親の通帳を家族が扱うとき、あとで揉めないやり方
善意でやっていたことが、あとから経済的虐待や使い込みを疑われる。この行き違いは記録で防げます。
段階で道が違う
| 状態 | 道 |
|---|---|
| 判断できるが手続きが難しい | 日常生活自立支援事業(社会福祉協議会) |
| 今は判断できるが将来が不安 | 任意後見制度。頼む相手と中身を自分で決めておく |
| 判断が難しくなっている | 成年後見制度(後見・保佐・補助) |
金融機関は、本人以外の引き出しに厳しくなっています。 「今までできていたのに急に止められた」という相談が増えています。止まってから考えるのでは遅いので、動けるうちに道を決めてください。
家族が事実上管理するとき
公の制度を使わず、家族が通帳を預かっている家庭は多くあります。その場合、記録を残すことが自分を守ります。
- 本人のお金と自分のお金を混ぜない(口座を分ける)
- 出金の理由と金額を書き残す
- レシート・領収書を取っておく
- きょうだいに定期的に見せる
- 本人のために使ったことが分かる形にする
揉めるのはたいてい相続のとき
介護をしていた人が「使い込んだのではないか」と疑われる例が繰り返し起きています。通帳の履歴は残るのに、何に使ったかの説明が残らないためです。
面倒でも、その都度メモに残してください。 ノートに日付と金額と使い道を書くだけで十分です。あとから思い出して書くことはできません。
本人の意思を確かめられるうちに
どこにどれだけ資産があるかを、本人が話せるうちに聞いておいてください。 通帳、保険、年金、借入。判断が難しくなってからでは、家族が探し回ることになります。
聞き出そうとすると、こじれる
資産の話を切り出すと、財産を狙っていると受け取られることがあります。とくに、きょうだいのうち一人だけが聞くと、あとで疑われる元にもなります。
「いくらあるか」ではなく「どこにあるか」から聞いてください。金額を教えてもらう必要はありません。 銀行がどこか、保険はどの会社か、年金の書類はどこにしまってあるか。いざというときに探せる状態にしておくことが目的です。
払い続けている契約を、洗い出す
何年も前に入った保険、使っていない携帯電話、新聞、有料の会員サービス、亡くなった配偶者名義のまま引き落とされている費用。判断が難しくなると、こうしたものが見直されないまま残ります。
通帳の引き落とし欄を一年分たどると、たいてい出てきます。 解約するかどうかは本人が決めることですが、何が引き落とされているかを一緒に確かめるところまでは、家族にもできます。
介護に使うお金を、渋らない
将来が不安だからと、必要なサービスを削って貯金を守ろうとする家庭があります。ところが、そのために本人の状態が早く悪くなれば、結局かかるお金は増えます。
本人の資産は、本人の暮らしのために使うものです。 残すことを目的にして、いま必要な手当てをやめないでください。何年持つかが心配なら、ケアマネジャーや市区町村の窓口に、その心配ごと相談できます。
一人で握らない
一人が通帳を持ち、一人だけが残高を知っている。この形が、あとでいちばん揉めます。やっている側に落ち度が無くても、疑いは避けられません。
年に一度でよいので、きょうだいに収支を見せてください。 見せる相手がいることが、記録を続ける力にもなります。関わっていない人ほど、後になって細かいことを言い出すものです。
介護の費用は、本人の財産から
子どもが自分の生活を削って払い続ける形は、長続きしません。まず本人の年金と貯えで組んでください。
足りない分をどうするかは、その次の話です。 最初から子どもが持つ形にすると、介護が長引いたときに共倒れになります。
何がどこにあるかを、把握する
通帳、年金、保険、不動産、借入。本人が答えられるうちに、一覧にしておいてください。
判断が難しくなってから探すと、見つからないものが出ます。 保険に入っていたのに請求できなかった、という例があります。書き出すだけで構いません。
勝手に動かさない
本人のためであっても、断りなく口座を動かすと後で疑われます。きょうだいの間で争いになります。
本人の了解を取り、記録を残し、領収書を保管してください。 定期的に他の家族へ知らせる形にしておく。説明できる状態を保つことが、自分を守ります。
使えるしくみを、早めに選ぶ
判断が難しくなると、口座が動かせなくなることがあります。そうなってからでは選べません。
任意後見、家族信託、日常生活自立支援事業、代理人の届け出。 財産の内容と家族の状況で、向くものが変わります。地域包括支援センターか、専門の相談窓口で聞いてください。
- 成年後見人は家族でもなれますか。
- なれることがありますが、決めるのは家庭裁判所です。財産が多い場合や親族間で争いがある場合は、専門職が選ばれることがあります。
- 親の口座から介護費用を払ってよいですか。
- 本人のための支出であれば筋は通りますが、記録が要ります。金融機関によっては、代理人の届出をしておけば手続きが楽になります。
この記事の出典
- 厚生労働省日常生活自立支援事業2026-08-22 確認
- 法務省成年後見制度・成年後見登記制度2026-08-22 確認
- 国民生活センター高齢者の消費者被害2026-08-22 確認
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