認知症の初期に、家族が先に気づくこと
本人はたいてい、うまく取りつくろいます。だから最初に気づくのは、毎日会う人ではなく、久しぶりに会った人だったりします。
暮らしの中に出るもの
いちばん多いのは、同じ話や同じ質問が繰り返されることです。数分前に聞いたばかりの予定を、もう一度たずねる。指摘されると「そうだったかな」と流す。ここで責めても本人は覚えていないので、話がこじれるだけです。
料理をする人なら、段取りが崩れるのが早い時期のサインになります。味付けが極端になる、同じおかずばかりになる、鍋を焦がす。同時にいくつかを進める作業は、認知機能の低下が出やすいところです。
家の中に出るもの
- 冷蔵庫に同じ食材がいくつも入っている(買ったことを忘れて買い足す)
- 賞味期限の切れたものが減らない
- 郵便物が開けられずに積まれている。督促状が混ざっている
- 通帳や印鑑を探し回る。「盗まれた」と言う
- 服装が季節に合わない。同じ服を着続ける
本人が感じている不安
初期の本人は、うまくいかないことに自分で気づいています。それを知られたくないから、外出を避け、人と会うのをやめ、機嫌が悪くなる。閉じこもりや怒りっぽさは、認知症そのものというより、不安への反応であることがあります。
気づいたら、記録する
受診の場面で役に立つのは、いつから、どんなことが、どれくらいの頻度で起きているかです。本人は困っていないと答えることが多いので、家族の記録が診断の手がかりになります。日付と出来事を短く書き留めておいてください。
気づいた日に、しなくてよいこと
変化に気づくと、家族はすぐに動こうとします。ところが、その日のうちに受診を約束させようとしたり、財布や通帳を取り上げたりすると、たいていうまくいきません。
最初にすることは、記録と相談です。何が起きたかを書き留め、地域包括支援センターに家族だけで相談する。本人に何も告げずに相談してよいのか、と迷う必要はありません。 家族からの相談は、どの地域でも受け付けています。
「困っていない」という答えの読み方
本人に聞くと、たいてい「何も困っていない」と返ってきます。嘘をついているわけではありません。忘れたことを忘れているので、困った覚えが残っていないことがあります。
その場を取りつくろう受け答えも、うまくできる人ほど上手です。久しぶりに会った親戚が「しっかりしていた」と言うのは、そのためです。日々の暮らしの跡のほうが、会話より正直です。
もの忘れ以外の変わり方
記憶のことばかりが知られていますが、最初に出る変化はそれだけではありません。長く続けた趣味をやめる、外出が減る、人と会うのを避ける、口数が減る。うつのように見えることもあります。
「気力が無くなっただけ」と片づけないでください。 実際にうつであれば治療で良くなりますし、別の原因が隠れていることもあります。どちらにしても、確かめる価値があります。
家族のあいだで見え方が食い違う
毎日そばにいる人は変化に慣れてしまい、たまに会う人は変化に驚きます。そこで「気づかなかったのか」と責める言葉が出ると、その後の話し合いが止まります。
見え方が違うのは当たり前です。責める材料ではなく、記録を持ち寄る材料にしてください。 誰か一人が抱え込む形になると、その人が先に潰れます。
同居していると、気づきにくい
毎日会っていると、少しずつの変化は分かりません。たまに会う人のほうが先に気づきます。
親戚や近所の人から「様子が変わった」と言われたら、聞き流さないでください。 気になったことは、日付とともに書いておいてください。 医師に伝えるときの材料になります。
取り繕うのが、うまい
答えられないことを、話をそらしてやり過ごすことがあります。短い会話では、まったく分かりません。
家の様子のほうが正直です。 同じものが冷蔵庫に溜まっている、郵便が開けられていない、洗濯物が回っていない。会話ではなく、暮らしの跡を見てください。
本人に指摘しない
「同じことを何度も言っている」と言われると、本人は身構えます。その後、話してくれなくなります。
気づいたことは、家族の間だけで共有してください。 受診に誘うときも「もの忘れが心配だから」ではなく、体の検査のついでにする方法があります。まず医師に事情を伝えておくと、進めやすくなります。
早く分かると、決められることが多い
本人が自分で判断できるうちに、決めておけることがあります。お金の管理、住まいのこと、もしものときの希望。
後になるほど、家族が代わりに決めることになります。 早く分かることは、本人の意思を残すための時間を作ることでもあります。そこが最も大きな意味です。
- 本人に「認知症では」と言うべきですか。
- 正面から告げると、拒まれて受診が遠のくことがあります。健康診断、持病の受診のついで、市区町村の健康相談といった入口のほうが進みやすいことがあります。地域包括支援センターに、その地域で通りやすい入口を聞いてください。
- 離れて暮らしていて様子が分かりません。
- 電話では取りつくろえます。冷蔵庫、郵便物、通帳、薬の残りを見ると分かることがあります。近所の人や民生委員、配食の担当者が変化に気づいていることもあります。
この記事の出典
- 国立長寿医療研究センターもの忘れと認知症2026-08-22 確認
- 厚生労働省認知症に関する相談先2026-08-22 確認
- 国立長寿医療研究センターもの忘れセンター外来2026-08-22 確認
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