怒る、探し回る、出て行こうとする。その前に起きていること
「困った行動」は、本人にとっては困っていることへの反応です。止めようとするほど強くなるのは、理由が残ったままだからです。
まず、体を疑う
急に落ち着かなくなったときは、体のどこかに不調が起きていないかを先に見ます。本人が言葉にできないだけで、原因が体にあることは珍しくありません。
- 便秘、尿路感染、脱水
- 痛み(歯、腰、関節、床ずれ)
- 発熱、肺炎の始まり
- 新しく始めた薬、量が変わった薬
- 眠れていない、昼夜が逆転している
次に、周りを疑う
引っ越し、入院、家族の入れ替わり、部屋の模様替え。環境が変わったあとに崩れることが多くあります。 聞こえにくい、見えにくい、暗い、うるさい、といったことも引き金になります。
「違う」「さっきも言った」と否定された経験の積み重ねも同じです。本人は内容を忘れても、責められた感じだけが残ります。
向き合い方の型
| 起きていること | 向き合い方 |
|---|---|
| 財布を盗られたと言う | 否定せず一緒に探す。見つけたら本人が見つけた形にする |
| 同じ質問を繰り返す | 紙に書いて渡す。目に入る場所に貼る |
| 家に帰ると言って出て行こうとする | 止めずに少し一緒に歩く。落ち着いてから戻る |
| 入浴を拒む | 理由を探す(寒い、裸が嫌、順番が分からない)。時間と担当を変える |
| 夕方になると落ち着かない | 昼間に日光と活動を入れる。夕方の予定を決まった形にする |
一人で抱えない
対応がうまくいく日といかない日があります。うまくいかない日を、介護している人の力不足と考えないでください。 疲れきったまま向き合うと、お互いに追い込まれます。
ショートステイやデイサービスは、本人のためであると同時に、介護している人が休むための道具です。 使うことに後ろめたさを持つ必要はありません。ケアマネジャーに、いまの状態を正直に伝えてください。
言い方を変えると、収まることがある
同じ内容でも、伝え方で反応が変わります。後ろから声をかける、いくつかのことを一度に頼む、急かす。この三つは、混乱を招きやすいやり方です。
正面から、目を合わせて、短く、一度に一つ。否定の言葉から始めないだけでも、ずいぶん違います。 「違う」ではなく「そうだったね、それでね」と受けてから続ける。中身を正すことより、その場が穏やかに済むことのほうが、たいていは大事です。
記録をつけると、引き金が見えてくる
何時ごろ、どこで、誰がいるときに、何のあとに起きたか。二週間ほど書き留めると、ばらばらに見えていたことに形が見えてきます。
夕方に決まって起きる、入浴の前に起きる、特定の人がいるときだけ起きる。引き金が分かれば、その場面だけを変えればよくなります。この記録は、医師にもケアマネジャーにも、そのまま渡せる材料になります。
見えているものを整える
暗がりでの影、鏡に映った自分、テレビの中の声。本人にとっては、それが人の姿や話し声として受け取られることがあります。
夕方に部屋が暗くなる前に明かりを点ける、鏡に布を掛ける、テレビを消して静かにする。物を減らして、目に入るものを分かりやすくする。 どれも簡単なことですが、落ち着かなさが減ることがあります。
関わる人どうしで、やり方をそろえる
家では通る言い方が、デイサービスでは通らない。あるいはその逆。関わる人ごとにやり方が違うと、本人はそのたびに戸惑います。
うまくいったやり方は、ケアマネジャーを通じて事業所に伝えてください。「この人にはこう声をかけると通る」という情報は、どんな記録より役に立ちます。 担当者会議は、それを共有する場です。
理由のない行動は、ほとんどない
外から見て困る行動には、たいてい本人なりの理由があります。痛い、寒い、うるさい、トイレに行きたい、ここがどこか分からない、不安。
行動そのものを止めようとするより、理由を探すほうが早く収まります。 いつ、どこで、その前に何があったかを書いてみてください。 数日つけると、決まった型が見えてきます。
正そうとすると、こじれる
事実と違うことを言われたときに、訂正したくなります。訂正されると、本人は否定されたと感じます。
その場は合わせて、話題を移すほうが早く収まります。 「そうだったね」で構いません。言い争って勝っても、何も良くなりません。
環境を変えると、減ることがある
暗い、うるさい、物が多い、人の出入りが多い。周りの状況が混乱を強めていることがあります。
明るくする、音を減らす、置き場所を決める、目に入るものを減らす。 本人を変えるより、周りを変えるほうが早く効きます。トイレの場所が分かる印を付けるだけで解けることがあります。
介護する側が、限界を超える前に
夜中に何度も起こされる、同じことを何十回も聞かれる、外へ出て行く。ここで倒れる家族が多くいます。
我慢の量で解決する問題ではありません。 ショートステイで離れる、通所の回数を増やす、認知症に詳しい相談先に当たる。限界の手前で、ケアマネジャーに正直に伝えてください。
- 手が出そうになることがあります。
- その手前で相談してください。地域包括支援センターは、介護している側の相談も受けます。責める場所ではなく、休みを作る手立てを一緒に考える場所です。追い詰められた末に起きることは、誰にでも起こりえます。
- 薬で落ち着かせてもらえますか。
- 症状が強く暮らしが立ちゆかないときは、薬が使われることがあります。ただし転倒や飲み込みにくさなどの影響があるため、引き金を探すことが先で、薬は組み合わせて考えるものです。
通所介護の数を、掲載データから確かめる
通所介護が全国にどれくらいあるかというと、当サイトの掲載で24,473件です。65歳以上1万人あたりにすると全国で6.8件です。定員が分かっている10,706件では、まんなかの定員が30人でした。運営しているのは14,326の法人です。
65歳以上1万人あたりで多い順に並べると、上位は沖縄県・群馬県・宮崎県です。この上位5県には、高齢化率で全国10位以内に入る都道府県が1つもありません。高齢者が多い地域ほど通所介護が多い、という関係にはなっていません。少ないほうは北海道・神奈川県・秋田県の順です。
掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,710市区町村で、182の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。
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