老人ホーム紹介センターの選び方!損をしない使い方
紹介センターは、うまく使えば施設探しの時間を大きく縮めてくれます。ただし、こちらの条件が定まらないまま相談に行くと、相手の出してきた候補の中だけで話が進みます。使う前に整えておきたいことから順に説明します。
このサイトに載っている相談窓口は全国で1,284件です。窓口の数だけ方針があり、同じ条件を伝えても、返ってくる候補は窓口ごとに違います。だから、こちらの条件を先に固めておくことが何より効きます。
相談する前に、こちらの条件を固めておく
紹介センターは、条件を伝えると候補を出してくれる窓口です。裏を返せば、こちらの条件が曖昧なままだと、相手が持ってきた候補の中だけで話が進みます。最初に見た施設が基準になってしまい、比べる軸を持たないまま契約に近づいていきます。
相談に行く前に紙へ書き出しておきたいのは、毎月出せる金額の上限、入居のときにまとまった額を出せるかどうか、家族が通える範囲、必要な医療的な処置、認知症の状態、看取りまで希望するか、いつまでに決めたいか、といったところです。すべて埋まっていなくてかまいません。書いてあるだけで、話の主導権がこちらに残ります。
なかでも金額は、本人の年金と貯えから逆算して、何年払い続けられるかまで出しておいてください。「今なら払える」で決めると、数年後に本人か家族の負担で行き詰まります。施設を移すことになれば、本人にいちばん負担がかかります。
医療的な処置の有無は、候補の数を大きく変えます。たんの吸引、インスリンの注射、酸素の管理などが必要かどうかで、受け入れられる施設は絞られます。分からなければ、入院中なら病院の相談員に、自宅で暮らしているならケアマネジャーに、今の状態を書き出してもらってから相談に行くと話が早く進みます。
公的な施設のことも話してくれるか
紹介センターの収入は、入居が決まったときに施設から受け取る紹介料です。だから、紹介料の出ない選択肢は話に出にくくなります。特別養護老人ホームのような公的な施設は、その典型です。
それでも「特別養護老人ホームも並行して申し込んでおいたほうがいいですよ」と言ってくれる窓口があります。自分の収入にならない話まで含めて考えてくれているということで、信頼していい目安になります。反対に、聞いても「あそこは何年も待ちますから」と話を切り上げる窓口は、こちらの都合より自分の都合で動いていると見ておいたほうがいいでしょう。
どこまで実際に見ているか
提携している施設の数は、候補の幅を示します。ただ、多ければいいというものでもありません。大事なのは、その地域の施設をどれだけ実際に見ているかです。
| 聞くこと | 見るところ |
|---|---|
| 何施設と提携していますか | 候補の幅 |
| この地域では何件ありますか | 地元をどれだけ知っているか |
| 提携していない施設も教えてもらえますか | 正直さ |
| 実際に見学されたことはありますか | 資料だけで話していないか |
最後の問いへの答えに、いちばん差が出ます。資料に書いてある内容しか説明できない担当者と、「あそこは職員さんの入れ替わりが少ないです」「食事は施設の中の厨房で作っています」と具体を語れる担当者では、頼れる度合いが違います。
見学に同行してもらうかどうか
見学に同行してもらうと、施設の説明を一緒に聞けます。あとで「あれはどういう意味ですか」と確かめられますし、契約書の見方も教えてもらえます。初めて施設を見る家族にとっては、心強い助けです。
一方で、同行者がいると断りにくくなる面もあります。案内してもらった手前、その場で前向きな返事をしてしまい、家に帰ってから迷う。よくある流れです。同行してもらうなら、「今日は決めません。持ち帰って家族と話します」と最初に伝えておいてください。先に言っておけば、断ることが失礼になりません。
急がせる窓口とは進めない
「今決めないと埋まります」「この条件は今日までです」と急がせる言い方をされたら、そこで一度立ち止まってください。住まいを移すことは、本人にとって人生の大きな変化です。数日考える時間を持てない相手とは、進めないほうがいいというのが率直なところです。
実際に空きが埋まることはあります。ただ、本当に良い施設なら、次の空きも出ます。焦って決めた入居がうまくいかず、半年で移り直すほうが、本人にも家族にも重くのしかかります。
費用は、将来の金額まで紙で出してもらう
見積もりは口頭で聞かず、紙でもらってください。そして今の金額だけでなく、要介護度が上がったときの金額も併せて出してもらいます。
| 確かめる項目 | 見落としやすい点 |
|---|---|
| 入居のときの一時金 | 返る割合と、償却される期間 |
| 月々の利用料 | 家賃・管理費・食費の内訳 |
| 介護保険の自己負担 | 要介護度が上がると増える |
| 上乗せの介護費用 | 職員を手厚く配置する施設は別途かかる |
| おむつ代・医療費 | 月に数千円から数万円 |
| 退去するとき | 部屋を戻す費用、いつまでに知らせるか |
とくに見落とされやすいのが、入居のときに払うまとまった額の扱いです。何年かけて償却されるのか、途中で退去したときにいくら返るのかは、契約書の細かいところに書かれています。ここを読み飛ばすと、短い期間で退去することになったときに大きな差になります。
「要介護3になったら、月にいくらになりますか」と聞いてください。おむつ代や医療費、上乗せの介護費用まで含めると、今の見積もりから数万円上がることは珍しくありません。その金額でも払い続けられるかどうかが、実際に確かめるべきところです。
窓口はひとつに絞らない
紹介センターごとに扱う施設が違うので、二か所か三か所に相談すると候補が広がります。同じ地域でも、出てくる施設の顔ぶれが変わります。同じ施設について別の担当者から話を聞けるという意味でも、複数に当たる値打ちがあります。
併せて、地域包括支援センターにも相談してください。市区町村の委託を受けた公的な窓口で、紹介料の関係がありません。公的な施設への申し込みや、在宅で続ける方法まで含めて話ができます。民間の窓口と公的な窓口の両方を持っておくのが、いちばん偏りません。
入居したあとも相談に乗ってくれるか
入ってみたら思っていたのと違った、職員の対応が気になる。そうしたときに相談できる相手がいるかどうかで、その後の落ち着き方が変わります。
「入居が決まったら終わり」の窓口と、その後も様子を聞いてくれる窓口があります。相談のはじめに「入居したあとも相談できますか」と聞いておくと、どちらの姿勢かが分かります。
扱っている施設の範囲を聞く
どの施設まで紹介できるのかは、窓口によって違います。提携している先だけを出すところがあります。
「この地域で何件を扱っていますか」と聞いてください。 特別養護老人ホームのような、紹介料の発生しない施設まで案内してくれるか。 そこに姿勢が出ます。
断りにくい進め方をされないか
見学の後に、その場で決めるよう促される。急かされる形になったら、いったん止めてください。
契約は住まいを決めることです。 持ち帰って家族で話す時間を取れない相談先は、そこ自体が判断材料です。「今日中に」という話に応じる必要はありません。
入った後まで、関わってくれるか
紹介して終わりの窓口と、入居後の相談にも応じる窓口があります。合わなかったときにどうするか。
移りたくなったときに、また相談できるかを聞いてください。 入居後の様子を見に来てくれるところもあります。そこまで見て選ぶ。
公的な窓口を、並行して使う
民間の窓口だけに任せると、選択肢が狭まります。費用の抑えられる選択肢が抜けることがあります。
地域包括支援センターとケアマネジャーにも、同じ条件を伝えて候補を出してもらってください。 二つを並べれば、偏りが見えます。手間はかかりますが、ここは省かないほうがよい部分です。
- 費用は本当にかからないのですか。
- 相談する側は払いません。入居が決まったときに、施設から紹介料が支払われる仕組みです。そのため無料で使えますが、紹介料の出ない施設は候補に出にくいという偏りがあります。仕組みを知ったうえで使えば、便利な窓口です。
- 相談だけでも大丈夫ですか。
- 大丈夫です。「まだ先の話ですが」と前置きして構いません。早めに集めておくと、急に必要になったときに慌てずに済みます。入院中に「退院までに決めてください」と言われてから探しはじめる家族が、いちばん苦しい思いをしています。
- 担当者が合いません。
- 同じ窓口でも担当を替えてもらえます。言いにくければ、別の紹介センターに相談してください。費用はかかりませんし、断ることで不利益もありません。
- 本人を連れて行くべきですか。
- 見学は本人と一緒に行けるのが理想です。住むのは本人だからです。難しければ家族だけで下見をして、候補を二か所か三か所に絞ってから本人に見てもらう方法もあります。