住宅型有料老人ホームとは?介護付きとの違いと、費用がふくらむしくみ

介護の窓口 編集部公開 2026-08-23最終更新 2026-08-25

住宅型と介護付きは、パンフレットの見た目ではほとんど区別がつきません。違うのは介護がどこから来るかで、そこが月々の請求額を決めます。

有料老人ホームは3つに分かれる

有料老人ホームは老人福祉法にもとづき、都道府県などへ届け出て運営されます。事業者は次の3つの呼び方を使い分けています。

呼び方介護の出どころ特定施設の指定
介護付き有料老人ホームそのホームの職員あり
住宅型有料老人ホーム外部の訪問介護などなし
健康型有料老人ホーム介護が必要になると退去なし

「介護付き」と名乗ってよいのは、特定施設入居者生活介護の指定を受けたホームだけです。指定が無いホームが介護付きと名乗ることは認められていません。つまり住宅型と書いてあれば、介護は外から来ると読めます。

ホームが出すもの、外から来るもの

中身住宅型で誰が出すか
食事ホーム(利用料に含む、または食費として別途)
掃除・洗濯・買い物の代行ホームの生活支援サービス、または訪問介護
安否確認・見守りホーム
入浴・排せつ・着替えの介助外部の訪問介護
機能訓練外部の通所リハビリなど
通院の付き添い外部のサービス、または自費

ホームの職員は建物にいますが、介護保険の介護をするのは、あくまで外部の事業所から来るヘルパーです。同じ建物の1階に訪問介護事業所が入っていることが多く、入居者から見れば区別がつきにくくなっています。

費用がふくらむしくみ

住宅型でいちばん気をつけるのは、介護が重くなったときに介護費が積み上がることです。介護保険には要介護度ごとに使える上限(区分支給限度基準額)があり、上限を超えた分は全額自己負担になります。

住宅型・月あたりの目安
内訳目安
入居一時金0円から数百万円(月払いにできるホームもある)
家賃相当額5万円から15万円
管理費3万円から8万円
食費4万円から6万円
介護保険の自己負担(1割)要介護度と使った量による
上限を超えた分全額自己負担
合計おおむね15万円から30万円
金額はいずれも目安です。同じ種類でも、地域と建物と事業者によって倍ほど違うことがあります。介護保険の自己負担は1割として書いています(所得により2割・3割)。正確な額は、その住まいの重要事項説明書と見積もりで確かめてください。

要介護1や2のうちは介護付きより安く済むことが多く、要介護4から5になると逆転するのがふつうです。入る前に「いまの要介護度」ではなく「3年後の要介護度」で見積もりを作ってもらってください。

併設の事業所とのつきあい方

同じ会社が運営する訪問介護事業所を使うように勧められることがあります。便利な面はありますが、必要のないサービスまで組み込まれていないかは自分で見る必要があります。

  • ケアプランに載っている回数と、実際に来ている回数が合っているか
  • 本人ができることまでヘルパーがやっていないか
  • 上限いっぱいまで使う組み方になっていないか
  • 事業所を変えたいと言える相手(ケアマネジャー)がいるか
居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)は、ホームと別の会社を選べます。同じ会社のケアマネジャーだと言いにくい場面があるなら、地域包括支援センターに相談して替えることができます。

入居一時金と返還のきまり

一時金を払う契約では、入居から3か月以内に契約を解除した場合、実際に住んだ日数分などを除いて返すことが老人福祉法で定められています(短期解約特例、いわゆる90日ルール)。

3か月を過ぎたあとは、償却期間と初期償却率にしたがって返還額が決まります。初期償却率が高いほど、早く出たときに戻る額は少なくなります。重要事項説明書の「前払金の返還」の欄を必ず読んでください。

重要事項説明書のどこを読むか

重要事項説明書は、都道府県が定めた様式で作られます。分厚くて読む気を失くしますが、見るところは5つに絞れます。

何が分かるか
職員の体制夜勤の人数。入居者何人に対して何人かを計算する
前払金の返還初期償却率と償却期間。早く出たときに戻る額
介護サービスの提供併設の事業所か、外部から選べるか
退去の要件どうなったら出ることになるか
入居者の状況要介護度の分布と平均年齢。実際の入居層が分かる

入居者の要介護度の分布は、パンフレットより正直です。「自立の方も安心」とうたいながら、入居者の大半が要介護3以上という建物があります。

入居までの流れ

やること目安
1見学する(できれば食事の時間帯と夜に1回ずつ)数日
2重要事項説明書と契約書をもらい、持ち帰って読む1週間
3体験入居をする1泊から数泊
4面談と健康診断書の提出1週間ほど
5契約し、前払金と月額の初回分を払う数日
6ケアマネジャーを決め、ケアプランを作る入居前後

体験入居を断る施設は避けたほうがよいと考えてください。食事の味、夜の物音、職員の話し方は、見学の1時間では分かりません。費用がかかっても、泊まってから決める値打ちがあります。

入居してからケアマネジャーを決めることもできますが、先に決めておくと、契約の中身を一緒に見てもらえます。併設の事業所を使うかどうかも、第三者の目が入っていたほうが判断しやすくなります。

住まいの契約であって、介護の契約ではない

ここは住む場所を借りる形です。介護は、外部のサービスを使って組み立てます。

だから、使った分だけ費用が積み上がります。 上限を超えた分は全額の負担になります。 月にいくらになるかは、使う量で変わります。

併設の事業所に、集中しやすい

同じ建物の中に事業所があると、そこを使う形になりがちです。選んでいるつもりで、選んでいないことがあります。

必要のないサービスまで組まれていないかを、計画を見て確かめてください。 ケアマネジャーが同じ法人であることもあります。疑うのではなく、確かめるという姿勢で構いません。

費用の総額で比べる

家賃、管理費、食費、そこに介護サービスの負担が乗ります。案内に出ている金額だけでは分かりません。

「実際に入居している方は月いくらですか」と聞いてください。 要介護度ごとの実例を出してもらう。そこで初めて比べられます。

住宅型と介護付き、どちらを選べばよいですか。
介護がまだ軽く、外出も自分でできるなら住宅型で足ります。夜間の介助が要る、認知症が進んでいる、医療的な処置があるといった段階なら、定額で職員が動く介護付きのほうが結果的に安く、家族の負担も軽くなります。
住宅型で看取りまでできますか。
ホームによります。訪問看護と訪問診療を入れて自宅と同じ形で看取る住まいもあれば、状態が変わった時点で病院や介護付きへ移ってもらう住まいもあります。契約前に必ず確かめてください。
介護保険の上限を超えたら、いくらかかりますか。
超えた分のサービス費が10割そのままかかります。訪問介護を1回追加するごとに数千円が積み上がる計算になるので、上限に近づいた時点でケアマネジャーと組み直すのが現実的です。
入居中に要介護度が上がったら、介護付きへ移らないといけませんか。
制度として決まっているわけではありません。ただし住宅型のままだと費用と体制の両方で無理が出ることがあり、ホーム側から移転を提案される場合があります。

訪問介護の数を、掲載データから確かめる

訪問介護が全国にどれくらいあるかというと、当サイトの掲載で35,077件です。65歳以上1万人あたりにすると全国で9.8件です。定員が分かっている8,174件では、まんなかの定員が30人でした。運営しているのは24,886の法人です。

65歳以上1万人あたりで見ると、いちばん多いのは大阪府(21.6件)、いちばん少ないのは新潟県(5.1件)です。同じ国の中で4.2倍のひらきがあります。全国の平均は9.8件なので、大阪府は平均の2.2倍にあたります。

掲載があるのは全国1,892市区町村のうち1,777市区町村で、115の市区町村には1件もありません。制度として使えることと、住んでいる場所で実際に選べることは別だ、ということです。お住まいの市区町村に何件あるかは、当サイトの市区町村ページで確かめられます。

この節の数字は、当サイトが掲載している訪問介護を数えたものです。もとになっているのは厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータと、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」の年齢階級別人口です。どちらも更新のたびに、この数字も変わります。

この記事の出典

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