認知症があるとき、どんな住まいが向いているか

介護の窓口 編集部公開 2026-08-22最終更新 2026-08-25

環境が変わること自体が負担になるため、移る回数を減らせる選び方が要ります。

移る回数を減らす

認知症のある人にとって、場所と人が変わること自体が大きな負担です。移った直後に混乱が強くなり、それが「対応が難しい」と判断されてまた移る、という連鎖が起きます。

だから選ぶときは「今の状態に合うか」ではなく「重くなっても居られるか」を見ます。 医療的な処置が必要になったとき、歩けなくなったとき、看取りのとき。この3つを必ず聞いてください。

少人数という選び方

認知症対応型共同生活介護は、少人数の共同生活の形をとります。顔ぶれが変わらないことと、家事に加わることが、その人の力を保つという考え方です。要支援2以上で、その市区町村に住んでいる人が対象になります。

ただし医療的な対応には限りがあります。 重い医療処置が必要になると住み替えが要ることがあるので、そこも確かめておきます。

見学で見るところが違う

認知症があるときに見ること
見るところなぜ
鍵をかけて閉じ込めていないか安全は行動の制限で作るものではない
職員が急に体に触れていないか驚かせる関わりが混乱の原因になる
入居者が何かしているか役割があると落ち着くことが多い
なじみの物を持ち込めるか見慣れた物が安心の手がかりになる
職員が入れ替わっていないか顔を覚えられる相手かどうか
身体拘束は、緊急でやむを得ない場合を除いて禁じられています。 見学のときにベッド柵で囲まれている人や、車いすに固定されている人がいたら、その理由を聞いてください。答えられない施設は避けてください。

在宅で続けるとき

小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護は、通い・泊まり・訪問を同じ職員が担うので、認知症のある人には環境の変化が少なくて済みます。住み替える前に、この形が使えないかを確かめてください。

移る時期は、早すぎても遅すぎても難しい

進んでからのほうが本人も分からないだろう、と考えて先延ばしにする家族がいます。実際には逆のことが多くあります。

新しい場所と人を覚えられるうちに移るほうが、なじむのが早いと言われます。「まだ大丈夫」と待った結果、覚える力が落ちてから移ることになると、混乱が長引きます。 早ければよいという話ではありませんが、遅らせることが優しさとは限りません。

住み慣れた物を、持っていく

居室に何を持ち込めるかは、施設によって違います。使っていた椅子、着慣れた服、写真、仏壇、目覚まし時計。

新しく買いそろえないでください。 見慣れない真新しい物ばかりの部屋は、そこが自分の場所だと感じにくくなります。家で使っていた物が並んでいるほうが、落ち着きが早くなります。

移った直後は、崩れることがある

眠れなくなる、食べなくなる、帰ると言い続ける、怒りっぽくなる。移ったあとの数週間に、こうしたことが強く出ることがあります。

多くは、時間とともに落ち着いていきます。 ここで慌てて連れ戻すと、本人にとっては移動が二回になり、かえって負担が増えます。ただし、やせてきた、傷がある、薬が増えているのに説明がない、といったときは別です。遠慮せずに聞いてください。

住んでいる市区町村が条件になるものがある

認知症対応型共同生活介護や小規模多機能型居宅介護は、地域密着型と呼ばれる区分に入ります。原則として、その市区町村に住んでいる人が対象です。

隣の市に良さそうなところがあっても、そのままでは使えないことがあります。先に、住んでいる市区町村の中に何件あるかを確かめてください。 当サイトでは市区町村ごとに件数を載せているので、選べる幅がどれくらいあるかが分かります。

慣れた環境を変える負担

住まいが変わると、しばらく混乱が強く出ることがあります。「入ってから悪くなった」と感じる時期があります。

多くは時間とともに落ち着きます。 ただし、そこで慌てて戻すと、二重に負担がかかります。 移る前に、この時期があることを家族で共有しておいてください。

見慣れたものを持ち込む

使っていた寝具、写真、時計、長年の持ち物。目に入るものが同じだと、落ち着きが早く戻ります。

何を持ち込めるかは施設によって違います。 見学のときに聞いてください。部屋の配置を、家にいたときと似せられるかも聞く価値があります。

本人のこれまでを、施設に伝える

何をしてきた人か、何が好きか、何を嫌がるか。これが分かっていると、対応がまったく変わります。

紙にまとめて渡してください。 昔の仕事、育った場所、呼ばれ慣れた名前、苦手な音。職員が入れ替わっても、記録として残ります。

面会をやめない

会うと帰りたがるから行かない、という家族がいます。行かなくなると、本人は忘れられたと感じます。

短くても、回数を保つほうがよい場合が多いです。 帰り際が難しければ、職員に段取りを相談してください。慣れている職員は、切り上げ方を知っています。

認知症だと断られますか。
断られることがあります。ただし施設によって受け入れの幅が違うため、複数に当たってください。地域包括支援センターは、その地域で受け入れているところを知っています。
本人に説明すべきですか。
説明してください。理解が難しく見えても、感情は残ります。だまして連れて行くと、その後の関わりが壊れます。伝え方はケアマネジャーや医師と相談できます。

小規模多機能型居宅介護は全国に5,352件ある

この記事で触れている小規模多機能型居宅介護は、当サイトに5,352件掲載しています。65歳以上1万人あたりにすると全国で1.5件です。定員が分かっている2,810件では、まんなかの定員が28人でした。運営しているのは3,320の法人です。

65歳以上1万人あたりで多い順に並べると、上位は福井県・鳥取県・岡山県です。上位5県のうち、高齢化率でも全国10位以内に入るのは2県です。高齢者の多さだけで事業所の数が決まるわけではない、ということになります。少ないほうは茨城県・埼玉県・東京都の順です。

掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,280市区町村で、612の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。

この節の数字は、当サイトが掲載している小規模多機能型居宅介護を数えたものです。もとになっているのは厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータと、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」の年齢階級別人口です。どちらも更新のたびに、この数字も変わります。

この記事の出典

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