親の通帳を家族が扱うとき、あとで揉めないやり方

介護の窓口 編集部公開 2026-08-22

善意でやっていたことが、あとから経済的虐待や使い込みを疑われる。この行き違いは記録で防げます。

段階で道が違う

本人の状態と使える道
状態道
判断できるが手続きが難しい日常生活自立支援事業(社会福祉協議会)
今は判断できるが将来が不安任意後見制度。頼む相手と中身を自分で決めておく
判断が難しくなっている成年後見制度(後見・保佐・補助)

金融機関は、本人以外の引き出しに厳しくなっています。 「今までできていたのに急に止められた」という相談が増えています。止まってから考えるのでは遅いので、動けるうちに道を決めてください。

家族が事実上管理するとき

公の制度を使わず、家族が通帳を預かっている家庭は多くあります。その場合、記録を残すことが自分を守ります。

  • 本人のお金と自分のお金を混ぜない(口座を分ける)
  • 出金の理由と金額を書き残す
  • レシート・領収書を取っておく
  • きょうだいに定期的に見せる
  • 本人のために使ったことが分かる形にする
立て替えたお金も記録してください。 記録が無いと、返してもらうときにも、相続のときにも証明できません。善意でやったことほど、証拠が残っていないものです。

揉めるのはたいてい相続のとき

介護をしていた人が「使い込んだのではないか」と疑われる例が繰り返し起きています。通帳の履歴は残るのに、何に使ったかの説明が残らないためです。

面倒でも、その都度メモに残してください。 ノートに日付と金額と使い道を書くだけで十分です。あとから思い出して書くことはできません。

本人の意思を確かめられるうちに

どこにどれだけ資産があるかを、本人が話せるうちに聞いておいてください。 通帳、保険、年金、借入。判断が難しくなってからでは、家族が探し回ることになります。

聞き出そうとすると、こじれる

資産の話を切り出すと、財産を狙っていると受け取られることがあります。とくに、きょうだいのうち一人だけが聞くと、あとで疑われる元にもなります。

「いくらあるか」ではなく「どこにあるか」から聞いてください。金額を教えてもらう必要はありません。 銀行がどこか、保険はどの会社か、年金の書類はどこにしまってあるか。いざというときに探せる状態にしておくことが目的です。

払い続けている契約を、洗い出す

何年も前に入った保険、使っていない携帯電話、新聞、有料の会員サービス、亡くなった配偶者名義のまま引き落とされている費用。判断が難しくなると、こうしたものが見直されないまま残ります。

通帳の引き落とし欄を一年分たどると、たいてい出てきます。 解約するかどうかは本人が決めることですが、何が引き落とされているかを一緒に確かめるところまでは、家族にもできます。

介護に使うお金を、渋らない

将来が不安だからと、必要なサービスを削って貯金を守ろうとする家庭があります。ところが、そのために本人の状態が早く悪くなれば、結局かかるお金は増えます。

本人の資産は、本人の暮らしのために使うものです。 残すことを目的にして、いま必要な手当てをやめないでください。何年持つかが心配なら、ケアマネジャーや市区町村の窓口に、その心配ごと相談できます。

一人で握らない

一人が通帳を持ち、一人だけが残高を知っている。この形が、あとでいちばん揉めます。やっている側に落ち度が無くても、疑いは避けられません。

年に一度でよいので、きょうだいに収支を見せてください。 見せる相手がいることが、記録を続ける力にもなります。関わっていない人ほど、後になって細かいことを言い出すものです。

介護の費用は、本人の財産から

子どもが自分の生活を削って払い続ける形は、長続きしません。まず本人の年金と貯えで組んでください。

足りない分をどうするかは、その次の話です。 最初から子どもが持つ形にすると、介護が長引いたときに共倒れになります。

何がどこにあるかを、把握する

通帳、年金、保険、不動産、借入。本人が答えられるうちに、一覧にしておいてください。

判断が難しくなってから探すと、見つからないものが出ます。 保険に入っていたのに請求できなかった、という例があります。書き出すだけで構いません。

勝手に動かさない

本人のためであっても、断りなく口座を動かすと後で疑われます。きょうだいの間で争いになります。

本人の了解を取り、記録を残し、領収書を保管してください。 定期的に他の家族へ知らせる形にしておく。説明できる状態を保つことが、自分を守ります。

使えるしくみを、早めに選ぶ

判断が難しくなると、口座が動かせなくなることがあります。そうなってからでは選べません。

任意後見、家族信託、日常生活自立支援事業、代理人の届け出。 財産の内容と家族の状況で、向くものが変わります。地域包括支援センターか、専門の相談窓口で聞いてください。

成年後見人は家族でもなれますか。
なれることがありますが、決めるのは家庭裁判所です。財産が多い場合や親族間で争いがある場合は、専門職が選ばれることがあります。
親の口座から介護費用を払ってよいですか。
本人のための支出であれば筋は通りますが、記録が要ります。金融機関によっては、代理人の届出をしておけば手続きが楽になります。

この記事の出典

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