。熱いお湯に浸けると変形します。

外したあとの口の中も、忘れずに手入れします。 歯ぐきや舌、上あごをやわらかいブラシやスポンジで拭います。ここを飛ばすと、入れ歯だけきれいでも口の中は汚れたままになります。

家族が気づける場面

食卓を見ていると分かることがあります。肉を残すようになった、りんごを丸かじりしなくなった、食事に時間がかかるようになった、外食を嫌がるようになった。どれも口の働きが落ちているときの現れ方です。

「食べられるものが減った」を年齢のせいにしないこと。ここが分かれ目です。かたいものが食べられなくなると、たんぱく質の量がまっさきに減り、そこから筋力が落ちていきます。

歯科の情報を、介護の側にも渡す

歯科にかかっていることを、ケアマネジャーが知らないままになっている家庭が多くあります。入れ歯を使っているか、どんな食形態が向いているか、飲み込みに注意が要るか。これらはケアプランに関わる情報です。

デイサービスや施設で出される食事の形も、この情報があるかどうかで変わります。歯科でかかっていること、言われたことを、ケアマネジャーに一言伝えてください。当サイトでは訪問歯科に対応している事業所も市区町村ごとに載せています。

食べる力は、口から落ちる

硬いものを避ける、むせる、食べる時間が長くなる。この変化は、飲み込む力が落ちる手前で出ます。

「柔らかいものが好きになった」ではないことがあります。 食べられるものが減っただけです。 何を残しているか、何に時間がかかっているかを見てください。

口の汚れは、肺に入る

口の中の細菌が、飲み込むときに気管へ入ることがあります。寝ている間に少しずつ入ることもあります。

寝る前の手入れが、いちばん効きます。 入れ歯を外したあとの歯ぐきと舌も忘れないでください。やり方は、歯科衛生士に一度見せてもらってください。

話すことも、口の運動になる

一人でいる時間が長いと、口を動かす機会そのものが減ります。食事のときしか口を使わない日が続きます。

声を出す、歌う、人と話す。 通いの場に行くことには、この意味もあります。電話でも構いません。 家族が定期的に電話するだけで、この機会は作れます。

入れ歯が合わなくなる

体重が減ると、口の中の形も変わります。作ったときは合っていた入れ歯が、合わなくなります。

合わないまま外して過ごすと、噛む力が落ちていきます。 痛いと言い出さない人もいるので、食べ方が変わったら入れ歯を疑ってください。 通院が難しければ、訪問の歯科があります。

歯が痛くないのに歯科へ行く必要がありますか。
あります。痛みが出る頃には進んでいることが多く、また入れ歯の調整や口の清掃は痛みとは別の目的です。定期的に見てもらうことで、食べる力が保てます。
介護保険で歯科は使えますか。
歯科の治療は医療保険です。ただし居宅療養管理指導として、歯科医師や歯科衛生士が訪問して指導を行う部分は介護保険で扱われます。ケアマネジャーに聞いてください。

この記事の出典

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高齢者の食事だけを扱う姉妹サイト「配食のふれ愛 太子店」の記事です。 どちらも株式会社京谷商会が運営しています。

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