介護付き有料老人ホームの選び方!契約書とお金の見方
有料老人ホームは、見学で受ける印象と契約書に書かれていることが、いちばん食い違いやすい分野です。見学は大事ですが、決めるのは書面を読んでからにしてください。
「介護付き」の指定を受けている住まいは全国で5,560件あります。数のうえでは選べるサービスですが、入居一時金と月々の費用の決め方は事業所ごとにばらばらで、パンフレットを並べても比べられません。まず費用の話から始めます。
まず、一時金がどう返るのかを聞く
入居一時金を求める施設では、ここが最初に確かめるところです。入居した時点で返らない分(初期償却)が何割なのか、残りが何年かけて償却されるのか、途中で退去したときの返還額をどう計算するのか。この三つを数字で聞いてください。
入居から九十日以内に退去した場合は、実際に住んだ日数ぶんを除いて全額返す決まりになっています。これは法律で定められたもので、施設ごとに変えられるものではありません。契約書にその記載があるかを確かめてください。
月々にかかるものを、全部出してもらう
案内の紙に載っているのは、家賃と管理費と食費だけということがあります。実際に請求されるのはそれだけではありません。下の項目を一つずつ聞いて、合計を紙にしてもらってください。
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| 家賃・管理費 | 値上げの決まりがあるか |
| 食費 | 食べなかった日は引かれるか |
| 介護保険の自己負担 | 要介護度が上がるといくら増えるか |
| 上乗せ介護費 | 基準より多く職員を置く場合の費用があるか |
| おむつ代・日用品費 | 実費か定額か |
| 医療費・通院の付き添い | 一回いくらか |
| 理美容・行事の費用 | 別料金か |
見落とされやすいのは、要介護度が上がったときの増え方です。今の負担額で家計が回っていても、数年後に足りなくなることがあります。要介護5になったときの月額も聞いておいてください。
「三対一」の中身を聞く
職員の配置は、入居者三人に対して一人が国の基準です。「二対一」「一・五対一」と手厚くしている施設もありますが、そのぶん上乗せの費用がかかります。何対何で、いくら上乗せされるのかを聞いてください。
この数字は、日中と夜間を平均したものです。実際に知りたいのは、夜に一つのフロアへ何人いるのかです。看護職員が日中いるのか、夜間はどうなのか。職員の入れ替わりが激しくないか。この三つのほうが、暮らしぶりに直接効きます。
かかりつけ医を替えずに済むか
協力してくれる医療機関がどこか、往診があるかどうかを聞いてください。あわせて、今のかかりつけ医に通い続けられるかも確かめます。施設の側が指定した医療機関に一本化させるところもあります。
入院したときに部屋がどうなるのかも重要です。費用は払い続けることになるのか、いつまで空けておいてもらえるのか。看取りまで引き受けているかどうかも、最期まで暮らすつもりなら聞いておいてください。
「共同生活が困難になったとき」とは、どういう状態か
重要事項説明書の「契約の解除」の項を読んでください。多くの施設が「共同生活が困難になったとき」という書き方をしています。この言葉のままでは、何を指すのか分かりません。
大声を出すことなのか、夜に歩き回ることなのか、他の入居者に手が出ることなのか。具体的にどんな状態を指すのかを聞いて、答えを書面かメールでもらってください。口頭の説明は、担当者が替わった時点で無かったことになります。
見学は二回、時間を変えて
一回目は説明を受けるための見学です。案内する側も整えて待っています。二回目は、夕方か食事の時間に近い形で行かせてもらってください。断られる施設なら、その理由を聞いてください。
見るのは、入居者の表情と身なりです。髪や爪、服装が整っているか。職員が入居者に話しかけているか。呼び出しのベルが鳴りっぱなしになっていないか。共用部分と居室の廊下ににおいがこもっていないか。人手が足りているかどうかは、この四つに出ます。
一泊してみないと分からないこと
食事の味、夜の物音、朝の起こされ方。これらは見学では分かりません。一泊でも二泊でも、体験入居をさせてもらってください。
帰ってきたときに本人が何と言うかが、いちばん確かな判断の材料になります。言葉が出にくい人でも、表情が違えばそれが答えです。
特別養護老人ホームにも申し込んでおく
費用を抑えたいのなら、特別養護老人ホームにも申し込んだうえで、順番が来るまで有料老人ホームで過ごす、という進め方があります。申し込むこと自体に費用はかかりませんし、声がかかったときに断ることもできます。
有料老人ホームに入ったあとでも申し込めます。在宅で困っている人が優先されるため順番は後ろになりますが、出しておかなければ順番はいつまでも来ません。
一時金の扱いを、書面で読む
まとまった額を先に払う形では、何年で使い切る計算になっているかが決まっています。
短期間で退去したときに、いくら返るのか。 亡くなった場合はどうなるのか。 ここを口頭の説明だけで判断しないでください。書面が根拠です。
介護の質を、外から確かめる
住まいと介護が同じ事業者なので、内部の目だけになりがちです。
苦情の受付先が外部にもあります。 契約書に書かれています。第三者が評価した結果を公表している施設もあります。 見せてもらえるかを聞いてください。
状態が進んだときの、費用の変化
要介護度が上がると、介護の費用も上がります。入居時の金額のまま続くわけではありません。
要介護度ごとの総額の例を、出してもらってください。 何年続けられるかを、年金と貯えで計算する。途中で払えなくなるのが、いちばん本人に負担がかかります。
職員の入れ替わりと、体制
人がよく替わる施設では、本人のことを知っている職員がいなくなります。対応が安定しません。
長く働いている職員がどれくらいいるかを聞いてください。 夜間の人数、看護職がいる時間帯も同じです。見学は食事の時間に合わせて行く。
- サービス付き高齢者向け住宅とどちらがいいですか。
- 介護が必要な度合いで決めてください。自立に近いならサービス付き高齢者向け住宅、日々の介護が要るなら介護付きのほうが安心です。サービス付き高齢者向け住宅でも特定施設の指定を受けているものは、介護付きと同じ仕組みで動いています。
- 住宅型と介護付きで迷います。
- 要介護2くらいまでは住宅型のほうが安く、それより重くなると介護付きが有利になるのが目安です。ケアマネジャーに両方の見積りを出してもらって比べてください。
- 値上げされることはありますか。
- あります。値上げの条件と手続きは契約書に書かれているので、その部分を読んでください。これまでに値上げをしたことがあるかも聞いておくと、書面だけでは分からない実際が見えます。
特定施設入居者生活介護の定員は、まんなかが50人
当サイトに掲載している特定施設入居者生活介護のうち、定員が分かっているのは2,765件です。その2,765件を小さい順に並べると、まんなかに来るのが50人でした。いちばん小さいところで1人、いちばん大きいところで604人と幅があります。
| 定員 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 10人以下 | 44件 | 1.6% |
| 11〜20人 | 118件 | 4.3% |
| 21〜30人 | 384件 | 13.9% |
| 31人以上 | 2,219件 | 80.3% |
いちばん多いのは31人以上の80.3%です。定員は大きいほどよい、小さいほどよいというものではありません。人数が多ければ行事や設備の幅が出やすく、少なければ職員の目が届きやすい、という違いがあるだけです。見学のときは定員そのものより、「その日に実際に何人来ているか」を聞いてください。定員いっぱいで動いている日と、半分の日とでは、同じ定員でも過ごし方が変わります。
特定施設入居者生活介護を運営しているのは2,346の法人
5,527件の運営者をたどると、2,346の法人にたどり着きます。1法人あたり2.4件という計算で、複数の事業所を持つ法人が珍しくないということになります。
同じ法人が近くで複数を運営している場合、空きが出たときに融通が利いたり、別の種類のサービスを同じ法人でまとめられたりすることがあります。一方で、法人が大きいことと、その事業所が自分に合うかどうかは別の話です。運営法人は事業所ページに出しているので、気になったら同じ法人の他の事業所も見てみてください。
なお、公式サイトを届け出ているのは5,036件(90.6%)です。サイトが無い事業所が悪いということではありませんが、事前に様子を知りたいときは、まず電話で聞くことになります。
特定施設入居者生活介護が1件も無い市区町村が879ある
全国1,892の市区町村のうち、特定施設入居者生活介護の掲載があるのは1,013市区町村です。裏を返すと、879の市区町村には1件もありません。住んでいる市区町村の中だけで探すと候補が出てこないことがある、ということです。
地元に無いときは、隣の市区町村まで範囲を広げて探すことになります。送迎のあるサービスなら市区町村をまたいで通えることもあるので、まず市区町村の担当課か地域包括支援センターに、どこまで通えるかを聞いてみてください。当サイトの市区町村ページは、掲載が0件のときに近隣の同じサービスを並べます。