施設を探しはじめたら、この順で進める
入院先から「退院後は施設で」と言われてから探し始めると、選ぶ余地がないまま決まってしまいます。
条件を先に決める
見学から始めると、行った先ごとに気持ちが動いて決められなくなります。先に決めておくのは、通える場所、出せる金額の上限、医療の必要度、認知症への対応、看取りまで居られるかの5つです。
出せる金額は「今ある貯金」ではなく「毎月いくらまで、何年続けられるか」で考えます。 年金と貯金の取り崩しで何年持つかを先に計算しておくと、無理な契約を避けられます。
種類を絞る
介護保険の施設か、住宅として借りる形かで、費用も入りやすさも変わります。要介護度が高く費用を抑えたいなら介護老人福祉施設、退院直後で在宅復帰を目指すなら介護老人保健施設、認知症で少人数を望むなら認知症対応型共同生活介護、というように条件から種類が決まります。
種類が決まらないうちに紹介会社へ相談すると、その会社が扱う施設の中から選ぶことになります。 先にケアマネジャーか地域包括支援センターに、種類の当たりを付けてもらってください。
候補を洗い出す
市区町村の窓口、地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護サービス情報公表システム、このサイトの市区町村ページ。複数の入口から集めてください。 1つの経路だけだと、その経路に載っていない施設が最初から候補に入りません。
見て、読んで、決める
- 候補を3か所ほどに絞る
- 見学する(本人も一緒に行けるなら行く)
- 重要事項説明書と契約書を持ち帰って読む
- 費用の総額を、月額と一時金の両方で書き出して比べる
- 申し込む。入れなかったときのために複数へ出しておく
入院中に決めることになったら
いちばん多いのが、この形です。退院の日が先に決まり、家に戻れないと言われ、数日で決めることになる。落ち着いて選ぶ時間はありません。
病院の相談室(地域連携室・医療ソーシャルワーカー)に、その日のうちに相談してください。退院の日は交渉できます。 決まりきったものとして受け取らず、家族が探す時間が要ることを伝えてください。介護老人保健施設をいったん挟んで、そのあいだに探すという進め方もあります。
申し込みは、一つに絞らない
費用の安いところほど、申し込んでも順番を待つことになります。一つだけに申し込んで待っていると、必要になったときに間に合いません。
複数に出しておいて構いません。申し込みの順番だけで決まるわけではなく、状態の重さや家族の事情が見られる施設もあります。 出したあとも、状況が変わったら伝え直してください。伝えていないと、古い情報のまま順番が回ります。
断られる理由を、先に知っておく
申し込んだのに受け入れてもらえないことがあります。理由は、たいてい決まっています。医療の処置が施設の体制で扱えない、夜間に一人で外へ出てしまう、身元保証人を立てられない、費用が続かないと見られた。
隠して入っても、あとで退去を求められます。 見学のときに、いまの状態を正直に伝えてください。「うちでは難しい」と早く言ってもらえるほうが、探す時間を無駄にせずに済みます。
決まってからも、することがある
入居が決まったら、住所を移すかどうか、介護保険の手続きをどうするか、かかりつけ医を変えるかどうかを決めます。市区町村をまたぐ場合は、届出の期限があります。
持ち物は施設ごとに指定があります。全部に名前を書く作業に、思ったより時間がかかります。在宅で使っていた福祉用具のレンタルは、入居に合わせて止める手続きが要ります。 ケアマネジャーとの関係も、そこでいったん区切りになります。
探し始めてから入るまでの時間
思い立ってすぐ入れるものではありません。空きを待つ、書類を揃える、面談を受ける、本人が納得する。 それぞれに時間がかかります。
退院までに決めなければならない場合、選ぶ時間はほとんど残りません。 入院した時点から動き始めてください。 病院の相談員が窓口になります。
複数に申し込んでよい
一か所に絞って待つと、断られたときに振り出しに戻ります。同時に申し込んで構いません。
申し込んだ先と、いつ申し込んだかを書き出しておいてください。 待っている間に連絡が来ても、どこの話か分からなくなります。断るときは早めに伝えるのが礼儀です。
本人抜きで決めない
家族だけで決めて、入る日に初めて本人へ伝える。この進め方は、入ってからこじれます。
見学に一緒に行く、食事を試す、短期の泊まりで慣れる。 段階を踏むほど、入居後が落ち着きます。判断が難しい人でも、場所の空気は伝わります。
ケアマネジャーと病院の相談員を使う
家族だけで探すと、名前を知っている施設しか候補になりません。地域にどんな空きがあるかは、日々やり取りしている人のほうが知っています。
在宅ならケアマネジャー、入院中なら病院の相談員です。 条件を具体的に伝えるほど、絞り込んでもらえます。このサイトの市区町村ページで、地域にどんな施設があるかを先に見ておくと話が早くなります。
- 紹介会社を使ってよいですか。
- 使って構いませんが、多くは施設側から手数料を受け取るしくみです。その会社と契約していない施設は紹介されません。公的な窓口と併せて使ってください。
- 本人を見学に連れて行くべきですか。
- 可能なら連れて行ってください。本人が見た場所と、知らないうちに決められた場所とでは、入ってからの落ち着き方が違います。難しい場合は写真や動画を持ち帰る方法があります。
介護老人保健施設が1件も無い市区町村が522ある
数のうえでは、介護老人保健施設は全国に4,075件です。65歳以上1万人あたりにすると全国で1.1件です。定員が分かっている1,664件では、まんなかの定員が100人でした。運営しているのは3,006の法人です。
65歳以上1万人あたりで見ると、いちばん多いのは鳥取県(2.8件)、いちばん少ないのは東京都(0.6件)です。同じ国の中で4.7倍のひらきがあります。全国の平均は1.1件なので、鳥取県は平均の2.5倍にあたります。
掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,370市区町村で、522の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。
この記事の出典
- 福祉医療機構 WAM NET介護保険サービス一覧2026-08-22 確認
- 厚生労働省用語の解説2026-08-22 確認
- 厚生労働省地域包括ケアシステム2026-08-22 確認
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