医療が必要な家族の施設の選び方!廃止後の探し方
医療的なケアが必要な家族の行き先を探すのは、介護の中でもとくに難しい部分です。断られることが続くと気持ちが折れますが、探し方には順番があります。順に説明します。
まず、状態を紙に書き出す
どの施設に相談するにしても、最初に聞かれることは同じです。要介護度、受けている医療的なケアの中身と回数、飲んでいる薬、認知症の有無と動き回ることがあるか、医療保険と介護保険の負担割合、そして家族が出せる費用の上限。
これを先に紙へ書き出しておくと、話が驚くほど速く進みます。電話口で「吸引は一日何回ですか」と聞かれて「たしか三回か四回…」と答えるのと、「日中に三回、夜間に一回です」と答えるのとでは、相手が動ける速さが違います。
分からない項目は、入院中なら看護師に、在宅なら訪問看護師かケアマネジャーに聞けば、その場で埋まります。薬については、お薬手帳のコピーを持っておくといちばん確実です。
公表データに残る介護療養型医療施設は全国で56件にまで減りました。つまり、この名前で探しても行き先は見つかりません。探すのは施設の名前ではなく、いまの状態に合う類型のほうです。
相談する順番
相談先はいくつもありますが、置かれている状況によって、最初に当たるべきところが決まっています。
| 今の状況 | 最初に相談するところ |
|---|---|
| 入院中 | 病院の相談窓口(地域連携室) |
| 自宅で介護中 | 担当のケアマネジャー |
| ケアマネジャーがいない | 地域包括支援センター |
| どこも見つからない | 市区町村の介護保険担当課 |
施設の使い分け
介護療養型医療施設は二〇二四年三月に役目を終えました。その受け皿として作られたのが介護医療院です。医療が重く、長く過ごしたいなら、まずここが候補になります。
リハビリをして家に戻ることを目指すなら介護老人保健施設。医療の面が落ち着いているなら特別養護老人ホーム。治療そのものが必要な段階なら、医療保険で入る療養病床という道もあります。家で続けたいなら、訪問看護、看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を組み合わせる方法があります。
どれか一つに絞る必要はありません。介護医療院の順番を待ちながら、在宅の仕組みで持ちこたえるという進め方が現実的なこともあります。
断られたら、理由を必ず聞く
ここがいちばん大事なところです。「対応できません」で電話を切らないでください。何が理由で受けられないのかを聞くと、次に当たるべき施設の種類が決まります。
| 断られた理由 | 次に当たる先 |
|---|---|
| 薬の費用が高い | 介護医療院、医療保険の療養病床 |
| 吸引の回数が多い | 介護医療院、看護体制の厚い施設 |
| 人工透析を受けている | 透析に対応する病院、通院できる施設 |
| 認知症で動き回る | グループホーム、認知症に慣れた特別養護老人ホーム |
| 要介護度が足りない | 特例入所の相談、有料老人ホーム |
理由を聞くのは、気まずいことではありません。相談員のほうも、断ったあとで行き先がないことを分かっています。「どういうところなら受けてもらえそうでしょうか」と重ねて聞けば、心当たりを教えてくれることも少なくありません。
家で続ける道も、並べて考える
施設が見つからないあいだ、在宅で支える組み合わせも同時に考えてください。待っているだけの時間を作らないためです。
看護小規模多機能型居宅介護は、通いと泊まりと訪問看護を一つの事業所でまかなえます。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、一日に何度も短い訪問を受けられます。訪問看護とショートステイを組み合わせる形もあります。いずれも、医療的なケアのある人を家で支えるための仕組みです。
一人で抱えない
医療的なケアのある家族の行き先探しは、家族だけで進めると消耗します。電話をかけては断られ、また次にかける。それを一人で続けていると、気持ちのほうが先に参ってしまいます。
ケアマネジャー、病院の相談員、地域包括支援センター。複数の窓口に同時に相談して構いません。義理立てして一か所に絞る必要はありませんし、そのことで機嫌を損ねる相談員もいません。手分けして当たるほうが、結果として早く見つかります。
転換後の形を、確かめる
この区分は移り変わりの途中にあります。探している施設が、いまどの形になっているかを確かめてください。
名称が変わっていても、中身は続いていることがあります。 形の名前ではなく、対応できる医療の中身で選んでください。 そこが実際の判断材料です。
受け入れられる状態を、一つずつ聞く
同じ形でも、対応できる範囲に幅があります。人工呼吸器、透析、感染症。
いま必要な手当てを挙げて、対応できるかを確かめてください。 入所してから移ることになるのが、いちばん本人に負担がかかります。先に詰める。
夜間の体制と、急変への対応
夜に医師がいるか、看護職が何人か。急に容体が変わるのは夜です。
当直の形を聞いてください。 併設の医療機関があるなら、そことどうつながっているか。「対応します」の中身を、人数で確かめる。
暮らしの側面も見る
医療が中心になると、日々の過ごし方が病室と変わらなくなることがあります。ここは生活の場でもあります。
日中の過ごし方、面会のしやすさ、外の空気に触れる機会。 見学のときに見てください。そこに施設の考え方が出ます。
- いくつの施設に相談すればいいですか。
- 制限はありません。五か所から十か所に当たることも珍しくありません。相談員に地域の一覧を出してもらい、順に当たっていくのがいちばん確かです。当たった先と結果を記録しておくと、あとで振り返るときに助かります。
- 費用を抑えたいのですが。
- 所得が低い場合は、食費と部屋代が軽くなる負担限度額認定という仕組みがあります。市区町村の介護保険担当課で申請してください。ほかに、高額介護サービス費や、医療と介護の負担を合わせて上限を設ける仕組みもあります。申請しないと使えないものばかりなので、必ず窓口で聞いてください。
- 遠方の施設でもよいでしょうか。
- 通える距離かどうかは、長い目で見ると大きな差になります。面会に行けない距離だと様子が分からなくなり、判断が必要になったときに動けません。ただ、行き先がないまま待ち続けるより、いったん遠方で受けてもらい、近くに空きが出たら移るという進め方もあります。