軽度認知障害とは?認知症の手前で分かること

介護の窓口 編集部公開 2026-08-22最終更新 2026-08-25

認知症と、年相応のもの忘れの間にある状態です。ここで分かったことには、意味があります。

暮らしが回っているかどうかが境目

検査で認知機能の低下は見つかるけれど、買い物も金銭の管理も自分でできている。この状態を軽度認知障害と呼びます。本人も家族も「年のせい」で片づけてしまいがちな段階です。

この段階で分かる人の全員が認知症になるわけではありません。 進む人、変わらない人、検査の値が戻る人がいます。だから「認知症の予備軍」という言い方は、正確ではありません。

手が打てることがある

確実に進行を止める方法は見つかっていません。ただし、危険を高めることが分かっている要素はいくつもあり、そのうち自分で手を打てるものがあります。

  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症を治療して管理する
  • 週に何回か、少し息が上がる程度に体を動かす
  • 難聴があれば、我慢せず補聴器を使う
  • たばこをやめる
  • 人と会う機会を減らさない
  • うつの症状があれば治療する
聞こえにくさを放っておかないでください。 難聴は、認知症の危険を高める要素として繰り返し報告されています。聞き返すのが面倒で会話を避けるようになると、人との関わりも一緒に減ります。

受診と、そのあと

もの忘れ外来などで検査を受けると、いまの状態が数字で残ります。大切なのは1回の点数ではなく、半年後・1年後と比べられることです。変化が分かれば、そのときに手を打てます。

この段階では介護保険のサービスに当たらないことが多くあります。市区町村の総合事業や通いの場、地域の体操教室が受け皿になります。地域包括支援センターで、近くにあるものを教えてもらえます。

本人と話しておける、最後に近い時期

この段階の人は、自分のことを自分で決められます。お金の管理を誰に任せるか、車をいつまで運転するか、どこで暮らしたいか、どこまでの治療を望むか。

決めるのが早すぎるということはありません。任意後見や、これからの暮らしについての話し合いは、判断する力があるうちにしかできません。 先送りにすると、家族が推し量って決めることになります。

先回りしすぎると、できることが減る

心配のあまり、家族が買い物も支払いも料理も引き受けてしまうことがあります。ところが、やらなくなったことは、そのままできなくなっていきます。

失敗しても取り返しがつくことは、本人にやってもらってください。 危ないこと(火、車、大きなお金)は家族が受け持ち、それ以外は口を出さない。この線引きのほうが、本人の暮らしは長く保てます。

聞こえと歯と目を、そのままにしない

聞こえにくい、噛めない、見えにくい。この三つはどれも、人と会うことを減らし、外に出る用事を減らします。認知機能そのものより先に、暮らしの幅を狭めます。

補聴器を作る、入れ歯を合わせ直す、白内障の相談をする。どれも年のせいだと我慢されがちですが、手を打てば戻る部分があります。 難聴については、認知症の危険を高める要素として繰り返し報告されています。

通える場所が近くにあるか

この時期に効くのは、通える場所があることです。体を動かし、人と話し、行く用事がある。それだけで暮らしの張りが変わります。

当サイトでは、市区町村ごとに、通所介護や通所リハビリテーションが何件あるかを載せています。介護保険のサービスに当たらない段階でも、その地域にどれくらいの受け皿があるかを見ておくと、次に必要になったときに慌てずに済みます。

進む人ばかりではない

この段階から認知症へ進む人もいれば、変わらない人も、戻る人もいます。「その手前」と言われたことを、決まった未来として受け取らないでください。

いま何ができるかのほうが、はるかに大事です。 体を動かす、人と会う、生活の中で役割を持つ。 これらを続けている人が、そのまま保っていることがあります。

生活はできている段階

もの忘れはあっても、身の回りのことは自分でできている。この段階では、介護保険の認定を受けても非該当と出ることがあります。

それでも使えるものがあります。 市区町村が行う総合事業や、通いの場です。地域包括支援センターに、近くで通える場所を聞いてください。

取り上げないほうがよい

心配だからと、料理も買い物もお金の管理も家族が引き受けてしまうことがあります。使わない力は落ちます。

危ないところだけを支えて、できることは残してください。 火の始末だけ見る、買い物に付き添う、通帳だけ預かる。全部を取り上げるのは、いちばん早く進める道です。

決めておくのに、いちばんよい時期

この段階なら、本人が自分の考えを言えます。財産のこと、住まいのこと、もしものときの希望。

任意後見という、判断ができるうちに決めておく制度があります。 話し合っておくだけでも違います。「まだ早い」と思っている時期にしかできないことです。

本人が検査を嫌がります。
「認知症の検査」と言わず、持病の受診に付き添って医師から話してもらう、健康診断の一部として受ける、といった入口があります。無理に連れて行くと次から拒まれるので、急がないほうが結果として早いことがあります。
脳トレをすれば防げますか。
特定のドリルで認知症を防げるという十分な証拠はありません。人と関わりながら体を動かすことのほうが、報告は多くなっています。楽しめないものは続かないので、続けられることを選んでください。

通所リハビリテーションは全国に7,581件ある

この記事で触れている通所リハビリテーションは、当サイトに7,581件掲載しています。65歳以上1万人あたりにすると全国で2.1件です。定員が分かっている2,748件では、まんなかの定員が38人でした。運営しているのは5,402の法人です。

65歳以上1万人あたりで見ると、いちばん多いのは徳島県(5.1件)、いちばん少ないのは神奈川県(1.1件)です。同じ国の中で4.6倍のひらきがあります。全国の平均は2.1件なので、徳島県は平均の2.4倍にあたります。

掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,469市区町村で、423の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。

この節の数字は、当サイトが掲載している通所リハビリテーションを数えたものです。もとになっているのは厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータと、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」の年齢階級別人口です。どちらも更新のたびに、この数字も変わります。

この記事の出典

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