認知症とは?種類によって現れ方が違う

介護の窓口 編集部公開 2026-08-22最終更新 2026-08-25

「認知症」は一つの病気の名前ではありません。原因となる病気がいくつもあり、どれかによって、困りごとの中身も向き合い方も変わってきます。

加齢のもの忘れとの違い

年を重ねれば誰でももの忘れは増えます。違いは、体験の一部を忘れるか、体験そのものを忘れるかにあると言われます。朝ごはんのおかずを思い出せないのは前者、食べたこと自体が抜け落ちるのは後者です。

もう一つの目安は、暮らしに支障が出ているかどうかです。忘れっぽくても自分で暮らしが回っているうちは、認知症とは呼びません。日付が分からず薬を飲めない、火を使ったことを忘れる、といった段階になると話が変わります。

原因になる病気で現れ方が変わる

代表的な4つ
病気目立ちやすいこと
アルツハイマー型認知症新しいことを覚えられない。日付や場所が分からなくなる
血管性認知症脳梗塞などのあとに段階的に進む。できることとできないことの差が大きい
レビー小体型認知症実際にはいない人が見える。調子の良し悪しの波。動作が遅くなる
前頭側頭型認知症同じ行動を繰り返す。周囲への気づかいが薄れる。言葉が出にくい
「怒りっぽくなった」を性格の変化と受け取らないでください。 前頭側頭型やレビー小体型では、それ自体が症状のことがあります。人が変わったように感じるのは、本人のせいでも家族のせいでもありません。

治せる原因が隠れていることがある

認知症のように見えて、別の原因が隠れていることがあります。甲状腺の働きの低下、ビタミンの不足、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、薬の影響、うつなどです。これらは治療によって良くなることがあります。

受診をすすめる理由の一つがここにあります。「どうせ治らないから」と診てもらわないままだと、治せるものを見逃します。

進み方には幅がある

同じ病名でも、進む速さは人によって違います。年単位でゆっくり変わる人もいれば、体調を崩したあとに一気に変わる人もいます。先の年数を数えるより、いま困っていることを一つずつ減らすほうが、暮らしは楽になります。

病名がすぐに決まらないことがある

一度の受診で病名がはっきりしないことは珍しくありません。時間をおいて変化を見てから判断されることもあれば、経過の途中で見立てが変わることもあります。

はっきりしないあいだも、暮らしの手当ては始められます。要介護認定の申請、地域包括支援センターへの相談、家の中の見直し。病名が決まるのを待って何もしない時間が、いちばんもったいないところです。

本人には、世界がどう見えているか

忘れることそのものより、うまくいかないことが増えていく不安のほうが、本人にとっては大きいことがあります。覚えていないという自覚が無いまま、周りに責められる場面だけが積み重なります。

同じことを何度も聞かれると、家族は疲れます。それでも、本人にとっては毎回が初めてです。事実を正すことと、その場が収まることは、別のことだと考えておくと少し楽になります。

病名が分かると、備え方が変わる

同じ「認知症」でも、注意すべきところは違います。段階的に進む型では、もとになった血管の病気を治療し続けることが要りますし、動作が遅くなる型では、転ぶことへの備えが先に来ます。

見え方や行動の変化が目立つ型では、家の中の物の置き方や、声のかけ方を変えることが手当てになります。主治医に「どの型と考えていますか」と聞いておくと、家族が何に気をつければよいかが決まります。

早く分かることの意味は、本人が決められること

診断がつくのを怖がる家族は多くいます。ただ、早い時期であれば、本人が自分のことを自分で決められます。お金の管理を誰に頼むか、どこで暮らしたいか、どこまでの治療を望むか。

あとから家族が推し量って決めるより、本人の言葉が残っているほうが、決める側も楽になります。 任意後見や、これからの暮らしの希望を話し合う場は、この時期にこそ意味があります。

病名ではなく、状態を指す言葉

認知症は、一つの病気の名前ではありません。いくつもの原因によって、覚える・判断する・段取りを組むといった働きが落ちた状態をまとめて呼んでいます。

原因が違えば、出方も進み方も違います。 同じ「認知症」と言われた人どうしを比べても、あまり参考になりません。 目の前の人がいま何に困っているかを見てください。

治せるものが混じっている

認知症のように見えて、別の原因であることがあります。薬の影響、甲状腺の働き、栄養の偏り、頭の中の出血、うつ。

これらは手当てをすれば戻ることがあります。 だから、決めつけずに一度診てもらう意味があります。「年だから」で片づけると、戻せたものを見逃します。

本人がいちばん不安を感じている

できていたことができない。言われたことが思い出せない。その戸惑いを、いちばん強く感じているのは本人です。

不安が強いと、混乱も強く出ます。 責める、試す、間違いを正す。この3つは不安を大きくします。 落ち着いていられる時間を増やすほうが、結果として穏やかに過ごせます。

一人で抱え込まない

介護をしている家族が、外に言えないまま何年も過ごすことがあります。家の中だけで抱えると、続きません。

地域包括支援センター、もの忘れの相談ができる医療機関、家族の会。 相談先は複数あります。このサイトの市区町村ページには、地域包括支援センターの連絡先を載せてあります。

認知症は遺伝しますか。
ごく一部に、家族性の遺伝子が関わる型があります。ただし大多数は遺伝だけで決まるものではありません。心配なときは、もの忘れ外来などで相談してください。
予防はできますか。
確実に防ぐ方法は分かっていません。ただし、高血圧や糖尿病の管理、運動、難聴があれば補聴器を使うこと、人と関わり続けることは、危険を下げると報告されています。

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