認知症対応型通所介護の選び方!落ち着ける場を見つける
認知症のある人にとって、通う場が合うかどうかは、建物や設備ではなく、職員の関わり方でほとんど決まります。見学では、そこだけを見てください。何を見ればいいのかを、具体的に説明します。
全国で2,988件、65歳以上12,014人に1件という数です。住んでいる市区町村の中から選ぶことになるので、候補が一つしかないこともあります。それでも見学はしてください。合うかどうかは、建物より人の振る舞いに出ます。
職員の声のかけ方に、すべてが出る
見学のとき、パンフレットの説明を聞くより、職員が利用者にどう話しかけているかを見てください。後ろから急に体に触れていないか。「違いますよ」と否定していないか。同じ話を何度されても、同じ調子で受けているか。この三つに、その施設の姿勢がほとんど表れます。
認知症のある人は、言葉の中身より、相手の表情や声の調子を受け取ります。いらだちを含んだ言い方をされれば、理由は分からないまま不安だけが残ります。反対に、何度目の同じ話でも笑って受けてもらえれば、そこは安心できる場所になります。
落ち着かないときにどうするか
「帰りたい」と言い出したときの対応を聞いてください。説得して座らせる施設と、一緒に歩きながら気持ちが変わるのを待つ施設があります。後者を選んでください。
帰りたいと言うのには、たいてい理由があります。不安、居心地の悪さ、家でやり残したことがあるという思い。座らせて止めても、その気持ちは消えません。一緒に歩き、別の話をしているうちに落ち着いていくというのが、実際にうまくいく形です。
職員が替わらないか
認知症のある人にとって、知っている顔があるかどうかは、通い続けられるかどうかを左右します。名前を覚えていなくても、「この人は知っている」という感覚は残ります。
同じ職員が続けて担当するのか、働いている人の入れ替わりは激しくないのか、認知症介護の研修を受けた職員が何人いるのか。この三つを聞いてください。人の入れ替わりが激しい施設では、本人が慣れるより先に相手が替わってしまいます。
過ごし方に役割があるか
洗濯物をたたむ、食事の下ごしらえをする、植木に水をやる、テーブルを拭く。暮らしの中の役割がある施設では、本人が落ち着きやすくなります。
一日中ただ座って過ごすだけの時間は、認知症のある人にとって長すぎます。何をしていいか分からない時間が続くと、不安が膨らんで、立ち上がって歩き回ることにつながります。長年やってきた家事の手つきは残っていることが多いので、それを生かせる場は、本人にとって居場所になります。
建物が分かりやすいか
トイレの場所が分かりやすいかどうかは、想像以上に大きな問題です。扉に大きく表示があるか、扉の色が他と違っていて見分けられるか。分からずに我慢して、失敗してしまうことが、通うのをやめるきっかけになることもあります。
歩き回れる場所があるか、静かに休める部屋があるか、出入口の安全がどう保たれているか。最後のひとつは、鍵をかけて閉じ込める形か、職員が気づいて自然に声をかける形かで、施設の考え方が分かれます。
家族への伝え方
その日どう過ごしたかを、「落ち着いていました」で終わらせず、具体的に書いてくれるかを見てください。何をして、誰と話して、どんな表情だったか。書ける施設は、それだけ本人を見ています。
そして、家での様子をこちらから伝えたときに、それを次の回に生かしてくれるかどうか。「夜眠れていないようです」と伝えたら、日中の過ごし方を変えてくれる。この往復ができる施設は、信頼していいと思います。
体験の日は必ず作る
本人を連れて一日試してください。見学だけで決めないことです。本人がその場にいるときの空気は、見学者として見ているときとは違います。
帰ってきたときの表情と、その晩の眠り方が答えになります。「どうだった」と聞いても、正確な返事は返ってこないことがあります。覚えていないこともありますし、気を遣って「よかった」と言うこともあります。言葉より、様子を見てください。
職員が、どう声をかけているか
見学で見るべきは設備ではありません。職員が入居者にどう話しかけているかです。
名前で呼んでいるか、子ども扱いしていないか、目線を合わせているか。 間違いを正そうとしていないか。 ここに、その事業所の考え方がそのまま出ます。
落ち着かなくなったときの対応
帰りたがる、外へ出ようとする。そのときにどうするのかを、具体的に聞いてください。
止めるのではなく、一緒に歩く、別の場所へ移る、話題を変える。 慣れている職員はやり方を持っています。「対応します」だけの答えなら、もう一歩踏み込んで聞く。
家での様子を、伝え合えるか
事業所での様子と家での様子がつながっていないと、変化に気づけません。連絡帳や、送迎のときのやり取りが要ります。
家で困っていることを伝えれば、事業所で試してもらえます。 逆に、事業所で落ち着く方法を家でも使えます。やり取りが続いている事業所ほど、効きます。
長く続けられる場所かどうか
状態が進んだときに、通い続けられるのか。途中で断られると、また一から探すことになります。
どういう状態になったら難しくなるのかを、先に聞いてください。 職員がよく入れ替わる事業所は、本人が覚え直すことになります。その点も見ておく価値があります。
- 本人に「認知症の人が行く場所」と言うべきですか。
- 言う必要はありません。「体操をしに行く」「昼ごはんを食べに行く」で構いません。事実と違うことを言うのではなく、本人が受け取りやすい言い方を選ぶということです。施設の職員も、そうした伝え方には慣れています。
- 進行したら通えなくなりますか。
- 事業所によって受け入れられる範囲が違います。「どこまでの状態の方が通っていますか」と先に聞いておくと、先々の見通しが立ちます。長く通えるところを選んでおくと、状態が変わるたびに移らずに済みます。
- 小規模多機能型居宅介護と迷っています。
- 通いだけで足りるなら認知症対応型通所介護、泊まりや訪問も必要になりそうなら小規模多機能のほうが融通が利きます。ただし小規模多機能を使うと、原則としてほかの通いや訪問は使えなくなります。ケアマネジャーも変わるので、そこは先に確かめてください。
認知症対応型通所介護の定員は、まんなかが12人
当サイトに掲載している認知症対応型通所介護のうち、定員が分かっているのは1,274件です。その1,274件を小さい順に並べると、まんなかに来るのが12人でした。いちばん小さいところで1人、いちばん大きいところで120人と幅があります。
| 定員 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 10人以下 | 386件 | 30.3% |
| 11〜20人 | 764件 | 60% |
| 21〜30人 | 85件 | 6.7% |
| 31人以上 | 39件 | 3.1% |
いちばん多いのは11〜20人の60%です。定員は大きいほどよい、小さいほどよいというものではありません。人数が多ければ行事や設備の幅が出やすく、少なければ職員の目が届きやすい、という違いがあるだけです。見学のときは定員そのものより、「その日に実際に何人来ているか」を聞いてください。定員いっぱいで動いている日と、半分の日とでは、同じ定員でも過ごし方が変わります。
日曜に開いている認知症対応型通所介護は31.1%
2,988件のうち、日曜に開いているのは929件でした。土曜は2,393件(80.1%)、祝日は2,682件(89.8%)です。土曜まで開いているところは多い一方で、日曜まで開いているところはぐんと減ります。
平日に働いている家族が付き添える日、あるいは家族が休みで介護を代わりにくい日に使いたいのであれば、この条件で候補はかなり絞られます。曜日は後から変えにくい条件なので、見学の順番を決める前に確かめておくと無駄がありません。当サイトの一覧は市区町村ごとに絞り込めるので、住んでいる地域で何件残るかを先に見てください。
認知症対応型通所介護を運営しているのは2,108の法人
2,893件の運営者をたどると、2,108の法人にたどり着きます。1法人あたり1.4件という計算で、ほとんどが1か所だけを運営している法人です。系列で複数を持つ大きな法人は多くありません。
同じ法人が近くで複数を運営している場合、空きが出たときに融通が利いたり、別の種類のサービスを同じ法人でまとめられたりすることがあります。一方で、法人が大きいことと、その事業所が自分に合うかどうかは別の話です。運営法人は事業所ページに出しているので、気になったら同じ法人の他の事業所も見てみてください。
なお、公式サイトを届け出ているのは2,508件(83.9%)です。サイトが無い事業所が悪いということではありませんが、事前に様子を知りたいときは、まず電話で聞くことになります。
認知症対応型通所介護が1件も無い市区町村が884ある
全国1,892の市区町村のうち、認知症対応型通所介護の掲載があるのは1,008市区町村です。裏を返すと、884の市区町村には1件もありません。住んでいる市区町村の中だけで探すと候補が出てこないことがある、ということです。
地元に無いときは、隣の市区町村まで範囲を広げて探すことになります。送迎のあるサービスなら市区町村をまたいで通えることもあるので、まず市区町村の担当課か地域包括支援センターに、どこまで通えるかを聞いてみてください。当サイトの市区町村ページは、掲載が0件のときに近隣の同じサービスを並べます。