退去を求められたら。契約書のどこを見るか
言われた側は動揺しますが、まず契約書を開いてください。書かれていない理由では出す側も動けません。
まず契約書を見る
退去の条件と、何日前に伝えることになっているか(予告期間)が書かれています。 契約書に無い理由で出すよう求められているなら、その旨をはっきり伝えてください。
口頭で言われただけの段階では、まだ決まっていません。 理由と根拠を書面で示すよう求めて構いません。
理由ごとに道が違う
| 理由 | すること |
|---|---|
| 費用が払えていない | 減免や制度の適用を市区町村の窓口に相談する |
| 医療的な対応ができない | どの処置が難しいのかを具体的に聞き、対応できる先を紹介してもらう |
| 他の入居者との関係 | 状況と、施設が試した対応を具体的に聞く |
| 認知症が進んだ | 同じ理由で受け入れている施設を地域包括支援センターに探してもらう |
| 契約期間が満了 | 更新の条件と、更新しない理由を確かめる |
納得できないとき
相談先は複数あります。市区町村の高齢福祉の窓口、地域包括支援センター、都道府県の国民健康保険団体連合会(苦情の申し立て)、消費生活センター。施設の中の相談窓口だけで終わらせないでください。
扱いがひどいと感じるときは、高齢者虐待として通報できます。 施設の職員による虐待は、市区町村への通報の対象です。通報した人の情報は守られます。
一時金の返還
退去するとき、入居時の一時金がいくら戻るかは契約の定め方によります。償却期間と計算方法を確かめ、示された額が契約書の計算と合っているかを見てください。 合わないときは根拠の提示を求めます。
言われた日から、記録を取る
いつ、誰から、どういう言葉で言われたか。そのとき示された理由は何か。日付と担当者の名前を書き留めてください。
あとで話が変わることがあります。「そんなことは言っていない」となったとき、記録が残っているかどうかで結果が変わります。 話し合いの場には、できれば家族が二人で行ってください。一人で聞くと、あとで確かめようがありません。
費用が理由なら、出る前に相談する
払えなくなったから出るしかない、と考える前に、確かめられることがあります。負担限度額認定を申請していない、高額介護サービス費の手続きをしていない、という例は少なくありません。
市区町村の窓口と地域包括支援センターに、いまの収入と資産を伝えて相談してください。 使える減免があるかもしれませんし、費用の安い種類へ移るという道も一緒に考えてもらえます。滞納が積み上がる前に動くほうが、選べる幅が残ります。
次の行き先が決まるまでの受け皿
期限を切られると焦りますが、行き先の当てがないまま出ることになるわけではありません。
ショートステイを続けて使う、介護老人保健施設にいったん入る、在宅に戻ってサービスを組み直す。ケアマネジャーと地域包括支援センターに、期限を伝えて動いてもらってください。 病院からの退院と同じで、行き先の相談は、施設の側にも求められている役目です。
次の契約では、同じ条件を先に確かめる
出ることになった理由は、次の住まいを選ぶときの手がかりになります。医療の処置が理由だったなら、その処置に対応できるかを最初に聞く。認知症が理由だったなら、同じ状態の人を受け入れているかを確かめる。
「どうなったら出ることになりますか」を、契約の前に必ず聞いてください。 一度経験した家族にしか分からない重みのある質問です。答えを書面のどこで確かめられるかまで示してもらいます。
出て行くことになる理由は、限られている
費用が払えない、医療の手当てが施設の対応を超えた、他の入居者に危険が及ぶ、施設そのものが閉じる。主にこの4つです。
どれも、契約の書面に書かれています。 入る前に読んでおけば、突然の話にはなりません。 該当のページを控えておいてください。
一方的に、すぐ出されるわけではない
契約には、いつまでに知らせるかが定められています。その日のうちに出される、ということはありません。
納得できないときは、市区町村の窓口に相談できます。 施設の外に苦情を伝える先があります。契約書に連絡先が書かれています。
次の行き先を、施設と一緒に探す
家族だけで急に探すのは、まず無理です。施設の相談員は、地域の空き状況を知っています。
協力を求めてください。 ケアマネジャーや、地域包括支援センターにも同時に伝えてください。動かせる人を増やすほど、選べる先が増えます。
費用が払えなくなりそうなとき
滞納してから相談するのではなく、見通しが立たなくなった時点で伝えてください。
負担を軽くするしくみが使えることがあります。 部屋の種類を変える、別の施設へ移る、生活保護の相談へつなぐ。早く言うほど、選べる道が残っています。
- 自分から出るときの手順は。
- 契約書に定められた期間の前に申し出ます。多くは1か月前です。ケアマネジャーに伝えて、次のサービスの手配を並行して進めてください。
- 荷物や住所はどうなりますか。
- 住民票を施設に移している場合は転出・転入の手続きが要ります。荷物の引き取り期限も契約書に書かれています。
この記事の出典
- 厚生労働省有料老人ホームの設置運営標準指導指針について2026-08-22 確認
- 国民生活センター高齢者の消費者被害2026-08-22 確認
- 厚生労働省地域包括ケアシステム2026-08-22 確認